ペンタングル3回目のアメリカツアーの音源。東海岸のカーネギー・ホールから始まり、アメリカを縦断して西海岸で終わるハードなスケジュールだったようで、本コンサートはその終盤のものだ。長旅に加えて、大きな会場での他のアーティストとの共演や、観客の反応などが英国と異なるため、彼らはかなり疲れていたという。録音のせいか、サウンド的に少し荒っぽい感じがするが、それでもハイレベルのパフォーマンスであることは間違いない。
2008年春、この音源を聴くことができた。資料によると、このコンサート会場であるバークリー・コミュニティー・シアターは、高校のキャンパス内にある劇場で、席数は3,500。グレイトフル・デッドやジョニ・ミッチェル等のロック・コンサートが多く開催されたという。当日のコンサートのポスターによると、共演者はジェイムス・テイラーだったとのこと。彼は当時は1人で弾き語りをしていた時代で、彼の音源も残っている(ジェイムス・テイラーの部 「その他音源」参照)。またポスターには、翌日5月30日の出演者として、ジミ・ヘンドリックスの名前が載っており、1970年代初めのロック台頭の時代の熱気にあふれていて、彼らはこういう雰囲気のなかで演奏したことになる。ブリティシュ・フォークやトラディショナルをアメリカで演奏することは、どんな感じだったろう。当時のアメリカ西海岸は、ヒッピー・ムーブメントの中心地であり、先入観に囚われない自由な考えがあったと思われ、彼らの音楽もそれなりに受け止められたのではないかと思う。
まず初めに断っておく点がある。本音源は録音が不安定で、箇所により大変生々しく捉えられている部分もあれば、痩せた音で音楽の良さを味わうには問題がある部分もあるということだ。1.「Bruton
Townは、途中の間奏部分からフィルインする。いきなり聴かされるジョン・レンボーンのエレキギターによるソロは、大変アグレッシブだ。「Sweet
Child」 P3のライブのように録音されることを意識せず、心のままに弾いているようだ。録音的には低音部分が足りず、高温音が強調されたサウンドであるが、バートのリフ、ダニーとテリーのリズムの切れ味がしっかり捉えられていて、兄達に恋人を殺された娘の怒りが迸るように表現されている。曲はバートとジャッキーの合唱によるテーマに戻って終わる。2.「Sally
Free And Easy」は1972年の「Salomon's Seal」 P7で公式録音されるが、1970年当時すでに彼らのレパートリーであったことがわかる。この曲の録音は大変生々しく、ダニーのベース、テリーのグロッケンスピエル(鉄琴の一種)、バートのボーカル、ジャッキーのハミング、ジョンのリードギター、どれも素晴らしい。3.「Sarabande」は、バートは非参加。ジョン・レンボーンのソロアルバム「The
Lady And Unicorn」に入っていたバッハの曲のアレンジで、オリジナル録音はジョンの独奏であったのに対し、ここではテリーのグロッケンとの二重奏だ。P10に収録された同曲のライブ音源とともに、ジョンのファンのお宝音源だ。バートによって「15世紀のロックンロールです」と紹介される
4.「Hunting Song」は、少し荒っぽいが自由奔放な演奏ともいえる。それにしてもダニーとテリーのリズムセクションの凄さは脱帽ものだ。
5.「In Time」は、少し痩せた録音が気になるが、各楽器の音はしっかり聴こえるので大丈夫。テーマではバートのプレイが押し、間奏ではジョンのインプロヴィゼイションが頑張る。曲の途中で突音圧が豊かになる。ジョンに続き、バートにもソロのパートがあり、相変わらず弦をバチバチ言わせながらプレイする。エンディングでのダニーのソロの内容がいつも全く異なるのはさすがだ。バートのシンプルなギターとダニーのアルコ(弓弾き)のみの伴奏で歌われる合唱曲
6.「Lyke-Wake Dirge」は、アメリカ人には理解できるのかな?ジョンのリードでジャッキー、テリーの3人で歌っているものと思われる。
7.「Light Flight」は一転して奔流のようなリズムで、バートのリフがスゴイ。セカンド・ヴァースでジャッキ−のボーカルに絡む、テリーのスキャットボーカルが生々しい。ここでのテリーのドラミングは自ら息づく生き物のようだ。エンディングでハイリングが起きる。8.
「Goodbye Pork-Pie Hat」は、何といってもジョンのプレイが聴きもの。録音が痩せているのが残念。それでもバートのリズムとジョンのリードのインタープレイははっきり聴こえる。ジョンの積極的なプレイが大変印象的。
9.「Speak Of The Devil」は、「警告の歌です」と紹介され、バートの歌とギター、ダニーのアルコのみで演奏される。この曲は、私が知る限りペンタングル、バート・ヤンシュの公式・非公式いずれも他の音源がなく、ここだけで聴けるもの。残念ながら録音が痩せているため、曲の本当の醍醐味がわからず、曲の良し悪しについて公平な判定ができない。でもファンにとって貴重な音源であることに変わりはない。10.「Train
Song」は近年出た同曲の他の音源と比較するとかなり粗っぽい感じがするが迫力は満点。 11.「House Carpenter」はバートがバンジョー、ジョンがシタールを弾き、ボーカルも好調だが、残念ながら途中でフェイドアウトしてしまう。
本音源のハイライトは約19分におよぶ 12.「Pentangling」だろう。P10における同曲の演奏は1970年3月の収録なので、ここでの演奏はその2ヵ月後となる。曲の構成は大体同じであるが、P10ではバートのギターがオフになってあまり聴こえなかったのに対し、ここでは4人の演奏が良好なバランスではっきり聴こえるため、インタープレイの妙をじっくり味わうことができる。この音源ではジョンがハーモニカを吹いていないこと、後半の「Sally
Free And Easy」のモーチーフが合唱でなく、ジャッキーのみで歌われていることなど、細かな相違点はたくさんある。ダニーのベースソロはマイルス・デイビスの「So
What」のテーマを除いては、全く異なる演奏となっていて、この人のインプロヴィゼイション能力の素晴らしさを物語っている。最後のヘビーなブルース演奏の部分では、テリーのバスドラのグルーブが最高で、ジョンが目一杯頑張ったブルースギターもカッコイイ。
ということで、録音品質にバラツキがあるが、歴史的に貴重な音源であることには変わりはない。
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Pentangle In Concert (Sing The Pentangle) (1970) (TV映像) |
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Bert Jansch: Guitar, Banjo (5), Vocal (1,2,5)
John Renbourn : Electric Guitar, Sitar (5), Back Vocal (2)
Jacqui McShee : Vocal (2,3,5,6), Back Vocal (1)
Danny Thompson: Bass
Terry Cox : Drums, Glockenspiel (2), Back Vocal (2,3)
1. Train Song [Pentangle]
2. Hunting Song [Pentangle]
3. Light Flight [Pentangle]
4. In Time [Pentangle]
5. House Carpenter [Traditional]
6. I've Got A Feeling [Pentangle]
BBC放送によるスタジオライブ
収録日 1970年6月20日
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30年以上を経て蘇ったペンタングル全盛期の映像だ!! 音源としては1995年にP8 「Live At The BBC」というタイトルでCD化されていたが、本来の姿である映像は、ビデオ「John
Renbourn Rare Performance 1965-1995」 1996 O5で 4.のみ収録されてていたもの。存在は知りながら、長い間観る事ができなかったお宝映像なのです。
ジョンレンボーンの試し弾きのようなイントロの後、映像が始まる。スキャットボーカルを見せるジャッキー・マクシーの表情が固めで、緊張しているのが判る。バートはギターを弾きながら、俯き加減で歌う。ジョンは顔を伏せて一心不乱にギターを弾く。テリーも地味なプレイで、唯一ダニーが全身をぶつけるように激しいアクションでベースを弾きまくる。1.「Train
Song」は 3.とともに本作の目玉で、彼等が演奏する姿を長い間夢見てきたものだ。バートとジョンのギターはもちろんのことであるが、ダニーの強靭なベース、テリーの繊細なドラムスによるリズムセクションの物凄さをたっぷりと味わうことができる。エンディングでのダニーの弓弾きによるベースは、シンセサイザーのような異様な効果をあげている。組曲風の
2.「Hunting Song」の導入部ではテリーが鉄琴の一種、グロッケンスピエルを演奏する。バートとジャッキーの掛け合いボーカルで進行し、パート毎にメロディーとリズムが変わってゆく。レンボーンは本作では全ての曲でエレクトリック・ギターを弾いている。使用ギターはギブソンのセミホロウ・ボディーのES-335で、ドット・ポジション・インレイのモデルだ。これは現在はレア・アイテムとして大変な値打ちものになっているが、レンボーンによると、このギターは残念ながら、かなり昔に盗まれてしまったとのこと。曲の後半部分ではダニーを除く4人によるコーラスを聞くことができる。
3.「Light Flight」ではジャッキーのボーカルのバックで、テリーが洒落たスキャットをつけている。ここでもダニーのベースが大活躍。この手のアップテンポの曲を演奏していても、みんなクールなんだよな〜。特に椅子に座り、目線・表情を変えずに歌うジャッキーが印象的だ。他の男達も淡々とした顔つきでプレイに没頭している。4.「In
Time」はインストルメンタルで、ジャッキーは席をはずす。リフを伴奏に、バートのギターがメロディーを奏でる場面もあり、面白い演奏だ。5.「House
Carpenter」ではバートのバンジョーとジョンのシタール演奏が楽しめる。特に後者が見れる映像はここだけで、とても貴重だ。最後の曲 6.「I've
Got A Feeling」になるとバンドの演奏はかなりリラックスしている。ジャズワルツを低めの声で歌うジャッキーの顔は、かすかに微笑んでいて、ほっとした気持ちを読み取ることができる。そして最後の部分では自信に満ちた表情に変わってゆくのがとてもいい雰囲気だ。
とてもいい出来だと思う。
[2023年11月追記]
ペンタングルのYouTubeチャンネルに良質の画像がアップされていて、タイトルに「4th January 1971」とあるが、これは収録日が間違っているか、放送日の記載かのいずれかで、本映像の収録日は
1970年6月20日が正しい。というのは、@過去音源で公式発売された「Live At BBC」1995 P8の日付が「Jun 20」になっていること
Aボックスセット「The Albums」2017 P11のブックレットに記載された年表には「1970 Sat 20 BBC TV In Concert
tele-recording」の記載があること。B決定的な証拠として、映像におけるメンバーおよびオーディエンスの服装が夏服で、冬服を着ている人が一人もいないこと、だ。おそらく1月4日は未確認であるが放送日じゃないかな?
