James Taylor: Guitar (Except 14), Piano 14, Vocal (Except 6,8), Back Vocal
(8) Carole King: Piano (7,8,9,10,13,14,15), Vocal (8), Back Vocal (9,14) Leland Sklar: Bass (8,9,10,13,14,15) Russ Kunkel: Drums (8,9,10,13,14,15) 1. For Free [Joni Michell] 2. Carolina In My Mind 3. Okie From Muskogee [Merle Haggard, Edward Burris] 4. Sweet Baby James 5. Circle Around The Sun 6. Greensleeves [Traditional] 7. Blossom 8. Up On The Roof [Gery Goffin, Carole King] 9. Country Road 10. Night Owl 11. Something's Wrong 12. Long Ago And Far Away 13. Riding On The Railroad 14. Highway Song 15. Fire And Rain 16. You Can Close Your Eyes 録音: 1970年10月22日 The Berkeley Community Theatre, CA (2nd Show) |
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1970年の10月のコンサートということで、12.「Long Ago And Far Away」を紹介する際、「出来上がったばかりで、タイトルもエンディングもない」と言っているのが興味深い。この頃は上記の3人のミュージシャンからなるバンドによる最も初期のツアーと思われ、ダニー・クーチやジョー・ママが加わるのは、1971年のツアーからだ。音源の音質はまあまあ良く、ステレオになっている。 2.「Carolina In My Mind」では、イントロで彼の口笛を聴くことができる。 3.「Okie From Muskogee」はカントリー・シンガーのマール・ハガードの曲。Okieとはオクラホマの住人の蔑称で、「オクラホマ州ムスコギーの住人であることを誇り思う」と歌う、レッドネック(田舎に住む無学の白人労働者)の賛歌。「ムスコギーではマリファナは吸わない セックスのためのパーティーはしない髪の毛を伸ばしてボサボサにしない サンフランシスコのヒッピーのようには」という歌詞が強烈で、1969年に全米41位を記録した。JTはこの曲をヒッピーの本場であり、歌でも名指しされたサンフランシスコで皮肉タップリに歌い、聴衆は大喜び。7.「Blossom」は、そこから加わるキャロル・キングのピアノがとても印象的だ。このあとJTの紹介を受けた彼女が 8.「Up On The Roof」を歌う。JTはギターの伴奏を付け、最後のヴァースでハーモニー・ボーカルを歌う。この曲におけるJTとキャロルの共演の音源はいくつか残されているが、JTがハーモニーをつけるバージョンはこれだけだ。9.「Country Road」はシングル・バージョン B6と同じアレンジで、観客にDの「アー」というコーラスを歌わせている。10.「Night Owl」はテンポを落としてキャロルのピアノを加えたため、全く異なる雰囲気の曲になった。13.「Riding On The Railroad」はバンドの伴奏つきのバージョンだ。14.「Highway Song」はJTがピアノを弾きながら歌うが、時々聞こえるオブリガードのピアノは、キャロルが隣に座って連弾しているものと推測される。アンコールの最後の曲で、JTは妹のケイトのために書いたと語り、16.「You Can Close Your Eyes」を演奏する。 演奏も録音もまあまあ良い音源。 |
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BBC In Concert With Joni Mitchell 1970 | |
James Taylor: Acoustic Guitar (3,4,7,8,9,10,11,12), Back Vocal (9,10), Vocal (3,4,7,11) Joni Mitchell: Acoustic Guitar (1,2,5 6,10,11,12), Dulcimer (8), Piano (9), Vocal (4,5,6,7) 1. That Song About The Midway 2. The Gallery 3. Rainy Day Man 4. Steamroller 5. The Priest 6. Carey 7. Carolina In My Mind 8. California [Joni Mitchell] 9. For Free [Joni Mitchell] 10. Circle Game [Joni Mitchell] 11. You Can Close Your Eyes 12. A Case Of You [Joni Mitchell] 録音: 1970年10月29日 会場: Paris Theatre, London 注: JTのソロ(1,2,3)は、1970年11月16日の「BBC In Concert」(「その他映像」を参照)のもの。 12. はJTがギターを弾いているが、BBCの放送には含まれなかったトラック 写真上: 2007年に、Woodstock Tapes から発売されたCD盤のジャケット 写真下: BBC Transaction Serviceが作成したラジオ放送用レコードのラベル |
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ジョニ・ミッチェルとの共演のライブ。JTの放送音源のなかで最も有名なもの。1970年のBBCの放送以来、世界各地で繰り返し放送され、日本のFM放送曲でも何度かオンエアーされた。絶妙のエコーや臨場感、艶やかな音の厚みなど、録音が最高。当時二人は恋愛関係にあり、その濃密な雰囲気がそのままステージに反映されている。曲間の会話で、思わず観客が笑ってしまう程のおのろけ状態で、特にジョニの機嫌がすこぶる良い。その感じが二人が演奏する曲にそのまま反映され、本当に素晴らしい出来になっている。ただし、後にJTのBBC TVの映像版が出回って分かったことだが、JTの弾き語り3.4.7.は、実はJTのソロコンサートの録画の際に収録された音源を使用しており、1.2.5.6.8以降とは別の場所、日に録音されている。これら3曲の演奏(ボーカル、特にギター)および、曲間の語りがBBC映像版と全く同じこと、特に4.の間奏部分のアドリブの語り、ターンアラウンド部分のギター演奏のとちりまでが同じなので間違いない。よく聴くと、これらの曲につき観客の拍手や歓声の音質が、他の曲と異なっているのが分かる。といっても映像版とは別に、最高の音質での音源が入手できるわけなので、ここでの価値が減ずるものではないだろう。3.4.7.は数あるこれらの曲の演奏のなかでもベストの出来であると断言できる。 音源では、司会者の紹介に続きジョニのソロ演奏から始まる。1.「That Song About The Midway」、2.「The Gallery」(両方とも1969年の「Clouds」に収録されていた曲)に続いて、JTの 3.「Rainy Day Man」、4.「Steamroller」、ジョニの 5.「The Priest Song」、6.「Carey」、JTの7.「Carolina In My Mind」と続く。変則チューニングのギターの弾き語りで歌う初期のジョニも透明感にあふれ、最高だ。 1971年の「Blue」C6 収録の8.「California」から二人のジョイントとなる。ここでのJTのギター伴奏は最高にイマジナティブで、様々な変化に富んだフレーズが泉のように湧き出ており、彼のキャリアのなかでもベストの出来だ。 9.「For Free」は路上のミュージシャンから受けた感銘を素直に語る佳曲で、1970年の「Ladies Of The Canyon」が初出。ここではJTは後半部分のコーラスでハーモニー・ボーカルをつける。9.と同じアルバムに収録されていた 10.「Circle Game」は、バフィー・セイント・メリーによる映画「いちご白書」の主題歌でも有名な傑作。人生をメリーゴーラウンドに例える、美しくも厳しい歌詞、比類のないメロディーの素晴らしさは天上の音楽と言っても過言ではない。演奏前の語りで、ジョニはカナダからフォーク・シンガーを目指して来た友人のストーリーを語る。そして彼が書いた曲の詩を朗読するのだが、若さの喪失を嘆いた「Sugar Mountain」という曲の作者はニール・ヤング。そしてジョニは、「この曲は彼のためと、私のために希望を込めて書きました」と言って、年をとり若さを失う事は悪いことだけではないと歌う。