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Take Three Girls "Private Sector" (Season2 Episode 2) (1971)テレビ映像 |
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Bert Jansch : Guitar
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal, Hamming
Danny Thompson : Bass
Terry Cox : Drums, Percussion, Vibraphone
Barra Grant : Lulie
Liza Goddard : Victoria
Carolyn Seymour : Jenny
Carey Harrison : Writer
Bary Davis : Director
放送 : 31 March 1971, BBC1
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1969年11月〜1970年2月に放送されたBBCのテレビドラマ 「Take Three Girls」は、好評のためシーズン2が制作され、1970年3月〜6月に12本が放送された。シーズン1の
3人の主演女性のうち、ヴィクトリア(リザ・ゴッダード)のみが残り、アメリカ人で心理学卒業生のルーリー(バーラ・グラント)とジャーナリストのジェニー(キャロリン・シーモア)が加わった。シーズン1と同様、多くのエピソードが廃棄され、残っているのは、第2,
6, 11, 12の4本のみ。そして現在公開されているのは、本編エピソード2のみだ。
本ドラマは、実際の行動を伴わない理論や口論が多いため、私の聴き取り能力ではわからない部分がかなりありました。以下わかる部分のみ述べます。
第2回目 「Private Sector」(50分)は、ルーリー(バーラ・グラント)が主人公。
☆00:00-00:46 「Light Flight (Opening Theme)」 Vocal, Humming, Guitar, Bass,
Drums
(時間表示は映像左上部にあるタイムコードの時間です) ロンドンの街角風景と3人の主演女性のポートレイト(出演者が違うので、シーズン1とは別のものになっています)。
アメリカからの飛行機に乗っているルーリー。迎えに行く車の中の男女(ジミーとアイダ)の会話。空港でどちらが駐車する役になるかの話し合い。ロンドンの空港に到着し、入国ゲートから出てきたルーリーを迎えて抱きしめるアイダ。アイダは車を取りに行き、遅れて来たジミーとルーリーは抱き合って再会を喜ぶ。恋人関係にあるのは明らか。
車中での3人の会話。ルーリーは、当地でクリニックのアシスタントをするらしい。今夜パーティーをすると聞き、いろんな人に会えると大喜び。滞在するフラットに到着。
部屋で恋人のジミーと愛を語らい、キスする。ふたりはアメリカで出会い、その後ジミーが先にロンドンに来て、遠距離恋愛になっていたようだ。
☆13:23-14:13 「A Maid That's Deep In Love」 Guitar, Bass
☆13:31-15:42 「A Maid That's Deep In Love」 Vocal, Guitar, Bass, Drums
翌朝、ルーリーが起きると、出勤するジェニーとすれ違う。ルールーは公園を散歩。すれ違った若者(ヘンリー)に話し掛けられ、互いに自己紹介をして話し込む。ルーリーが「約束があるから行かないと」と言っても、ヘンリーはついて来る。ルーリーの持っているリンゴを食べるなど、態度は悪くないけど、かなり慣れ慣れしい感じ(今でいう「ナンパ」ですね)。フラットの入口でアイダに会った後も、ヘンリーは家に入り、一緒にお茶を飲んで話をする。3人で心理学の話など。
当日夜、ジミーに家でパーティー。ヘンリーも参加。
☆22:42-23:30 「Sweet Child」 Hamming, Guitar, Bass, Drums
各参加者が盛んに持論(社会や政治に関する批判のようだ)を展開。ルーリーは意見を言おうとするが、「君はまだ来たばかりだからね」と言われてしまう。機嫌が悪くなるが、ジミーからイギリスのジョークだからと言われる。
☆30:48-33:10 「Sweet Child」 Hamming, Guitar, Bass, Drums
遅れて黒人の女性クレアが到着し、ジミー(彼も黒人)が動揺気味に迎える。機嫌が悪いのに加えて、二人の微妙な雰囲気に嫉妬を覚えたルーリーはクレアと口論になる。
落ち着いたルーリーは、クレアに謝る。クレア 「ジミーから聞いていたので、貴女にあいたかったの」。しかしルーリーは、話しているうちに怒りを露わにする(クレアが言った階級社会における中産階級云々という発言が火を着けたらしい)。抑制が効かなくなった彼女は、参加者一人ひとりに攻撃的に当たる(社会や政治を批判しながら、行動しようとしないことに対する怒りのようだ.。アメリカ人とイギリス人の価値観の相違が根底にあるものと思われる。人種問題で「黒人」という禁句も飛び出す)。一方的にまくしたてるルーリーにより、場は白けてパーティーはお開きになる。
☆38:46-39:27 「A Maid That's Deep In Love」 Guitar
アイダとヘンリーが先に退出し、部屋にはジミーとルーリーだけが残る。「3000マイルもかけて彼らに会いに来たのにやらかしてしまった」とルーリーは落ち込んでいる。ジミーは腹を立て、一方ルーリーは譲らず嫉妬していると言い、もううんざり、お終いと別れの言葉をかわす。
アイダの車で家に送ってもらう。ヘンリーも同乗。アイダと車の中で口論となり、友情関係に深刻な亀裂が入る。
車から降りるとヘンリーが着いてくる。入口の階段で、ルーリー「あなたの事は好きだけど、付き合えない」。ヘンリーが食い下がるので、「あなたに魅力を感じないの」。さらにキツイ事を言って、やっと彼は諦め、去ってゆく。
☆45:45-46:05 「A Maid That's Deep In Love」 Guitar
ヴィクトリアが帰ってきたルーリーを見つけて自己紹介し、昨日会えなかったからとワインを飲んで歓迎しようとするが、ルーリーは落ち込み、疲れ果てている。ヴィクトリア
「だいじょうぶ?何か問題あるの?」、ルーリー「いま二人と別れてきた。恋人と友人よ」、ヴィクトリア 「異国に来たから違和感を覚えるのよ」となぐさめる。
☆48:08-49:07 「Light Flight (Closing Theme)」 Humming, Guitar, Bass, Drums
エンディング・クレジット
シーズン1と2を観て、「Light Flight (Opening Theme)」の歌詞・演奏はすべて同じであることが確認できた。パーティー・シーンにおける「Sweet
Child」は、バックグラウンド・ミュージックとして使われており、人々の話声にかき消されて、音楽を聞き取ることは難しい。
国毎のメンタリティーの相違を、コミュニケーションを欠いた口論という形で描いた本編は、詳細な内容が聞き取れない面があるものの、観た後で後味の悪さが残ってしまう。しかし、ルーリー主演のエピソード4本のうち、本編以外は失われているため、彼女がその後どう変わってゆくのかを見ることができない。したがって本編を観ただけで、ネガティブなコメントするのはアンフェアーと思うが........
[2023年1月作成]
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Journey Into Love (1971) [Pentangle] (TV映像) |
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Bert Jansch: Acoustic Guitar, Vocal (2)
John Renbourn : Acoustic Guitar, Back Vocal (3,4)
Jacqui McShee : Vocal
Danny Thompson: Bass
Terry Cox : Drums, Back Vocal (3,4)
The Early Music Consort (4) 以下画面左から
Christopher Hogwood: Keyboards
David Munrow: Corna Muse
James Tyler: Krummhorn
Oliver Brookes: Krummhorn
James Bowman: Vocal
1. Hear Me Calling
2. Sweet Child
3. Lyke-Wake Dirge
4. Wonderous Love
[収録] 1971年4月22日、LWT, London
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LWT (London Weekend Television)は、ロンドンおよび周辺部の金曜日夕方から日曜日にかけて放送していたテレビ局で、2000年代初めに
ITV(Independent Television)に統合された。宗教をテーマとした同局の番組「Journey Into Love」にペンタングルが出演した映像が残っている。うち
2と4 については、2007年に発売されたボックスセット「The Time Has Come」P10 の「CD4: Live, TV &
Film 1970-1973」に音源として収録されていたが、その後インターネットで 4曲すべての映像を観ることができた。少人数のオーディエンスを入れたスタジオライブであるが、司会者のアナウンスと曲間の会話の部分はカットされている。
画面下に編集用のタイムが表示され、画質は余りよくないが、まあ聴ける音質なので十分楽しめる。ここではジョンは、エレキギターでなく、愛用のギブソンJ-50を弾いている。番組内容に合った厳かな曲が選ばれたようで、他のライブやテレビ・ラジオ放送にはない珍しい曲を演っているので貴重。1.「Hear
Me Calling」は、歌うジャッキーのクールな表情が印象的。2.「Sweet Child」では、間奏部分のジョンのギターソロのフィンガリングが、アップでしっかり捉えられているのが有難い。3.「Lyke-Wake Dirge」は番組の趣旨にあった宗教歌で、ジョンとテリーが高音のバックボーカルを付けている。この曲だけ何故か映像に特殊処理が施されていて、ふたつの画面を重ねたり、色調を変えたりしている。「The
Time Has Come」P10 で初めて聴くことができた 未発表曲 4.「Wonderous Love」も宗教歌で、P10ではデビット・マンロウ・アンサンブルとの共演とあったが、別の資料によると「The Early
Music Consort」がグループの正式名称らしい。古典音楽の再興を目指した男性5人編成で、画面の容貌から各人の名前を割り出した。メンバーは古楽器を使用。クリストファー・ホグウッドはオルガンのような鍵盤楽器、デビッド・マンロウはコルナ・ミューゼという楽器を使用していると思われる、真ん中のジェイムス・タイラーとオリヴァー・ブルックスは、ルネサンス期に栄えたクルムホルンという楽器を吹いていて、その先端が曲がった姿と、鼻にかかったような音が特徴的。彼らがヴァース毎にペンタングルと入れ替わり歌う様が誠に面白い。それにしてもジェイムス・ボウマンのハイトーンの声色は個性あるなあ。
珍しい曲の演奏風景が観れる珍品。
[2022年3月作成]
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Royal Festival Hall (1971) [Bert Jansch] (音源) |
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Bert Jansh: Guitar, Vocal
1. A Dream, A Dream, A Dream
2. Wayward Child
3. Silly Woman
4. The First Time Ever I Saw Your Face
5. Bird Song
6. Nobody's Bar
7. Oh, My Babe
8. Yarrow
9. Twa Corbies
10. Reynardine
11. Tell Me What Is True Love
12. When I Get Home
13. The Wheel
14. Omie Wise
収録: Royal Festival Hall, London, Jun 30, 1971
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コリン・ハーパー氏によると、バートがペンタングル活動期間中に行った唯一のソロ・コンサートで、同年5月に発売されたソロアルバム「Rosemary
Lane」 S7のプロモーションのためだったとのこと。そのため、同作から7曲(1,2,3,5,6,10,11)歌っている。他は次作「Moonshine」
1973 S8から3曲(4,8,9)、直前に録音していたペンタングルの「Reflection」 1971 P6から2曲(12,14)、旧作「It
Don't Bother Me」から2曲(7,13)という構成となっている。オーディエンス録音で、モノラルであるが、当時の録音機材・技術を考慮すると大変良い音で捉えられている。また曲間のカットがないので、リバーブがかかったサウンドと合わせて、あたかもコンサート会場にいるかのような体験ができる。
音源は、バートがステージに登場した際の大きな拍手、セッティングの音から、彼の簡単な挨拶から始まる。1.「A Dream, A Dream, A
Dream」のギター、そしてボーカルから、淡々とした演奏であるが、カリスマチックな弾き語りの世界に引き込まれてゆく。曲間で彼は何か語っているが、私の能力では残念ながら曲名以外は聞き取れない。2.
「Wayward Child」では、ヴァースの間の短いギターの演奏の切れ味が凄く、とても効果的。ここで彼はチューニングを変えて、3.「Silly
Woman」を歌う。本コンサート全編につき言えることであるが、当時絶頂期だったバートのギターの魔術を味わえる。4.「The First Time
Ever I Saw Your Face」は、「Blackwaterside」の変奏のような曲。当時すでに次作に収録する曲がすでにレパートリーだったことになる。ペンタングル時代でソロコンサートもしていないのに、大人数のオーディエンスを前に一人でよく演奏できるもんだ。本音源は 5.「Bird
Song」のように、ライブではここでしか聴けないような珍しい曲を多く演っているのが貴重。
8〜10はトラッド特集。特に10.「Reynardine]のイントロにおけるギター独奏は、スタジオ録音にはなかったもので、本当にカッコイイ。演奏中にコツコツという音が聞こえるが、これはバートが弾き語りをしながら、足を踏み鳴らしてリズムをとっているため。11.「
Tell Me What is True Love」は、「Sort of Kid's Song」と紹介して歌っている。そしてほぼ切れ目なく、12.「When
I Get Home」に移ってゆく。唯一のインスト曲 13.「The Wheel」は意外にもアッという間に終わってしまう。それでもオーディエンスは大きな声援と拍手で応える。ながめの拍手の後のアンコールで、最後は「好きな曲」と紹介される
14.「Omie Wise」。
素晴らしいギターとボーカルによる弾き語りの究極の世界が味わえる逸品。
[2022年6月作成]
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Set Of Six (1972) [Pentangle] (TV映像、音源) |
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Bert Jansch: Guitar, Banjo (3. 6 ), Dulcimer (5) Vocal (1,4,7)
John Renbourn : Electric Guitar, Acoustic Guitar (3,5,6)
Jacqui McShee : Vocal, Back Vocal (4)
Danny Thompson: Bass
Terry Cox : Drums, Back Vocal (6)
1. People On The Highway (Fade In)
2. Lady Of Carlisle
3. Sally Free And Easy [Tawney]
4. Willy O'Winsbury
5. Rain And Snow
6. No Love Is Sorrow
7. Jump Baby Jump (Fade Out)
[収録] 1972年6月27日、Gradana TV Studio, Manchester, U.K.