二人のギターのコラボレーションが最高で、歌いながら時にくすっと笑うジョニの声は天に届きそう。コーラス部分ではJTのハーモニー・ボーカルが優しく寄り添う。長い曲なんだけど、いつまでも終わって欲しくない、JT参加のセッション曲の最高峰だ。11.「You Can Close Your Eyes」は「これで最後の曲です」と二人が同時で言い出し、笑ってしまう。ここでは、最初のヴァースのリードはジョニがとる。以降はジョニがメロディーを歌い、JTはハーモニーを歌う。とても美しいデュエットだ。曲が終わりジョニの「グットナイト!」で終わる。 本音源は長い間公式発売されず、FM放送などのラジオ音源のエアーチェックか、ブートレッグでのみ聴くことができた。私も昔FM東京で放送された音源をオープンリール・テープレコーダーで録音したものを、カセットテープに落として大切に聴いていたものだ。ところが2007年になって、アメリカのWoodstock Tapesという会社から、本音源を収めた「The Circle Game」というタイトルのCDが発売され、輸入盤を取り扱う一般のCDショップで購入することが可能だった。聴く限りでは、針音が聞こえるので、おそらくは放送用のレコード盤から採取したものと推定される。音の生々しさや厚みという意味では、私が録音したFM放送のほうが勝っていると思われるが、近年のテクノロジーによるヒスノイズなどのカット処理や、曲間の編集などのそつのなさでそれなりに楽しめる。何よりも1枚のCDのなかに、70年代初頭の空気がいっぱい詰め込まれているのがうれしい。 とにかくお勧めの宝物。 [2009年9月追記] 最近、オリジナルのラジオ番組で放送されなかった曲を聴くことができた。ジョニのボーカルによる「The Good Samaritan (Hunter)」、「River」、「My Old Man」、「A Case Of You」の4曲で、最初の3曲はジョニの弾き語りによる演奏、そして最後の曲には、ジョニのボーカルとダルシマーと一緒にJTのギターがしっかり入っていました。もともとジョニの傑作ソロアルバム「Blue」1971 C6に、二人の演奏によるこの曲が収録されていたが、今回そのライブ・バージョンを聴けたので感慨深いものがありましたね..........。 JTとジョニの共演音源が増えるだけでもうれしい! [2022年2月追記] 本音源は、その後もいろいろな所からCDが発売され、YouTubeでも聞くことができるようになったが、いずれも正規のものではなかった。そして 2021年発売の「Joni Mitchell Archives Vol.2 Reprise Years (1968 -1971)」 B4 のCD5 で、このパリス・シアターの全貌が公式発表された。これでJTの弾き語りによる3曲がパリスシアターのものではないことが正式に認知された。当日のセットリストは以下のとおり。 1. That Song About The Midway 2. The Gallery 3. Hunter # 4. River # 5. My Old Man # 6. The Priest 7. Carey 8. A Case Of You # * 9. Calolina * 10. For Free * 11. Circle Game * 12. You Can Close Your Eyes * 13. Both Sides Now # 14. Big Yellow Taxi # * : JTがギターまたはボーカルで加わったトラック # : BBC放送には含まれなかったトラック 注: 「Joni Mitchell Archives Vol.2 Reprise Years」 については「オムニバスなど」の部でB4として記事を書いたが、本音源についてもその歴史的な意義を評価して、一部内容書き直しの上、そのまま残すことにしました。 |
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Fillmore East (Early Show) 1971 | |
James Taylor: Acoustic Guitar, Piano (11), Vocal Danny Kootch : Acoustic Guitar (12,13,14) Leland Sklar: Bass (9,10,11,13,14) Russ Kunkel: Drums (9,10,11,13,14) 1. Country Road 2. Knocking Round The Zoo 3. Okie From Muskogee [Merle Haggard, Edward Burris] 4. Bloosom 5. In My Reply [Livingston Taylor] 6. Sweet Baby James 7. Up On The Roof [Carole King, Gerry Goffin] 8. Carolina In My Mind 9. Riding On The Railroad 10. Fire And Rain 11. Highway Song 12. Lo And Behold 13. Machine Gun Kelly [Danny Kootch] 14. Hey Mister, That's Me Up On The Jukebox 録音: Fillmore East, New York 1971年1月25日 Early Show |
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フィルモア・イーストは、プロモーターのビル・グラハムがフィルモア・ウエストの東海岸版として、ニューヨーク・マンハッタンの2丁目イースト・ヴィレッジ地区に設立した約3600席のコンサート会場で、1968〜1971年という短期間ではあったが、ロックコンサートの殿堂として数多くの有名ミュージシャンが出演した。ここで録音されたライブアルバムはたくさんあるが、公式発売されたもので最も有名なものは、オールマン・ブラザースのものだろう。これは本当にエキサティングで素晴らしい作品だった。JTは1971年1月25日の月曜日、少なくても2回のコンサートを行ったと記録にあり、この音源はEarly Showのものとされている。下述のLate Showに比べ一部の曲、特に後半のエレクトリック・セットがカットされているのが残念。重複している曲についての解説はLate Show の部で行うとして、Early Showだけで演奏された曲について触れることとする。 1.「Country Road」は1971年2月6日付けで全米ヒットチャート37位を記録したことから、コンサート当時この曲がヒットの全盛期であったと思われる。そのため彼が演奏を始めると大きな拍手が起きる。ここでは曲の途中で、エンディングに入る前、ギターを弾きながら聴衆に対して、例のDのドローンの合唱を請いている。2.「Knocking Round The Zoo」は珍しい弾き語りでの演奏。テンポを落としてブルージーなギターの弾き語りで、じっくり歌いこむ。リクエストによりと始める 3. 「Okie From Muskogee」は、上述の「The Berkelay Community Center」で 解説済。マール・ハガード作によるこの歌は、台頭する若者のヒッピー文化に対する強力なアンチテーゼとして、カントリー・ミュージックを愛する保守的な人々の絶大な支持を受けたもので、ロックコンサートでJTがこの曲を歌うということは、リベラルな人々による大変な皮肉となるわけだ。5.「In My Reply」は弟のリビングストン・テイラーの曲で、セルフタイトルの彼のファースト・アルバム(1970)に収録されている。 キャロル・キングの名曲 7.「Up On The Roof」は、コンサートの常連曲だけど、初期の音源は珍しい。ギター1本で切々と歌っている。ニューヨークの聴衆に敬意を表して演奏したのかな? |
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Fillmore East (Late Show) 1971 | |