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1972年6月、イングランド北西部のグラナダ・テレビの番組「Set Of Six」に出演した際の映像。上記7曲のうち、7〜9の3曲は、2007年に発売されたボックスセット「The
Time Has Come」P10に音源のみ収録されたが、その後2017年にインターネットで映像として公開された。同時期に収録されたベルギーのテレビ番組「The
Caputured Live」O6の演奏がよれよれだったの対し、ここでは別人のような切れ味鋭いプレイを見せてくれる。
1.「People On The Highway」はイントロ部分からフェイドインし、番組名の字幕が出る。音質・画質はとても良く、ギター演奏とリズムセクションの音のバランスが絶妙で、バンドの魅力を余すことなく伝えてくれる。また各メンバーの超アップ画面がたっぷり入ることで、音楽映像としてとても生々しいタッチになっている。それに加えて演奏も最高で、言うことなしの出来だ。バートはマーチン000-28タイプ、ジョンはフェンダーのテレキャスターを弾いている。2.「Lady Of Carlisle」でバートはバンジョーに持ち替え、アメリカのオールドタイミー音楽にみられるフレイリング(クローハンマー)奏法を披露する。3.「Sally Free
And Easy」は、ダニーの強靭なベースのイントロが聴かせる。「The Time Has Come」P10に収録された1970年の同曲ライブ音源と比べて音使いが微妙に異なることろが凄い。4.「Willy O'Winsbury」では、レンボーンはいつものギブソンJ50、バートはダルシマ−を弾くが、ここではジャッキーのボーカルがメイン。灰色の瞳を持つ彼女のクールな美しさが際立っており、あの声に加えて、歌いながら表情が微妙に変わる様が画面いっぱいに広がり、大変説得力があるパフォーマンスとなっている。5.「Rain
And Snow」では、テリーが右手にタンバリンを持ち、左手でドラムスを叩く。ジャッキーはリズムに乗せて体を揺らしながら歌い、ジョンはワウワウを聴かせたエレキギターで伴奏をつけている。6.「No
Love Is Sorrow」はストイックな雰囲気の曲で、髭をたくわえたバートとジャッキーがしっとりと歌っている。 ここでジョンは、ギブソンのアコースティックで間奏ギターソロを弾いている。7.「Jump
Baby Jump」は、今のところ映像は出回っていないが、おそらく放送時間の関係で、1〜2分でフェイドアウトしてしまうためだろう。
「Reflection」 1971 P6、「Salomon's Seal」 1972 P7 といったペンタングル後期のレパートリーを捉えた貴重な映像で、演奏・撮影ともに最高の宝物だ!
[2018年1月作成]
[2022年6月追記]
収録年が誤っていたので、修正しました(1971年〜1972年)
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Civic Centre, St. Albans, Hertfordshire (1972) [Pentangle] 音源 |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal (1,4)
John Renbourn : Guitar, Sitar, Vocal (2), Back Vocal (6)
Jacqui McShee : Vocal, Back Vocal (3, 6)
Danny Thompson: Bass
Terry Cox : Drums
1. When I Get Home
2. The Cuckoo
3. She Moves Through The Fair
4. The Snows
5. Instrumental (Theme From Charles Mingus' The Shoes Of The Fisherman's
Wife Are Some Jive Ass Slippers) [C. Mingus]
6. Cruel Sister
7. Jump Baby Jump
収録: Civic Centre, St. Albans, Herfordshire, UK, 1972年10月27日
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1973年に解散したペンタングルの最後のツアー(1972年10〜11月)のオーディエンス録音。音質的にまあまあで、音楽として十分楽しめるレベル。
ロンドン郊外の町セント・オールバンズのシビック・センターでのライブ(「The Albums」 2017 P11に添付されたコリン・ハーパーの資料では「Civic
Hall」とあるが間違い)。解散前のライブということで、昔のようなグループとしての一体感、向上心は感じられず、各人が自分の役割を淡々と演じているような感じがする。1.「When
I Get Home」は、ワウワウペダルを使用したジョンのエレキギターがイカしている。2.「The Cuckoo」は、ジョンの弾き語りで、アルバム「Faro
Annie」 1971のヴァージョン。ジョンのエレキギターは、バンジョーのようなサウンドを出しているが、途中からワウワウ・エフェクトがかけられて、スタジオ録音のアコギ演奏にはない味を出している。
3.「She Moves Through The Fair 」は、初期ペンタングルでの公式録音がない曲で、ジャッキーのボーカルとダニーのベースによる演奏。録音が途中で切れてしまうのが残念。4.「The
Snow」はバートの弾き語り。5.は本音源のハイライト。資料では、「Three Part Thing (title? 9 minute jam)」とあるが、後の「John
Renbourn & Stefan Grossman」1978 に収められたの「Theme From Charles Mingus'
The Shoes Of The Fisherman's Wife Are Some Jive Ass Slippers」と同じテーマで、この曲の原形が初期ペンタングルのレパートリーにあったという発見。テーマにおけるダニーの弓弾きバースによる重低音と、途中からのインプロヴゼイションの部分は全く異なり、ギター、ドラムス、ベースのソロが入って
9分を超える熱演となっている。6.「Cruel Sister」では、ジョンが奏でるシタールの音が聞こえる。最後は 7.「Jump Baby Jump
」 (資料では「Travelling Song」とあるが間違い)。
初期ペンタングル最後のツアーの音源で、珍しい曲を聴くことができる。
[2022年4月作成]
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Branda Drops (1973) 映像 |
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Bert Jansch : Guitar, Vocal
Finn Kalvik : Guitar, Vocal
1. Running From Home
2. Det Hemmelige Under [Finn Kalvik]
3. Blackwaterside [Traditional]
4. Elegi [Finn Kalvik]
5. The Wheel
6. Samfunnshus Blues [Finn Kalvik]
7. Blues Runs The Game [Jackson C. Frank]
8. Maken [Finn Kalvik]
放送(または収録): May 7, 1973
注) バートは2, 6, 8は非参加
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ノルウェーの公共放送局 NRKのホームページのアーカイヴで、バートが1973年に出演した番組を観ることができた。白黒で、まったく飾り気がない構成で、ソファのみが置いてあるスタジオにギターケースを抱えたアーティストが入るシーンから始まる。フィン・カルヴィック(1947-
)は、ノリウェーのシンガー・アンド・ソングライターで、1970年代前半に有名になった後、1981年に国内の音楽祭でグランプリを獲得したが、ユーロヴィジョンでは成功しなかった。しかし母国では根強い人気があったようで、その後もコンスタントにアルバムを発表、アバのベニー・アンデルセンがプロデュースした作品もあるという。目下の最新作は2012年発表のアルバムだ。
バートとフィンの二人が花柄のカウチに座って、簡単な会話を挟みながら演奏する。1.「Running From Home」は、バートの弾き語りにフィンが簡単に伴奏を付ける。バートのギター演奏や歌う表情のクローズアアップが入り楽しめる。曲間に二人の会話が聴けるが、両人とも口下手なようで、あまり弾んでいない。交代で演奏するので、2,
4, 6, 8はフィンの曲(作曲者は定かではないが、ここでは彼の作と表示した)。3.「Blackwaterside」は、彼の右手のピッキング、左手の運指がきっちり写っていて、大変見応えがある映像になっている。4.「Elegi」は、1972年のアルバム「Finn」に収録されていた曲で、バートが一緒にギターを弾いている。ヘッド・アレンジのような簡単な演奏だけど、なかなか良い感じだ。5.「The
Wheel」は、車輪が回る様を曲にしたもので、レコードのスタジオ録音と同じ繊細なニュアンスの演奏を聴くことができる。当時のバートのギター演奏のレベルが大変高かったことを示すものだ。7.
「Blues Runs The Game」はお馴染みの定番曲。
白黒の映像は、それなりの雰囲気があって悪くない。約40年ぶりに蘇ったお宝映像だ。
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Plush And Good Music (1975) 映像 |
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Bert Jansch : Guitar, Vocal
Ralph McTell : Guitar (3)
Jan Akkerman : Lead Guitar (4, 5)
Stefan Grossman : Lead Guitar (5)
1. One For Joe
2. Lady Nothing [John Renbourn]
3. Moonshine
4. In The Bleak Midwinter [Holst, Rossetti]
5. Come Back Baby [W. Davis]
注)1.は、ビデオ「New Dimensions & Explorations」 1993 O9に収録されている。
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デンマークのテレビ局DR2で製作された1975年の番組「Plush And Good Music」で放送された映像で、2003年頃に「Fire
Guitarer (Four Guitars)」という番組で再放送されたらしい。
1.「One For Joe」は、後にステファン・グロスマン・ギター・ワークシップが発売したフィンガースタイル・ギタリストのオムニバス映像集「New
Dimensions & Explorations」1993 O10に収録されたもの。小さなライブハウス(パブ)で少人数を前にした弾き語りの演奏で、使用ギターはヤマハ。カメラは彼のアップ中心でギターもわずかしか写らない。彼の顔がテレビ画面いっぱいになる超アップもあって、ギタリストをとらえた映像としては少し異様で、少し太り気味であまり健康そうでない顔が印象的。
バートが弾くジョン・レンボーンの名曲 2.「Lady Nothing」の映像を観るのは初めてで、左手を含むクローズアップが多くあるので、この曲を勉強する人には運指のお手本として大変参考になるだろう。後半部分はバートには難しすぎるようで、音が詰まる場面があるが、豊かな表現力とリズム感で弾き切ってしまうところはさすが。ここで隣に座っているステファン・グロスマン(若い!)のリクエストによる
2.「Moonshine」は、ラルフ・マクテルと2台のギターによる演奏。バートの姿を中心とした撮影で、ラルフは、曲の前半は画面の右に横向きの姿が映るだけで、後半にバートがアップになると画面からはみ出してしまい、ほとんど見えなくなる。オーディエンスの拍手のシーンで、撮影スタッフがパブに持ち込んだPA機材が写る。4.「In
The Bleak Midwinter」のイントロでは、チューニングが合わず、何回か中断して弾き直すシーンがあり、構成や進行をアーティストに任せて、事前のリハなして撮影したものと思われ、カメラワークもラフなものだ。ここで向かって左端に座ってオブリガードをつける煙草をくわえた男は、地元デンマークの人気プログレッブ・ロックグループ、フォーカスのギタリストだったヤン・アッカーマンだ。最後にグロスマンが皆でブルースのセッションをやろうと提唱し、5.「Come
Back Baby」が演奏される。バートとラルフが伴奏を、ステファンとヤンがリードを担当し、交代でソロをとる。その中で番組のクレジットが流れ、演奏の途中で終わる。
ヤン・アッカーマン、ステファン・グロスマンとの共演という珍しい映像であり、観てふと思い出したのが、ずっと昔に読んだフォーク雑誌に掲載されていた4人の共演写真だった。35年以上も経った後に、この写真のセッションで実際に演奏したシーンを拝めるなんて、生きるのは大変だけど、たまには良い事もあるんだなあ......と思った次第。
[2011年10月追記]
2, 4, 5の映像を観ることができましたので、書き改めました。
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Moraga Hall, Santa Cruz (1978) 音源 |
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Bert Jansch : Guitar, Vocal
[Early Show]
1. Cat And Mouse
2. Poor Mouth
3. Daybreak
4. One Scotch, One Bourbon, One Beer [R. Toombs]
5. Avocet
6. Blackwaterside [Traditional]Running From Home
7. Pretty Saro [Traditinal]
8. Down River
9. Come Back Baby [W. Davis]
10. Where Did My Life Go
11. One For Joe
[Late Show]
12. Blues Run The Game [Jackson C Frank]
13. Lost Love
14. Time And Time
15. Candy Man
16. Let Me Sing
17. Running From Home
18. The Curragh Of Kildare [Traditional]
19. Tell Me What Is True Love
20. Ask Your Daddy
21. Anji [Davey Graham]
22. I Am Lonely
23. In My Mind
収録: Moraga Hall, Santa Cruz, California, 1978年7月8日
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1978年のバートは、「Rare Conundrum」1977 S13 と「Avocet」 1979 S15 の狭間の時期にあたる。「Avocet」は、当初イギリスのレコード会社が製作に応じなかったため、オランダのレコード会社で録音され1978年に同国のみで発売されたが、好評のため翌年イギリスでも発売されたといういきさつがあり、本音源の録音は、バートがレコード製作で苦労していた頃にあたり、7月8日カリフォルニア州サンタ・クルズで行われたコンサートの模様を地元のFMラジオ局KUSPが録音したものらしい。テープ・ヒスノイズが少し気になるが、それ以外は音質も良く、特にギターの音が生々しく捉えられている。またアーリ−・ショウとレイト・ショウの2回分たっぷり楽しむことが出来るのがうれしい。歌っている曲は、初期のトランスアトランティック時代のものが6曲、「LA
Turnaround」 1974 S11、「Santa Barbra Honeymoon」 1975 S12 から各1曲、「Rare Conundrum」
1977 S13から6曲、「Avocet」 1979 S15から1曲、「Thirteen Down」1980 S16から6曲という内容になっていて、コンサートの時点では未発表だった曲を多く演っている。
1.「Cat And Mouse」はコードストロークによる演奏で、バートの声の調子はとても良さそう。ギターの音は、当時彼が使用していたロブ・アームストロングのハンドメイドだろう。2.「Poor
Mouth」では、イントロのギター演奏が少し詰まり、エンディングでコードを少し間違えているが、全体的な雰囲気は好調。弾き語りによる 3.「Daybreak」は、間奏部分のギター演奏に注目しよう。4.「One
Scotch, One Bourbon, One Beer」は、バートにぴったりの酒飲みの歌で、リラックスしたボーカルとギターが楽しめる。5.「Avocet」はチューニングを変えながら曲を紹介、7分50秒の短縮版で、単弦でメロディーのみを弾く部分や、ギターを弾きながらスキャットでメロディーを歌う部分など単独演奏ならではの工夫があって、とても面白い。8.「Down
River」は、気合が入ったボーカルが素晴らしい。オーディエンスはとても静かで、バートは「静かに聴いてくれてありがとう」とお礼を述べている。「これで最後」と言って始める
9.「Come Back Baby」はギターが冴えている。荒んだ生活を描いた 10.「Where Did My Life Go」、友人夫婦のことを歌った
11.「One For Joe」は、アンコールでの演奏。最後の「Good Night, Thanks」で前半が終わる。
後半の 12.「Blues Run The Game」は、バートがいつもセットの最初に歌う曲だ。13.「Lost Love」は、通常バンドで演奏する曲なので、本音源のようなソロ演奏は珍しい。彼のリズム感の凄さが良く伝わるプレイで、ギター1本でロック、ブルース・フィーリングをこれだけ出せる人はそんなにいない。14.「Time
And Time」を弾き語りで演るなんて驚きだが、カットによりリズムを強調しながらの巧みなアレンジは魅力的。オランダで発売された「Poor Mouth」1976
S12のみに収録(後に「Rare Conundrum」のCD再発盤 S13にボーナストラックとして収録)された 15.「Candy Man」の一人演奏を聴けるだけでも本音源の価値はある。初期の作品
17.「Running From Home」が始まると、オーディエンスから拍手が起きる。淡々とした 19.「Tell Me What Is True
Love」の後に、バートはオーディエンスに「家族、子供がいる人は?」と問いかけ、両親の不和に悩む子供の心情を歌った 20.「Ask Your
Daddy」を歌う。おなじみの21.「Anji」の次の曲 22.「I Am Lonely」は、「Birthday Blues」1969 S6の曲で、この時期での演奏を聴けるのはとてもうれしい。沢山の曲が収録された本音源ならではのアイテムだ。ここで「Good
Night」となり、アンコールの 23.「In My Mind」では、バートは精神的に高揚してようで、上機嫌で笑いながら歌っている。
多くの曲を演奏しており、当時のステージの模様をじっくり味わえる。
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Denon Live Concert (1978) 音源 |
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Bert Jansch : Guitar, Vocal
Micky Baker : Guitar, Vocal (7)
1. The First Time I Ever Saw Your Face [Evan MacColl]
2. Daybreak
3. Poor Mouth
4. Down River
5. Come Back Baby
6. Blues Runs The Game [Jackson C Frank]
7. One Scotch, One Bourbon And One Beer [R. Toombs]
司会: 菅野沖彦
放送: 1978年9月24日 FM東京 デンオン・ライブ・コンサート
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35年以上経った後に、彼が出演したFM放送の音源を聴くことができた。「デンオン・ライブ・コンサート」は、毎週日曜日の夕方、FM東京で放送されていた番組で、著名なミュージシャンをスタジオに招き、生放送で演奏してもらうことが売り物だった。番組最後のアナウンスで今後の放送予定として、10/8
渡辺香津美グループ、10/15 庄野真代、10/22 ラリー・カールトンと五輪真弓、10/29 オフコースとあり、毎週豪華なミュージシャンが出演していたことがわかる。司会の菅野沖彦(1932-2018)は、録音エンジニア、オーディオ評論家で有名な人で、彼が録音を担当したレコードは、それだけで話題になったものだった。当時私は本番組のことを知っていて、よく聴いて(カセットテープに録音して)いたが、バートが出演していたことは見逃していたようで、今回本音源を耳にするまで知らなかった。バートの来日はこの1978年が初めてで、菅野氏の紹介によるとマーチン・ジェンキンスも一緒に来る予定だったが、都合で来られなくなったという。共演のミッキー・ベイカー(1925-2012)はアメリカの黒人ギタリストで、ローリングストーン誌の「100人の偉大なギタリスト」の第54位にランク(ちなみにバートは94位と彼よりも下)されており、チャック・ベリー、ボ・ディドリーと並び、ギタースタイルにおいてブルースとロックの橋渡しをした伝説の人だそうだ。スタジオでレイ・チャールズなどのバックを努め、ジャズのコールマン・ホーキンス等との共演もある。またミッキー・アンド・シルヴィアという女性シンガーとのデュオを結成し、「Love