James Taylor: Acoustic Guitar, Electric Guitar (17,18), Piano (13), Vocal Danny Kootch : Acoustic Guitar (14,15,16), Electric Guitar (17,18) Leland Sklar: Bass (11,12,13,15,16,17,18) Russ Kunkel: Drums (11,12,13,15,16,17,18) 1. With A Help From My Friends [John Lennon, Paul McCartney] 2. Long Ago And Far Away 3. Something In The Way She Moves 4. Bloosom 5. Snuff Commercial [Unknown] 6. Greensleeves (Instrumental) [Traditional] 7. Sunny Skies 8. Diamond Joe [Traditional] 9. Coke Commercial [Unknown] 10. Carolina In My Mind 11. Riding On The Railroad 12. Fire And Rain 13. Highway Song 14. Lo And Behold 15. Machine Gun Kelly [Danny Kootch] 16. Hey Mister, That's Me Up On The Jukebox 17. Steamroller 18. Nigth Owl 19. You Can Close Your Eyes 20. Sweet Baby James 録音: Fillmore East, New York 1971年1月25日 Late Show |
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JTが1971年1月25日に行ったLate Showのものとされており、コンサートのほぼすべてが収録されていると思われる。 ビートルズの曲 1.「With A Help From My Friends」の弾き語りから始まり、曲後に「ポール・マッカートニが観に来ている」とJTが話し、場内は一瞬騒然となるが、その後の笑い声と拍手から冗談だろう。新曲と紹介される 2. 「Long Ago And Far Away」に続く、3.「 Something In The Way She Moves」ではイントロ部分を弾き延ばしながら、語りを入れるのがスマートだ。途中ちょっと間違えたかな?という箇所があるが、ギターの伴奏をうまく引き伸ばしてカバーしている。4.「Bloosom」を始める前にこのコンサートがアメリカン・インディアンのためのベネフィット・コンサートであることが話される。自分で思い通りにコントロールできる弾き語りの妙というか、適度な崩しを入れた自由な歌唱が心地よい。薬のコマーシャルソングで、最初に覚えた曲と紹介される 5.「 Snuff Commercial」はオリジナル・バージョンとしてシンプルに演奏され、続いて1971年版としてジャズコードをつけたJT風モダンバージョンで演奏される。 インストルメンタルの 6.「Greensleeves」では演奏しながら「自作の小品です」と言って笑いを取っている。ここでは約2分間の演奏で、お馴染みのメロディーを様々なパターンにアレンジして弾いている。JTのギターの上手さが伝わってくる。4ビートでのリズムで演奏される 7.「Sunny Skies」、カーター・ファミリーの曲とJTが言う 8.「Diamond Joe」。9.「Coke Commercial」はカッコイイR&Bをギター一本で見事にプレイする、何時聴いても心が躍るパフォーマンスだ。弾き語りは10.「Carolina In My Mind」までで、11.「Riding On The Railroad」からラス・カンケルとリー・スクラーが加わる。ベースの音がオンで録音されているので、彼の良く動くメロディックなラインが生々しい。12.「Fire And Rain」では大きな拍手が起き、1970年9月にヒットしたこの曲に聴衆が馴染んでいるのが分かる。13.「Highway Song」を始める前に兄のアレックスがこの曲を録音したこと、妹のケイトもレコードを出すと言う。この曲についてはスタジオ録音バージョンよりも、ライブのほうが彼の心がグイグイ伝わってくると思う。 ダニー・クーチがステージに現れ、14.「Lo And Behold」を二人で演奏する。2台のアコギのゴスペルロック風絡みが素晴らしい。15.「Machine Gun Kelly」は、女性にそそのかされて誘拐を働き終身刑で投獄されてしまう男の話とコメントされる。 「新曲です」と演奏される16.「Hey Mister, That's Me Up On The Jukebox」でもダニー・クーチはアコギを弾いている。ここで二人はエレキギターに持ち替えてブルース 17.「Steamroller」をプレイする。JTの歌詞に聴衆は笑う。JTの思いっきりブルージーなボーカルに観客は大喜び。ファースト・ヴァースが終わると、バンドがフィルインしダニーのギターソロがフィーチャーされる。4人の楽器が互いに刺激しあうインタープレイが味わえる快演。JTの初期のバンド演奏全般に言えることであるが、18.「Nigth Owl」はテンポをかなり落としてじっくり演奏される。アンコール曲 19.「You Can Close Your Eyes」、最後の曲 20.「Sweet Baby James」が始まると、ひときわ大きな拍手が起きる。 ピアノなしのバンドという構成で、ダニー・クーチとJTのギターの絡みが楽しく、サウンドボード録音もよい歴史的音源だ。 |
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Taylor Made 1971 | |
James Taylor: Acoustic Guitar (Except 6,8,18,19), Electric Guitar (6,18,19), Piano (8),Vocal Danny Kootch: Electric Guitar (6,15,16,17,18,19), Back Vocal (17,18) Carole King: Piano (12,13,14,15,16), Back Vocal (18,19) Ralph Schkett: Organ (6,18,19) Lee Sklar: Bass (6,13,14,15,16,17), Back Vocal (17) Charles Larkey: Bass (19) Russ Kunkel: Drums (6,13,14,15,16,17,19), Percussion (18) Joel O'Brien: Drums (18,19) Abigale Haness: Back Vocal (18,19) [Side A] 1. Sweet Baby James 2. Something In The Way She Moves 3. Hey Mister, That's Me Up On The Jukebox 4. Sunny Skies 5. Chili Dog 6. Steamroller Blues [Side B] 7. Riding On The Railroad 8. Places In The Past 9. You Can Close Your Eyes 10. Soldiers 11. Carolina In My Mind 12. Long Ago And Far Away [Side C] 13. Country Road 14. Fire And Rain 15. Sixteen Candles [Dickson, Allysn R. Khent] 16. Love Has Brought Me Around 17. Woh, Don't You Know [James Taylor, Danny Kootch, Lee Sklar] [Side D] 18. Come On Brother, Help Me Find This Groove [Unkown] 19. The Promised Land [Chuck Berry] 20. Isn't It Nice To Be Home Again 録音: Anaheim Convention Center, 1971年3月21日 |
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1973年の来日コンサートの素晴らしさが大きな話題となったが、当時JTのライブの音源はほとんどなく、ライブアルバム発売の噂も立ち消えとなってしまった。そんな状況のなかで、この海賊盤はキャロル・キングとリー・スクラー、ラス・カンケルのバックバンドと、ダニー・クーチ率いるジョーママとの1971年のツアーの模様をほぼ完全に収録したもので、大変に貴重なものであった。もちろんこれ以外でも数種類のブートレッグが出回ったが、ほとんどが酷い音質・品質のもので、音楽を楽しめるようなものはなかった。そのなかで本作はオーディエンス録音で、良質のライン録りが出回っている現在の基準からすると音質はかなり悪いのだが、それなりの臨場感と音の厚みがあったので、音楽的にじゅうぶん楽しむことができ、ワクワクして聴いたものだ。アナハイムはロスアンジェルス近郊の都市。聴衆の拍手から、数千人規模の会場のようだ。緑のデニム生地のようなジャケットにJTの写真が配され、いかにもブートレッグという手づくり感あふれるジャケット・デザインもいい感じ。当時表紙が白黒コピーのものも出回っていたが、それは海賊盤の海賊盤で、品質的にかなり落ちるものだった。 まずはJTによる弾き語りからコンサートはスタートする。1.「Sweet Baby James」、2.「Something In The Way She Moves」を聴いて曲のテンポがかなり遅めなのがわかる。当時の海賊盤によくあったテープスピードの狂いかなと思っていたが、近年発掘された良質な音源を聴く限り、当時のコンサートでは全体的に曲のテンポが遅かったことが分かった。個人的にはゆったりしていて好きだ。ちなみに2.は歌詞の1部から「I Feel Fine」と表記されている。 3.「Hey Mister, That's Me Up On The Jukebox」は他のライブ音源では余り耳にしない。JTのギターの上手さが光る演奏だ。曲間の語りもなく淡々と進行する。当時未発表だった5.「Chili Dog」が始まると、ナンセンスでユーモラスな歌詞に笑いと拍手が起きる。6.「Steamroller Blues」は実際は17.と18.の間に演奏されている曲で、ここでは収録時間の関係でA面に収めたようだ。7.「Riding On The Railroad」は弾き語りバージョン。レコードの表記ではこの後に「Conversation」となっているが、曲ではなくJTの語りだ。ギターを置いてピアノの前に座り、おどけた仕草で聴衆の笑いを誘う。「これはピアノです。スタインウェイといいます。上手くないので3本の指だけで弾きます」といって、訥々としたピアノの弾き語り8.「Places In The Past」をプレイする。再びギターに戻り、「短い曲です。3年前に書いたのですが、結局このままとなりました」と言って10. 「Soldiers」を歌う。 11.「Carolina In My Mind」を弾きだすと聴衆から拍手が起きる。 12.「Long Ago And Far Away」からキャロル・キングのピアノが加わる。美しい演奏だ。 ドラムスとベースが加わった13.「Country Road」聴衆にDのドローン・コーラスを歌ってもらっている。モノラルの低音質ではあるが、キャロルのピアノがきれいで、リー・スクラーのベースラインもはっきり聞き取れるので、満足すべきだろう。ヒット曲14.「Fire And Rain」のイントロでは大きな拍手が起き、JTが歌いだすとそれは歓声に変わる。JTが時代を代表する存在となった当時の空気がしっかり捕らえられていて、感慨深い。キャロルのシンプルで力強いピアノが誠に印象的だ。 15.「Sixteen Candles」はドゥーワップ・グループのクレスツによる1958年の大ヒット(全米2位)のカバー。16.「Love Has Brought Me Around」をやりますよと言って、予告なしにこの曲を始め、少しふざけ気味の演奏に観客は大喜び。JTがこの曲を演奏する音源はこれだけという貴重なトラックだ。なお15.からダニー・クーチのエレキ・ギターが加わる。17. 「Woh, Don't You Know」も5.と同じく当時未発表で、A4のソウルっぽいファンキーな感じはなく、ほのぼのとしたカントリー・ロック風のサウンドだ。リーとダニーのバックコーラスが入る。JTはエレキギターに持ち替え6.「Steamroller Blues」を演奏する。観客の反応と掛け合いでボーカルも乗っている。間奏のダニーのブルースギターは、スタジオ録音とは異なり、饒舌なソロだ。途中ほんのちょっと4ビートのリズムになる。ラルフ・シュケットのオルガンの伴奏のなか、JTの伴奏ギターがメインとなるワンコーラスの後、ボーカルに戻り終わる。 18.「Come On Brother, Help Me Find This Groove」の曲については詳細不明なのだが、歌の内容からゴスペル・ソングと思われる。ここではロックっぽいR&Bの音作りとなっており、ラルフ・シュケットのオルガンと、ダニー・クーチの圧巻早弾きソロが聴ける。コーラスではジョー・ママのアビゲイル・ハーネス(ダニー・クーチの2度目の奥さんでその後離婚)が目立っている。ほぼ切れ目なくチャック・ベリーのロックンロール19.「The Promised Land」が始まるが、ここでは2ベース、2ドラムという大編成の演奏だ。さすがにこういうヘビーな演奏になると、この録音水準ではきちんと捕らえるのが難しい。ここでもダニー・クーチの早弾きソロが出色だ。アンコールの最後の曲はJTの弾き語りによる短い曲で、「ロスアンジェルスで書きました」と紹介して聴衆の歓声を買っている。 オーディエンス録音で音質は悪いが、それなりの臨場感があり、キャロル・キング、ジョーママとのコンサートの全貌を伝える記録として貴重であることは変わらない。なお本作ではボーナストラックとして、JTがカントリー歌手の大御所ジョニー・キャッシュのTV番組に出演した音源が収録されている。ジョニーの解説の背後で「Fire And Rain」が途中から始まる。「Country Road」と続き、「Oh Susannah」ではセカンド・ヴァースでジョニー・キャッシュがJTのギター伴奏で歌い、最後は一緒に歌うというデュエットバージョンになっている。最後は「Sweet Baby James」。この音源については、「その他断片(1970年代)」の「On Campus」をご参照ください。 |
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Oakland Coliseum, Oakland, California 1972 | |
James Taylor: Acoustic Guitar, Electric Guitar, Piano (9, 14), Vocal Danny Kootch: Electric Guitar, Back Vocal (18, 20) Carole King: Piano, Back Vocal (11, 14, 20) Ralph Schkett: Organ (19, 20, 21) Lee Sklar: Bass, Back Vocal (18, 20) Charles Larkey: Bass (20, 21) Russ Kunkel: Drums, Percussion Joel O'Brien: Drums (20, 21) Abigale Haness: Back Vocal (20, 21) 1. Sweet Baby James 2. Something In The Way She Moves 3. Greensleeves 4. Snuff Commercial 5. Sunny Skies 6. Chili Dog 7. Rainy Day Man 8. Riding On The Railroad 9. Places In My Past 10. Carolina In My Mind 11.Long Ago And Far Away 12. Blossom 13. Country Road 14. Highway Song 15. On Broadway [Jerry Leiber, Barry Mann, Mike Stoller, Cynthia Weil] 16. Fire And Rain 17. Love Has Brought Me Around 18. Woh, Don't You Know [James Taylor, Danny Kootch, Lee Sklar] 19. Steamroller Blues 20. Come On Brother, Help Me Find This Groove [Unkown] 21. The Promised Land [Chuck Berry] 22. You Can Close Your Eyes Live At Oakland Coliseum, Oakland, California In 1972 July 5 |
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これはサンフランシスコ近郊の町オークランドにおける1972年7月5日の録音で、現存するオープンリール・テープは 4本のうち3本のみで、2本目が所在不明になっているとのこと。その失われた部分 8.〜13.(放送音源のため音質は劣る)を加えたコンサートの全貌が上記の曲目である。そのなかで 8.「Riding On The Railroad」については、オムニバス盤「Bitter End Years」B6に収録された演奏と比較し、ギター伴奏の癖などで両者が同一であることが確認された。また10.「Carolina In My Mind」についても、コンサートで撮影された同曲プロモ映像の演奏と同じであり、これら6曲が「失われた曲」であることは間違いないと思う。 大半の演奏については、前述の「Taylor Maid」と内容的に同じなので、記述につき重複する部分が多くなると思うが、ご容赦いただきたい。 コンサートはJTによる弾き語りからスタートする。1.「Sweet Baby James」、2.「Something In The Way She Moves」と続き、イギリスのトラッド 3.「Greensleeves」のインスト版、子供の頃初めて歌った曲を紹介(そのなかで、母親のガートルード、父親のアイザックの名前が出てくる)して 4.