Is Strange」1956というヒット曲(全米11位)も出すなど、幅広いジャンルで活躍した人だった。1962年以降はフランスで活動し、そこで執筆したギターの教則本の人気も高かった。ただしコンサート当時の日本ではまったく知名度がなく、来日のきっかけは、彼がステファン・グロスマンのキッキング・ミュール・レコードから発表したレコード「Blues
And Jazz Guitar」1977だった。バートは後に同じレーベルでアルバム「Thirteen Down」1980 S16を製作するわけで、このコンサートはグロスマン・ワーウショップとの提携で企画されたものだったからだ。
まず菅野氏によるバートの紹介から始まるが、「ワイト島でボブ・ディランと演奏」(実際は同じフェスティバルに出演)、「ロスアンゼルスでスタジオミュージシャンをやっていた」(正しくはロスアンゼルスでアルバムを製作した)と、もともとジャズが本職の同氏がこの手の音楽に詳しくないことが見え見えだ。1.「The
First Time I Ever Saw Your Face」は、歌付きという面では「Moonshine」S8であるが、ギター伴奏は「Jack
Orion」S4という面白いバージョン。バートはチューニングを変えながらインタビューに応じ、ギターを弾きだしたのは10才で、16才から本格的に始め、それ以前はピアノを習っていたこと、ギターの魅力は、自由に持ち運びでき、名手でも初心者でも弾ける幅の広さだと答えている。2.「Daybreak」以降
6.「Blues Runs The Game」までは、バートの独り言以外は切れ目なしに一気に演奏されるが、スタジオでの生演奏ということで、ナーバスな感じだ。2.「Daybreak」はギター、3.「Poor
Mouth」は歌詞をトチッっているし、4.「Down River」では歌詞の一部を歌い損ねてスキャットで誤魔化している。それでも 5.「Come
Back Baby」以降は調子を取り戻したようで、乗りのよい演奏を聴かせてくれる。
私が聴いた音源では、ミッキー・ベイカーの演奏がカットされており、6.「Blues Runs The Game」の後は、二人の共演による 7.「One
Scotch, One Bourbon And One Beer」となる。この曲はニューオリンズの盲目ブルースマン、スヌークス・イーグリンの演奏で有名な曲で、両者が弾けるレパートリーとして選ばれたものと思われ、コンサートでもアンコールで演奏されていた。ギター面ではバートの伴奏にミッキーがいろいろなオカズを入れ、歌では最初はミッキー、次にバートが歌い、最後は両者掛け合いとなる。なおバートの公式録音は、1984年のオムニバス・ライブ盤「Just
Guitars」O19が残っている。
私が聴いた音源は、FM放送のわりには音がイマイチだったけど、貴重であることには変わりないですね。
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Bert Janch And Micky Baker Japan Tour (1978) 音源 |
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Bert Jansch : Guitar, Vocal
Micky Baker : Guitar, Vocal (7, 18)
1. One For Jo
2. Anji [Davey Graham]
3. Come Back Baby
4. Let Me Sing
5. Down River
6. The First Time I Ever Saw Your Face [Evan MacColl]
7. One Scotch, One Bourbon And One Beer [R. Toombs]
録音: 1978年9月27日 京都「磔磔」
8. Blues Runs The Game [Jackson C Frank]
9. Poor Mouth
10. Daybreak
11. Avocet
12. In My Mind
13. Where My Life Go
14. Running From Home
15. Anji
16. Come Back Baby
17. Down River
18. One Scotch, One Bourbon And One Beer [R. Toombs]
録音: 1978年9月28日 大阪「御堂会館」
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上述のFM放送では、東京でのコンサート予定を 9/26「中野公会堂」、9/30「東京社会文化会館」と案内しており、両者の間に大阪と京都でコンサートをしたことになる。とても忙しいスケジュールで、観光などをする暇はなかったのでしょうね〜
9月27日の会場「磔磔(たくたく)」は京都にある酒蔵を改造したライブハウスで、1975年から現在にいたるまで、数多くのアーティストが演奏している。収容人員は、全員立ち見で約350人。クリーンなオーディエンス録音で、バートの演奏はFM放送のものよりもリラックスしており安心して聴くことができ、特に
3.「Come Back Baby」は懐の深いプレイが楽しめる。2.「Anji」では拍手が起きるが、 4.「Let Me Sing」、5.「Down
River」などはレコード「Thirteen Down」S15がまだ出ておらず、オーディエンスの知らない曲として取っ付きにくかったのではと思われる。5.「Down
River」の後はアンコールになり、登場した司会者がスタッフに「もう1本マイクは使えるますか?バートがミッキーと一緒にやってみたいと言っているから」と尋ねて、オーディエンスは大喜びする。6.「The
First Time I Ever Saw Your Face」は落ち着いた感じの演奏で、ギタープレイが素晴らしい。この後ミッキー・ベイカーが登場して、チューニングの後、二人で7.「One
Scotch, One Bourbon And One Beer」を賑やかに演奏する。ここでのミッキーのギターは、アンプを通してエレキギターのような音にしている。
9月28日の会場「御堂会館」は、真宗大谷派の寺院である難波別院(通称「南御堂」)の施設として昭和36年に建てられたホールで、宗教以外にビジネス・文化活動で広く利用されている。ここでのオーディエンス録音は、コンサートホール特有のエコーがかかった音になっている。27日もそうだが、バートの曲間の語りは声が小さく、もごもごしているので、何を言っているのか聞き取れない。8.「Blues
Runs The Game」は、イントロなしでいきなり歌い出す。 9.「Poor Mouth」、10.「Daybreak」は声がよく出ていて、ギター演奏とともに、のびのびとしたプレイだ。大作
11.「Avocet」をソロでやっているが、聴いた音源では残念ながら途中カットが入る。スタジオ録音では、マーチン・ジェンキンスがフィドルでメロディーを演奏する部分は、バートがスキャット・ボーカルでカバーしている。
12.「In My Mind」になると、バートは会場の雰囲気にすっかり慣れたようで、余裕のある快調な演奏は聴き応え十分。13.「Where My
Life Go」も前の曲と同様、この時点では未発売の「Thirteen Down」 1980 S16に収録される曲。といっても、バートが1970年代に出したレコードを持っていた日本は当時多くなかったはずで、曲を知っている・知らないについては、オーディエンスにとってあまり関係なかったともいえよう。その分懐かしい14.「Running
From Home」が始まると拍手が起き、15.「Anji」になると聴衆は大喜びで応えている。16.「Come Back Baby」は圧倒的なパフォーマンスだ。一転17.「Down
River」はアンニュイを感じさせる曲調で、ギター、歌の音が心にじわっと染み入ってくる。アンコールは、ミッキー・ベイカーとの共演による 7.「One
Scotch, One Bourbon And One Beer」。
初来日したバートのステージの模様が偲べる音源(聴いた音源では、ミッキ・ベイカーのソロ演奏は、いずれもカットされていました)。
[2023年7月追記]
11.「Avocet」につき、YouTubeにてカットなしの音源を聴くことができました。
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Belle Epoch Nishi-Chiba (1980) 音源 |
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Bert Jansch : Guitar, Vocal
Matrin Jenkins : Mandocello (4,5,6,8,10,11,14,17,18,19,21), Fiddle (1,2,3,9,12,13,15,16),
Vocal (6,11,17,19,21)
1. Poor Mouth
2. Daybreak
3. Blues Run The Game [Jackson C Frank]
4. Bittern
5. Ask Your Daddy
6. Running From Home
7. Blackwaterside [Traditional]
8. Mondocello Solo [Traditional]
9. Kingfisher
10. Come Back Baby [W. Davis]
11. Cats And Mouse
12. Let Me Sing
13. Pretty Saro {Traditinal]
14. Mirage [Pentangle]
15. Avocet
16. In My Mind
17. Alimony [Tommy Tucker]
18. Una Linea Di Dolcezza
19. Mother Earth [M.Nascimento]
20. One Scotch, One Bourbon, One Beer [R. Toombs]
21. Wild Mountain Thyme [Traditional]
収録: 西千葉ベルエポック, 1980年3月18日
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2011年10月5日、バート・ヤンシュ氏は肺ガンのため亡くなりました(享年67才)。ご冥福をお祈りします。本日は1980年西千葉でのコンサートを聴いて、彼のことを思いながら書きたいと思います。
バート2回目の来日で、東和プランニングという会社が招聘したツアーで、同じ頃にジョン・レンボーン、ステファン・グロスマンやドック・ワトソンのコンサートもあったなあ。このツアーからは、原宿での公演が「Live
At La Foret」 1980 S17 というアルバムで日本のみ限定発売された。私が観たコンサートは、西千葉駅の近くにあったベル・エポックという小さな喫茶店(パブ?)が会場で、観客数も50〜60人位だったと記憶している。英語が通じないため、語りの部分でオーディエンスとの意思疎通がうまくいかず、居心地悪そうにしていたのを覚えている。バートは酒を飲んでいたと思うが、一部の人が言うようなグデングデンではなく、彼の音楽が好きな人々が一生懸命音楽を聴こうとする気持ちが伝わったようで、しっかり演奏してくれたと思う。
1.「Poor Mouth」、2.「Daybreak」と、彼が目の前で演奏しているのが夢のようで、何となくフワフワとした気分で聴いたことを覚えている。彼が弾くギターは、ロブ・アームストロング氏(O24参照)の製作によるもので、コナンドラムのビデオ
O16と同じものだ。彼は2台のギターを持ってきていて、会場で配られたチラシによると「希望者に価格相談で譲ります」とあったが、誰か買ったかな?アルバム「LA
Turnaround」1974 S9に収められていたインスト曲「Chambertin'」と同じイントロを持つ4. 「Bittern」は、コンサート時点での最新アルバム「Avocet」1979
S15からの曲。来日アーティストといっても本レコードは日本で発売されず、新宿の輸入盤専門店位でしか売っていなかった。コンサート終了後、このアルバム・ジャケットに二人のサインをもらったが、その際の反応は「ほう!日本でも買った人がいたんだなあ」というものだった。当時のバートはその位人気がなく、本コンサートツアーもほとんど一般的な話題にならなかったのだ。マーチンが弾くマンドセロは、バートのギターとと同じルシアーが作ったもので、ピックアップを通すことにより個性的な音になっていた。
5.「Ask Your Daddy」は「Thirteen Down」S16からであるが、この時点ではアルバムは未発売だった。チラシに「予約受付中」とあったので、お金を払って申し込み、数ヵ月後にサイン入りのレコードを郵送で受け取った。6.