「Snuff Commercial」を、オリジナル風とJT流ジャズコードによる70年代風の2通り披露する。当時新曲で、アルバム未収録曲(後に「One Man Dog」 1972 A4に収められた)だった 6.「Chili Dog」は、ギターの伴奏が凝っていて興味深い。ナンセンスでユーモラスな歌詞に笑いと拍手が起きる。弾き語りバージョンの 7.「Riding On The Railroad」の後、JTはギターを置いてピアノの前に座り、9.「Places In My Past」を訥々と演奏する。JTの弾き語りによる 10.「Carolina In My Mind」に続き演奏される 11.「Long Ago And Far Away」では、キャロル・キングが登場し、ピアノ伴奏と一部でハーモニー・ボーカルを付ける。美しくドリーミーな感じが素晴らしい。2人による 12.「Blossom」の後、リー・スクラーとラス・カンケルが登場し、4人で 13.「Country Road」を演奏する。 ここではエンディングのDのドローン・コーラスはないバージョン。JTのボーカルは崩しが多く、いつもより自由奔放な歌唱だ。14.「Highway Song」では、キャロルはJTの弾くピアノの横に座り、連弾で高音部のオブリガードを付け、ハーモニー・ボーカルも少し聞かせてくれる。 15.「On Broadway」は、1963年3月にザ・ドリフターズで全米第9位のヒットとなり、1978年11月にジョージ・ベンソンがリバイバル・ヒット(7位)させたバリー・マン、シンシア・ウェイル夫妻作の名曲のカバー。ちなみにJTは37年後のアルバム「Covers」2008 A20 で、この曲を録音した。 ヒット曲16.「Fire And Rain」のイントロが始まると大きな拍手が起きる。この曲が既にスタンダードになっていることがわかる。キャロルのシンプルで力強いピアノが誠に印象的だ。 ここでやっとダニー・クーチが登場、17.「Love Has Brought Me Around」を賑やかにプレイする。17. 「Woh, Don't You Know」も 5.と同じく当時未発表で、A4のソウルっぽいファンキーな感じはなく、ほのぼのとしたカントリー・ロック風のサウンドだ。リーとダニーによるバックコーラスが入る。JTはエレキギターに持ち替え、19.「Steamroller Blues」を演奏する。間奏のダニーのブルースギターは、饒舌なソロだ。途中ほんのちょっと4ビートリズムになる。ラルフ・シュケットのオルガンの伴奏と、JTのギターがメインとなるワンコーラスの後、ボーカルに戻り終わる。 20.「Come On Brother, Help Me Find This Groove」の曲については詳細不明。ここではロックっぽいR&Bの音作りとなっており、ラルフ・シュケットのオルガンと、ダニー・クーチの圧巻早弾きソロが聴ける。コーラスではジョー・ママのアビゲイル・ハーネス(ダニー・クーチの2度目の奥さんでその後離婚)が目立っている。ほぼ切れ目なくチャック・ベリーのロックンロール21.「The Promised Land」が始まるが、ここでは高水準の録音が、2ベース、2ドラムという大編成によるハードな演奏を見事に捉えている。ここでもダニー・クーチの早弾きソロが出色だ。アンコールの最後の曲はJTの弾き語り。映像版の「BBC In Concert」 (Band Version)を併せ観るとイメージが湧いて面白いと思う。 8.〜13.以外は録音も非常に良く、初期のコンサートの記録として貴重な音源だ。 [2022年11月追記] 本コンサートの一部の曲につき、映像を見ることができます。いままでに観ることができた曲は、9.「Places In My Past」、 10.「Carolina In My Mind」、11.「Long Ago And Far Away」、14.「Highway Song」、16.「Fire And Rain」 、19. 「Steamroller Blues」の 6曲。1〜2曲毎の個別の動画がYouTubeに投稿されたもので、長い時間をかけて少しづつ増えていったもの。本来カラーなんだけど、動画では白黒だったり、画質・音質がイマイチのものなど、いろいろあるが、若々しいJT、キャロル・キングとバンドの姿を観て楽しめる。 昔インターネットがなかった約50年前は、海外アーティストの動画を観る機会は滅多になく、たまにNHKがスペシャルでテレビ放送してくれる位だった。そういう状況のなかで、海外アーティストの動画をまとめて上映するイベントに参加して、新宿の映画館で観た思い出があり、当夜上映されたひとつがこの動画だった。大好きなJTの姿を大きなスクリーンで観て感動したこと、ダブルドラムス(ラス・カンケルとジョエル・オブライエン)のシーンに凄いなあと思ったことを覚えている。今動画を観ると、青春の悩みと、将来に対する期待と不安に満ちていた日々の記憶が蘇ってきて、何とも言えない気分になる。 いつか、この映像を通しで観れるといいなあ。 [2023年3月追記] キャロル・キング・ディスコグラフィー「その他映像・音源」に、本コンサートについてキャロルに焦点を当てて書いたものを掲載しました。 |
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Radio City Music Hall, New York 1972 | |
James Taylor : Acoustic Guitar, Electric Guitar (16, 24), Piano (9), Vocal Danny Kootch: Acoustic Guitar (5, 11), Electric Guitar, Chorus (12) Craig Doerge : Keyboard Lee Sklar: Bass, Chorus (12) Russ Kunkel: Drums, Percussion [Part 1] 1. Sweet Baby James 2. Makin' Whoopee [Walter Donaldson, Gus Khan] 3. Riding On The Railroad 4. Long Ago And Far Away 5. Lo And Behold 6. Anywhere Like Heaven 7. Brighten Your Night With My Day 8. Something In The Way She Moves 9. Highway Song 10. Sunny Skies 11. Carolina In My Mind 12. Rainy Day Man 13. Instrumental II 14. Hymn 15. Fanfare [Part 2] 16. Nobody But You 17. You've Got A Friend [Carole King] 18. Chili Dog 19. New Tune 20. Back On The Street Again [Danny Kortchmar] 21. Don't Let Me Be Lonely Tonight 22. Country Road 23. One Man Parade 24. Steamroller 25. Fire And Rain 26. You Can Close Your Eyes 録音: 1972年11月3〜4日 Radio City Music Hall, New York |
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「One Man Dog」A4 発売の直前・直後に、ニューヨークのラジオ・シティ・ミュージック・ホールで行われたコンサート。JTがザ・セクションと一緒に演奏する音源は少なく、「One Man Dog」に収録された曲を多く演奏している点でも貴重なものだ。当時彼はニューヨークに住んでいたはずで、地元コンサート特有のくつろぎ感があり、ファンの声援も暖かく人気絶頂期の雰囲気が味わえる。また11月3日はコンサートの場でカーリー・サイモンとの結婚を明らかにした日と言われており(音源のなかにはその箇所は見当たらない)、JTは幸せの絶頂期にあったはずで、彼の調子はすこぶる良い。 弾き語りによる 1.「Sweet Baby James」が始まると大きな歓声が起きる。オーディエンス録音で音質は決して良くないが、臨場感があってクセのない音なので、十分楽しめる。ポロポロとギターを弾いたあと 2.「Makin' Whoopee」が始まり、驚いたオーディエンスから拍手と笑いが起きる。当時のJTがこの手のスタンダード・ソングを歌うことは珍しかったからね!この曲は1928年の同名のミュージカルでエディ・キャンターが歌って有名になり、その後多くのシンガーにカバーされている。最近では1982年のドクター・ジョン、2006年のロッド・ステュワートとエルトン・ジョンのデュエット、2009年にはエルヴィス・コステロのテレビ番組「Spectacles」で、奥さんのダイアナ・クラール、エルトン・ジョンの3人で歌ったものがある。歌詞の内容は、甘い結婚式・新婚生活から、倦怠期を経て裁判による協議離婚に至る男女の関係をシニカルに描いたものであるが、ここでのJTは最初のスウィートな部分のみを歌って終わりにしているのが面白い。結婚したばかりの人が後半の歌詞を歌うなんて、さすがにあり得ないね〜 3.「Riding On The Railroad」、4.「Long Ago And Far Away」と弾き語りが続いた後で、ここでJTはダニー・クーチを呼び出し、アコギ2本で 5.「Lo And Behold」を演奏する。6.「Anywhere Like Heaven」はクレイグ・ドルギーのエレクトリック・ピアノとの演奏。7.「Brighten Your Night With My Day」からはリー・スクラーとラス・カンケルも加わる。エンディングでアドリブ・ボーカルを披露するなど、初期の曲をやっても以前のように暗さを感じないのは、当時のJTの精神状態が歌に反映しているからと思われる。8.「Something In The Way She Moves」は弾き語りの演奏が多い曲だが、ここではドラムス、ベースが入ったバンド・アレンジだ。9.「Highway Song」でJTはピアノを弾きながら歌うが、途中間違える箇所もあり、ギターとは違いヘタクソ。ここで気の早い聴衆からは「Fire And Rain」のリクエストが飛ぶが、「Sunny Skiesをやるよ」と言われ、皆大喜び。10.「Sunny Skies」はフォービートによる軽快なアレンジで、レコードのものと雰囲気がかなり異なる。いつもと変わったイントロから始まる、デビュー盤と同じくテンポが速めで、ダニー・クーチのアコースティック・ギターがゴキゲンな 11.「Carolina In My Mind」、ここで6. の後引っ込んでいたクレイグが再登場して、明るい感じの12.「Rainy Day Man」が始まる。イントロとエンディングでのバック・コーラスは、ダニーとリーだろう。本コンサート全体に言えることで、JTは随所に崩しやアドリブを入れて、自由な感じで歌っているね。13.「Instrumental II」はニューアルバムからで、JTのギターを主体としたインストルメンタル。昔「ヤング・ギター」の別冊に載っていたタブ譜を参考によく弾いたもんだった。 14.「Hymn」、15.「Fanfare」は、レコードと同じくメドレーで演奏される。スタジオ録音ではブラス・セクションがフィーチャーされるが、ここではエレキギターとピアノで賄っており、ライブ用アレンジの妙を楽しめる。 音源はふたつのパートに別れており、資料ではPart 1が11月3日、Part 2が4日のコンサートとなっているが、真偽は不明。16. 「Nobody But You」も「One Man Dog」からで、この曲のライブを聴けるなんてうれしいね〜。17.「You've Got A Friend」が始まるとオーディエンスは大騒ぎ。エンディングでJTのアドリブ・ボーカルがたっぷり入る。18.「Chili Dog」からは新アルバムからの曲が並ぶ。19.「New Tune」、20.「Back On The Street Again」 も私が知る限りライブで聴けるには本音源のみだ。 21.「Don't Let Me Be Lonely Tonight」は、エンディングでサックスまたはエレキピアノのソロが入るのが普通であるが、ここではJTがスキャットを入れている。22.「Country Road」は、ダニー・クーチのギタープレイが聴きもの。後半でオーディエンスにDの音程によるコーラス参加を頼んでいる。 23.「One Man Parade」はJTのアコギのプレイが光り、24.「Steamroller」では間奏でダニー・クーチのギターが大暴れする。25. 「Fire And Rain」はアンコールで演奏され、最後は弾き語りによる 26.「You Can Close Your Eyes」で終わる。 「One Man Dog」発売時のコンサート音源として貴重、かつ結婚直後ということでJTの精神状態も良く、人気も最高という、いろんな好条件がそろった音源。 |
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Koseinenkin Hall, Tokyo Japan 1974 | |
James Taylor : Acoustic Guitar, Electric Guitar (13,14,19), Vocal, Back Vocal (21) Carly Simon : Vocal Danny Kootch: Acoustic Guitr (7), Electric Guitar Craig Doerge : Keyboard Lee Sklar: Bass Russ Kunkel: Drums, Percussion (14) 1. Sweet Baby James 2. Blossom 3. Riding On The Railroad 4. Long Ago And Far Away 5. Greensleeves 6. Hey Mister, That's Me Up On The Jukebox 7. Lo And Behold 8. Something In The Way She Moves 9. Highway Song 10. Sunny Skies 11. Carolina In My Mind 12. Instrumental II 13. Hymn 14. Fanfare 15. Country Road 16. You've Got A Friend 17. One Man Parade 18. Don't Let Me Be Lonely Tonight 19. Steamroller 20. Fire And Rain 21. You're So Vain [Carly Simon] 22. You Can Close Your Eyes 録音: 1973年2月9日 新宿厚生年金会館 |
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ジェイムス・テイラー初来日コンサートの音源。当時は現在のようなインターネットはおろか、テレビ局がロックの映像を放送することは滅多になく、ビデオのような映像媒体も一般的ではなかった時代。その頃は「フィルムコンサート」と呼ばれるイベントが開催され、劇場でアーティストのプロモーション・フィルムがまとめて上映されたものだった。グランドファンク・レイルロードが登場した時、前列に座っていた女性から黄色い声が飛んだことを覚えている。海外旅行も珍しく、ロックの大物アーティストのライブを観るなんて夢のようだと思っていた頃、1970年のブラッド・スウェット・アンド・ティアーズから始まり、1971年のフリー、シカゴ、ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンと続いた来日公演は、ファンにとって驚天動地の出来事だった。集客力が大きくギャラが高い大物アーティストは、武道館や後楽園球場などがコンサート会場となったが、JTの東京コンサートは比較的こじんまりとして音響効果が良かった厚生年金会館で行われ、その質の高いパフォーマンスは大きな話題となった。 コンサートは前座として、ザ・セクションの演奏から始まった。これらの曲の音源も出回っているようだが私は未聴。JTのステージの最初は弾き語りだ。私が聴いた音源では、1.「Sweet Baby James」は途中からフェイドインする。サウンドボード録音と思われるが、テープダビングをかなり繰り返したらしく、音質的には劣化している。曲間のオーディエンスの拍手がほとんど聞こえないのは、ライブの雰囲気が味わえないが、その分鑑賞に集中できるメリットもある。静かな曲 2.「Blossom」では雑音が気になるが、3.「Riding On The Railroad」は十分に楽しめる状態だ。おなじみの曲が続き、7.「Lo And Behold」では、ダニー・クーチのアコギが加わる。8.「Something In The Way She Moves」は、ドラムスとベースをバックとした珍しいアレンジだ。リー・スクラーのよく動くベースラインが凄く、ラス・カンケルのブラッシュ・ワークと相まって、この曲にしてはグルーブ感に満ちたプレイとなっている。JTがピアノを弾きながら歌う 9.「Highway Song」は、バンドと一緒のせいか、JTの歌唱は何時になく自由奔放。曲の最後にベースがメロディーを奏でる短いインストメンタル・ブレイクが入っている。10.「Sunny Skies」もバンドと一緒のプレイで、ジャズ的なアレンジが面白い。私の聴いた音源では、曲の途中でカットが入っており残念。11.「Carolina In My Mind」は、リズムセクションに加えて、ダニー・クーチがアコギでリードギターを付けており、そういう意味でいつもとかなり異なるサウンドになっており、大変面白い。