「Running From Home」は、マーチンが先で、遅れてバートが続く輪唱方式で歌われる。
ここでバートのソロになり、6弦をDにチューニング・ダウンして 7.「Blackwaterside」が演奏される。いつ聴いてもクリエイティブでグルーヴ感溢れるギタープレイと歌唱に圧倒される。古今東西の弾き語りの傑作であることは間違いない。次にマーチン一人でマンドセロによるアイリッシュ・チューンのメドレーを弾く。このプレイも驚異的。
9.「Kingfisher」は、バートはソロも含めていろいろな編成で演奏しているが、ここでの二人コナンドラムのバージョンも静かな感じでいいもんだ。10.「Come
Back Baby」では、マーチンのマンドセロが冴え渡っている。11.「Cats And Mouse」は、マーチンがハーモニー・ボーカルを付ける。12.「Let
Me Sing」では、間奏のマーチンのフィドル・ソロが聴きもの。13.「Pretty Saro」は、本コンサートでは数少ないトラッド曲で、ファンの拍手もひときわ大きい。次は意外にもペンタングルのレパートリー
14.「Mirage」で、マーチンのマンドセロが間奏ソロを取る。大作 15.「Avocet」は変則チューニングによる曲で、ここでバートはもう1台のギターに持ち替えていた。
バートはテーマ部分でとちっているが、それ以外は調子の良い演奏だ。16.「In My Mind」あたりになると、最初のナーバスな感じはなくなり、くつろいだ雰囲気での演奏になっている。マーチンが「ミック・ジャガーに捧げる」と紹介して歌う17.
「Alimony」はライ・クーダーで有名な曲で、ここではバートはギター演奏に専念している。18.「Una Linea Di Dolcezza」は、イタリア語で「A
Line Of Sweetness」という意味のインスト曲。騒ぐオーディエンスもなくコンサートは落ち着いた感じで進行し、いよいよ最後の曲ということで
19. 「Mother Earth」が演奏され、マーチンがハーモニー・ボーカルを付ける。アンコールで演奏される20.「One Scotch,
One Bourbon, One Beer」は、当時ステージ・レパートリーだったブルース曲で、バートのソロ演奏。レコードではオムニバス盤の「Just
Guitars」1984 O19のみに収録された珍しい曲。最後はトラッド曲 21.「Wild Mountain Thyme」を二人で歌ってコンサートを締めくくる。
本音源から 「Live At La Foret」S17は、当日のコンサートの演奏曲を半分カットしたものであるが、曲順はコンサート通りであったことがわかる。
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Take Three Women "Kate" (Episode 1) (1982) テレビ映像 |
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Bert Jansch : Guitar
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal, Hamming
Danny Thompson : Bass
Terry Cox : Drums (Oepning, Closing Theme Only)
Susan Jameson : Kate
Guy Meredith : Writer
Richard Martin : Director
放送 : 21 September 1982, BBC2
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1969年〜1971年に放送された「Take Three Girls」の続編として、シーズン1に出演した3人の女性の12〜13年後を描いたドラマ。シングル・マザーのケイト、チェロ弾きのヴィクトリア、絵描きのアヴリルの役をオリジナル・エピソード出演女優(スーザン・ジェイムソン、リザ・ゴッダード、アンジェラ・ドーン)が演じた。各人の名前と、3人の連名(最終回)のタイトルによる計4エピソードが制作され、1982年9月〜10月 BBC2で放送された。ヴィクトリアを演じたリザ・ゴッダード等によるYouTube投稿などで、全エピソード4回分を観ることができる。
ペンタングルは本シリーズでも音楽を担当。当初このドラマの存在を知ったとき、1982年という制作年だったので、音楽については1969年〜1970年製作の「Take
Three Girls」の録音を使い回しているのではと思ったが、実際聴いてみると、本ドラマのために録音されたもので、リユニオンは俳優のみでなく、音楽についてもであった。オリジナル・ペンタングル解散後の履歴を辿ってみると、1982年は彼らが一時的に再集結した年で、同年12月のイタリア公演の音源が残っている。さらにその際にドラムスのテリー・コックスが交通事故で足を負傷したため、前半のギグに参加できなかったという情報もあり、本ドラマのための演奏に彼が加わっていない事と辻褄が合う。ということで、本ドラマシリーズは、ペンタングル解散後
1982年のリユニオンの仕事として、彼らの演奏を聴くことができる貴重なものだ。
以下、各エピソードにつき、粗筋とペンタングルの演奏が聴ける場面について述べます。内容の濃い早口の台詞がとても多い舞台劇のようなドラマで、かつ慣れないイギリス英語のため、聞き取りが大変難しいのですが、わかる範囲内で書きます。なお台詞の一部しか聞き取れないので、ドラマの良否については、コメントしません。
初回「Kate」(50分)は、ケイトが主人公。演ずるスーザン・ジェイムソン(1941- ) は、1960年代から現在に至るまで長いキャリアを誇る女優。「Take
Three Girls」後、12〜13年経た後の容貌の変化は見もの。
☆00:00-00:53 「Light Flight (Opening Theme)」 Vocal, Humming, Guitar, Bass,
Drums (時間表示は映像下部にあるタイムコードの時間です)ロンドンの街角風景と3人の主演女性のポートレイト。
大物らしき人物がヘリコプターでロンドンに到着。
子供のサッカー試合で、息子(12〜13才位)のプレイを見学していたケイトは、隣りの人が持っていたサンドイッチを突然取り上げて食べる(この奇行の原因は後に判明)。
☆02:37-02:46 「If I Had A Lover」 Humming, Bass
試合が終わり、息子がチームメンバーと風呂に入っている。その間、控室でケイトと息子の先生の会話。先生は子供と彼女に好意を持っていて、「子供には父親が必要」と諭し、彼女をパーティーに誘う。
☆05:29-05:32 断片 Guitar, Bass
自宅でケイトと息子の会話。息子が勉強で、妊娠について書かれた本を読んでいる。ケイトが「もし弟・妹ができたらどう?」と言うと、息子は「結婚してないからありえない」と答える。息子は先生がケイトを好いているのを知っている。
☆08:21-08:26 断片 Guitar, Bass
トレンディ週刊誌の出版社オフィス。ケイトは、ボスから大物ルーカス氏(ヘリで到着した人物)のインタビューを取るよう指示される。
☆11:57-12:24 「If I Had A Lover」 Humming, Guitar, Bass
ケイトが突然スナックを食べ出し、つわりの症状(冒頭のサンドイッチのシーンの理由が判る)を見せた後、ボスに妊娠を告白。ボスは困惑し「父親は誰?」、「私が街をうろついていると思っているの?」。二人の会話からボスが父親であることがわかる。仕事の話に戻り、ケイトは取材先に向かう。
☆13:55-14:43 「Sweet Child」 Vocal (1st Verse) Humming, Guitar, Bass
ルーカス氏のオフィスでインタビューを申し込むが会えず。同氏はかなり気難しい人のようだ。スタッフから「後で連絡する」と言われる(ここで流れるロック音楽は別の音楽
→ ペンタングルではない)
ケイトはオフィスに戻り、ボスにルーカス氏に会えなかった旨報告。ボスが妊娠につき、困惑気味に「これからどうしよう」と相談。誠意のない態度にケイトは自分の問題だからと応対を拒否し、明日にしましょうと答える。
自宅で息子と会話(息子が観るTVから流れるロック音楽は別の音楽)。息子のグループ旅行の準備をしている。自分で準備しようとしない息子に注意するが、息子は母親から子供扱いされることに立腹。
☆20:00-20:13 「No Love Is Sorrow」 Humming, Bass