「One Man Dog」A4に収録されていた 12.「Instrumental II」のライブ演奏はお宝音源。ここからクレイグ・ドルギーの演奏がはっきり聞こえる(それ以前の曲でも演奏していると思われるが、はっきりとは聴こえないので、正確には判らない)。13.「Hymn」、14.「Fanfare」は本音源で最も印象に残るトラックで、「One Man Dog」A4のメドレー曲(の一部)がライブで聴けるなんて最高!特にレコードでは、13.「Hymn」でのブラスバンド、およびサックスソロのパートをダニーのエレキギターが、14.「Fanfare」のイントロのブラスのファンファーレはクレイグのピアノがカバーしている。どちらも達者な演奏で大変興味深く、「One Man Dog」A4マニアの私としては、感涙ものだ。15.「Country Road」でも、クレイグによる、オリジナル録音のキャロル・キングと異なるタッチのピアノプレイが前面に出ていて、そのニュアンスの違いを十分に楽しめる。バックの演奏(特にドラムス)がハードな分、JTのボーカルもしっかりロックしている。16.「You've Got A Friend」でのダニーの伴奏はアコギだ。クレイグのエレキピアノを聴いていると、彼が非常に個性的なスタイルのプレイヤーであることが判る。JTとの付き合いが短かったのはそのためかな?17.「One Man Parade」のザ・セクションとのライブ演奏を聴けるなんて、幸せだなあ〜。間奏部分ではアップテンポになり、ブラジル音楽風クロスオーバーサウンドの中でダニーが早弾きソロを展開する。18.「Don't Let Me Be Lonely Tonight」を感動しながら聴いていたが、最後のソロの部分がカットされてしまい、あれ〜とずっこけてしまう。クレイグ(あるいはダニーの?)のソロが聴けると思ったのに.....残念無念。19.「Steamroller」もクレイグのブルース(エレキ)ピアノ、ダニーのギターソロの絡みをたっぷり堪能できる。20.「Fire And Rain」もザ・セクションがバックなので、いつになく跳ねたサウンドになっている。JTは11月に結婚したばかりのカーリー・サイモンと一緒に来日しており、アンコールで彼女が登場し、飛び入りで当時ヒット中だった12.「You're So Vain」を歌った。JTは、カーリーのレコード・バージョン(「No Secrets」 1972 C9 JTは不参加)ではミック・ジャガーが歌っていたバックボーカルのパートを担当している。最後は 22.「You Can Close Your Eyes」の弾き語りで締めくくる。 1972年11月に発売された「One Man Dog」A4のプロモーションとしての来日だ。同アルバムでバックを勤めたザ・セクションとのインタープレイが楽しめる。クレイグ・ドルギーがJTのバックでキーボードを担当した期間は意外に短く、残った音源は少ない。 |
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Auditorium Theater, Chicago 1974 | |
James Taylor : Acoustic Guitar, Vocal David Spinozza : Electric Guitar, Acoustic Guitar Hugh McCracken : Electric Guitar, Acoustic Guitar, Harmonica Don Grolnick : Keyboards Andy Muson : Bass Rick Marotta : Drums, Percussion Carly Simon: Vocal 1. You Can Close Your Eyes 2. Riding On The Railroad 3. Something In The Way She Moves 4. Long Ago And Far Away 5. Sunshine Sunshine 6. Night Owl 7. Me And My Guitar 8. Country Road 9. You've Got A Friend 10. Promised Land [Chuck Berry] 11. Carolina In My Mind 12. Migration 13. Let It Fall Down 14. Brighten Your Night With My Day 15. Knockin' Around The Zoo 16. One Man Parade 17. Rock 'N' Roll Is Music Now 18. Anywhere Like Heaven 19. Don' t Let Me Be Lonley Tonight 20. Fire And Rain 21. Mockingbird [Inez & Charlie Foxx, Addtional Lyrics: James Taylor] 録音: Auditorium Theater, Chicago, 1974年5月4日 |
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ハワード・シルヴァという人の録音による音源で、ニール・ヤングやジョージハリソンなどもあるそうだ。同年のカーネギーホール公演の少し前のコンサートで、カーネギーの音源に比べて曲数が少なく、特にアンコール部分はカットされている。またオーディエンス録音なので音質も劣るが、当時の携帯録音機とマイクの性能を考慮すると、まあまあといったところかな。ベースの音がオフ気味ではあるが、他の楽器の音はしっかり聴こえる。ただし音が大きくなると歪み気味になるのが残念。 演奏曲、演奏内容はカーネギーとほぼ同じ(唯一の相違点はブラスセクションの参加がないこと)なので、記述を省略します。 |
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Carnegie Hall 1974 | |
James Taylor : Acoustic Guitar, Vocal David Spinozza : Electric Guitar, Acoustic Guitar Hugh McCracken : Electric Guitar, Acoustic Guitar, Harmonica (7) Don Grolnick : Keyboards Andy Muson : Bass Rick Marotta : Drums, Percussion Jon Faddis : Trumpet Alan Rubin : Trumpet Barry Rogers : Trombone Frank Vacari : Tenor Sax Goerge Young : Alto Sax Kenny Berger : Balitone Sax Howard Johnson : Tuba Carly Simon: Vocal , Back Vocal Peter Asher: Back Vocal [1974年5月26日] 1. Riding On The Railroad 2. Something In The Way She Moves 3. Blossom 4. Long Ago And Far Away 5. Sunshine Sunshine 6. Night Owl 7. Me And My Guitar 8. Country Road 9. You've Got A Friend 10. Promised Land [Chuck Berry] 11. Carolina In My Mind 12. Sunny Skies 13. Migration 14. Let It Fall Down 15. Brighten Your Night With My Day 16. Knockin' Around The Zoo 17. One Man Parade 18. Anywhere Like Heaven 19. Don' t Let Me Be Lonley Tonight 20. You're The One [Deadric Malone] 21. Rock 'N' Roll Is Music Now 22. Fire And Rain 23. Mockingbird [Inez & Charlie Foxx, Addtional Lyrics: James Taylor] 24. Ain't No Song [David Spinozza, Joey Levine] 25. Sweet Baby James [1974年5月27日] 26. You Can Close Your Eyes 27. Riding On The Railroad 28. Blossom 29. Something In The Way She Moves 30. Long Ago And Far Away 31. Sunshine Sunshine 32. Night Owl 33. Me And My Guitar 34. Country Road 35. You've Got A Friend 36. Promised Land [Chuck Berry] 37. Carolina In My Mind 38. Never Never Land [Betty Comden, Adolph Green, Jule Styne] 39. Migration 40. Let It Fall Down 41. Brighten Your Night With My Day 42. Knocking Round The Zoo 43. One Man Parade 44. Anywhere Like Heaven 45. Don' t Let Me Be Lonley Tonight 46. Fire And Rain 47. You're The One [Deadric Malone] 48. Rock 'N' Roll Is Music Now 49. Mockingbird [Inez & Charlie Foxx, Addtional Lyrics: James Taylor] 50. Ain't No Song [David Spinozza, Joey Levine] 51. Sweet Baby James 録音: Carnegie Hall, New York 1974年5月26日、27日 |
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「Walking Man」A5 発売直前に行われたニューヨーク、カーネギー・ホールにおけるコンサートのサウンドボード録音。その模様はDIR Radio Network によって録音され、2日目(27日)の演奏が、同年6月30日に「King Biscuit Flower Hour」というラジオ番組で放送された。その後は当該放送をソースとするブードレッグが出回っていたが、30.「Sunshine Sunshine」、31.「Me And My Guitar」、35.「Migration」、39.「Anywhere Like Heaven」、42.「You're The One」、43.「Rock 'N' Roll Is Music Now」がカットされ、音質もいまひとつのものだった。それに対し近年、それらの曲を含む良質な音源が出回り、さらに1日目(26日)の演奏も聞くことができた。1〜25、26〜46のふたつの音源を聞き比べたところ、すべての曲につき異なる演奏であり、両者は別の日の録音ということで間違いないだろう。しかも26日の演奏は、27日にない曲 6. 「Night Owl」、 11.「Carolina In My Mind」、12.「Sunny Skies」、16.「Knockin' Around The Zoo」を含み、コンサートの模様をほぼ完全に収録したものと思われる。音質もばっちりで申し分なしの出来栄えだ。バックのメンバーは「Walking Man」の録音メンバーからなり、ニューヨーク派とも言える、ソリッドで洗練されたサウンドは、今までのJTサウンドのイメージを固めてきたウエスト・コースト風のザ・セクションのそれと比較して、JTにとり何か異質な感じがする。要するに当時「Walking Man」A5を初めて聴いたときの印象と共通しているわけであるが、名うてのセッション・ギタリスト2名によるバックの絡み、ドン・グロルニックの初期のプレイなど聴き所はそれなりにある。 1日目の26日の演奏を解説する。コンサートはふたつのパートからなり、1〜10 までがファーストセット。1.から3.までが弾き語りで、初期の初々しい雰囲気がまだ残っている。4.「Long Ago And Far Away」 からピアノとベースが加わる。5.「Sunshine Sunshine」は、ラテン調のリズムが強調され、ボサノヴァ風の洗練された音作りになっており、初期の演奏と雰囲気が変わっているのが面白い。 6. 「Night Owl」から二人のギタリストがバックに加わる。左右のチャンネルからエレキギターが聞こえるが、全編を通して聴くと、左がデビッド・スピノザ、右がヒュー・マックラケンのように思える(注: 最初は反対に記載していましたが、26日の演奏を通して聴いて改めました)。7.「Me And My Guitar」ではレコードと同じサウンドが再現され、JTのギターも巧みだ。ワウワウを効かせた2台のエレキギターのファンキーな演奏は、当時流行ったニューソウルのスタイルだ。ここで聞こえるハーモニカは、「Walking Man」A6 と同じくヒュー・マックラケンの演奏だろう。 8.「Country Road」は、これまでにないヘビーなロック調の演奏で、JTのボーカルもワイルド。また 9.「You've Got A Friend」における、崩した歌い方にはビックリするぞ! ホーンセクションが加わった派手な演奏 10.「Promised Land」で前半を締めくくる。サックス、トランペット、トロンボーン、バリトンサックス、チューバなど7人のプレイヤーによるホーンセクションの厚みのある伴奏が聴ける。ここでもJTのボーカルは、「Walking Man」A5のバージョンと比べて自由奔放。 後半は弾き語りから始まる。 新曲 13.「Migration」における、ギター1本の弾き語りによる素晴らしい表現力は見事だ。「政治的な曲を歌います」と紹介された 14.「Let It Fall Down」はニクソン大統領のことを歌っているのは明らかで、随所で共感したオーディエンスの拍手が起きる。これ以降はあまり演奏しなくなる初期の曲 15.「Brighten Your Night With My Day」は、洗練されたサウンドで、初期の暗く、ひんやりとした感触は影を潜め、陽だまりの中のような暖かさに満ちている。17.「One Man Parade」はリック・マロッタのパーカッションの跳ねたリズムが、よりラテン的。男性コーラスは誰が歌っているのだろう? 18.「Anywhere Like Heaven」では、左チャンネルからスライド・ギターが聞こえる。19.「Don' t Let Me Be Lonley Tonight」のエンディングにおけるソロはドン・グロルニックだ!ここでは後年の円熟した貫禄とは異なる若々しい演奏だけど、インプロヴィゼイションにおける非凡なひらめきはさすがで、ひとつひとつの音の粒がキラキラと輝いている。20.「You're The One (That I Adore)」は、JTのアナウンスによると、「誰の作品か分からないが、ボビー・ブルー・ブランドにより有名になった曲」とある。Bobby 'Blue' Bland (1930- )はメンフィスを本拠地とするブルース・シンガー。ブルース音楽界でレーベルオーナー、プロデューサーとして活躍したデドリック・マローンの作曲によるゴスペル・ブルース調の曲で、ブラスセクションが加わり大いに盛り上がる。間奏にかなり派手なトランペットおよびギター・ソロが入る。21.「Rock 'N' Roll Is Music Now」も派手な演奏で、重厚なブラスセクション、シャウトするJTのボーカルが印象的。22.「Fire And Rain」は、ツインギターのリズミックな音作りが、いつもと異なる感じで面白い。23.「Mockingbird」では、イントロに続きカーリー・サイモンの声が聞こえると、1974年2月に全米5位を記録したばかりの曲でもあり、聴衆は大喜びだ。ブラスセクションも加わり賑やかな演奏。アンコールに入り、ギタリストのデビッド・スピノザが作曲した24.「Ain't No Song」では、カーリーに加えて、マネージャーのピーター・アッシャーのバック・ボーカルが楽しめる。ホーンセクションでフルートを演奏している人がいる。ライブ演奏としては珍しい曲で、洗練された上質のソウル音楽のような味わいがある。最後は弾き語りによる25.「Sweet Baby James」 で締めくくる。 2日目の5月27日の演奏自体は、26日と大差ないが、曲間のJTの語りと、各楽器のソロ演奏の違いを楽しむことができる。当初はラジオ放送された曲のみが出回っていたが、2008年に29, 32, 37, 38, 42の音源が追加された完全版を聴くことができるようになった。演奏曲や曲順はほとんど同じであるが、26日にない曲は、26.「You Can Close Your Eyes」と、38.「Never Never Land」の2曲。後者は1954年初演のブロードウェイ・ミュージカル「Peter Pan」で歌われた曲で、JTの演奏が聴けるのは本音源のみだ。 そして 40.「Don' t Let Me Be Lonley Tonight」のドン・グロルニックのエレキピアノは、19とは全く異なるもので、感涙ものだ。 ということで、従来よりもメロディーやリズムの崩し方が自由で奔放な歌い方が印象的で、ギター、ドラムスに顕著な躍動的なリズムなどソウル音楽への傾倒を深める中期のスタイルへの過渡期といえる。JTとしては評価が低い時期の音源だけど、今聞くとそれなりに素晴らしい内容だと思う。 |