オフィスで、同僚から「あの男は女たらしだから止めたほうがよい」と言われる。
☆23:16-20:36 「Sovay」 Guitar, Bass
スタッフから電話を受けレストランに行くが、ルーカス氏は「ウェイターが気に食わない」と去った後で、ケイトはがっかりする。
自宅にいるケイトに花束が届き、同時にボスから電話がある。花束はボスからではなかった。翌日昼にパブで今後につき相談しようと約束。花束に添えられたメッセージを見て、ルーカス氏がいる船上パーティーへ向かう。ケイトは船に乗ったが、ルーカス氏はいなかった。その代わりに先生がケイトを見つけて喜ぶ。花束とメッセージを寄越したのは先生で、ケイトの勘違いだった。
☆28:23-28:34 「If I Had A Lover」 Humming, Guitar, Bass
ケイトは、船を降りることができないので、仕方なく先生の話しに応じるが、飲みながら(懐妊中のケイトは流石にジュース)話し込むうちに意気投合する。パーティー会場の音楽(ライトジャズ)は別の音楽。
早朝、すっかり打ち解けたふたりは船から降り、タクシーでケイトの家へ向かう。
☆35:37-36:12 「If I Had A Lover」 Humming, Guitar, Bass
ベッドイン後にぎこちなく服を着るふたり。ケイトが突然告白「私、妊娠しているの」。先生「えっ!もうなの?」、「以前からよ。あなたではないわ」。彼は怒るどころか、彼女の身体をいたわり、朝食を作ってあげようとする。ケイトは相手の男はいい人で上手くいっていると嘘をつき、先生を諦めさせようとする。ボスとの約束の時間になったので、慌てて家を出る。
☆41:01-41:23 「Reflection」 Humming, Guitar, Bass
パブでボスと会う。ボスは結婚指輪を出し、ケイトは驚く。しかしボスは生まれる子供の面倒をみなくてはと言うが、彼女に対する愛は感じられない。彼女は求婚への回答を保留し、今晩電話してと言い、ボスは去る。たまたまパブにランチを食べに来た先生が二人のやりとりを目撃。ケイトの側に座って、子供二人を喜んで受け入れるので、自分を頼ってくれと言う。
☆46:52-47:17 「If I Had A Lover」 Humming, Guitar, Bass
午後ルーカス氏のオフィス(流れているロック音楽は別)で、やっと彼と会い、インタビューを試みるが、「トイレはどこだ?」という言葉しか取れず。でもケイトはさばさばした表情。
子供が旅行から帰ってくる(子供がつけたTVから流れる音楽は別)。息子は「誰も僕の事を好いてくれない」と悩みを打ち明けるが、ケイトは「大人の世界にようこそ。もがき苦しみ、そして立ち向かうことが人生」と応じて、彼を抱きしめる。(ボスからの)電話が鳴るが、ケイトは出ないことにする。
☆51:20-52:24 「Light Flight (Ending Theme)」 Vocal, Humming, Guitar, Bass,
Drums
ルーカス氏がヘリコプターでロンドンを去る。エンディング・クレジット
オープニングとエンディング・テーマは、「Take Three Girl」の時と同じ録音と思ったが、ジャッキーが歌う歌詞が違う!若い「Girls」でなく成熟した「Women」を意識した内容になっているのだ。ドラムスが入っていて、ボーカル以外は同じ演奏に聞こえるので、昔録音した伴奏トラックにジャッキーが歌入れしたものと推測される。それ以外はドラムスなしの演奏。「Reflection」 1971 P6、「Solomon's Seal」 1972 P7 など、「Take Three Girls」の後に録音されたアルバムに入っていた曲をベースとした演奏があること。また「If I Had A Lover」のように、ペンタングル解散前の公式録音がなく、1979年のバートのアルバム「Thirteen Down」 S16 が初出で、同年12月のミラノでのライブで演奏された曲があるのが興味深い。また1980年代という時代を考慮してか、シーンによりペンタングル以外の音楽を取り入れている点が「Take Three Girl」と異なる。
1982年のペンタングル・リユニオンの演奏が聴ける。彼らの音楽が、ドラマに凛とした品格を付与しているのがよくわかる作品。
[2022年12月作成]
[2023年1月追記]
「Take Three Woman」のその後のエピソードを見て、先生が出てこないので、当初書いた「(ボスからの)電話が鳴るが、ケイトは出ないことにして、先生のオファーを受けることにした」という部分につき、「先生のオファーを受けることにした」の部分を削除しました。結論として、ケイトは息子と二人で生きる道を選んだことになります。
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Take Three Women "Avril" (Episode 2) (1982) テレビ映像 |
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Bert Jansch : Guitar
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal, Hamming
Danny Thompson : Bass
Terry Cox : Drums (Oepning, Closing Theme Only)
Angela Down : Avril
Julia Jones : Writer
Roger Bamford : Director
放送 : 28 September 1982, BBC2
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第2回「Avril」(50分)は、画家を志したアヴリル・ポンド (アンジェラ・ドーン)の12〜13年後の物語。彼女以外に、父親(ジャック・ワトソン)、母親(ステラ・タンナー)、そして脚本(ジュリア・ジョーンズ)も 「Take Three Girls」の時と同じ顔ぶれで、台詞・演技の濃密感が、時を経てそのまま引き継がれている。
以下、粗筋とペンタングルの演奏が聴ける場面について述べます。内容の濃い早口の台詞がとても多い舞台劇のようなドラマで、かつ慣れないイギリス英語(コックニー訛りもある)のため、聞き取りが大変難しいのですが、わかる範囲内で書きます(間違いがあったらすみません)。なお台詞の一部しか聞き取れないので、ドラマの良否についてはコメントしません。
☆00:00-00:53 「Light Flight (Opening Theme)」 Vocal, Humming, Guitar, Bass,
Drums
(時間表示は映像下部にあるタイムコードの時間です)ロンドンの街角風景と3人の主演女性のポートレイト。
アヴリルのギャラリーが展示会を開催。豪華・盛況で、顧客が絵を見て「これはコピー?」「いや、ビアズリー風の作品」(飾られている絵は、模写ではなく、有名画家の作風を真似た模倣作品で、クリムト風の絵もある)。母(「Take
Three Girls」の時とはうって変わり、とてもいい服を着ている)が客に「これは娘が書いたのよ!」と自慢し、飲食の給仕を手伝おうとするが、アヴリルに止めさせられる。
☆03:25-05:10 「Jump Baby Jump」 Humming, Guitar, Bass
アヴリル、アートスクールで絵を教えていて、一人の若者に気をかけている。
食堂で同僚の男性教師と会話。展示会は成功。作品の売れ行きは好調で、ビジネスとしてお金になると話す。
父親がギャラリー(兼アヴリルの住処)に来る。母同様、仕立ての良いスーツを着ている(子供の成功により経済的に豊かになった風)。一緒に食事をしながら、父親が自分が描いた絵を見せ、ギャラリーで展示して売ってほしいと言うが、ゴーギャン等の下手なコピーで、アヴリルは拒否。父は怒って帰る。
アートススクールの若者が自作の絵を見せに来て、アヴリルはその才能を認める。二人で飲食しながら、若いころパリで3年間絵描きの修行をし、その後パトロンがつき、彼が亡くなって遺産を引継ぎ、ギャラリーを開いたと話す(模倣作品によるビジネス上の成功、相続によるギャラリー開設など、幸福そうには見えない、屈折した心情が伺える)。話し込むうちに、恋心が膨らみ若者にキスする。二人は外出して手をつないで歩く。
☆23:01-23:55 「Pentangling」 Vocal, Guitar, Bass
スクールでの実習中も二人は目を合わせて微笑む。食堂で同僚と食事。その間も他席に座っている若者に目がゆき、同僚から若者との関係につき、やんわりとクギを刺される。彼からデートに誘われるが断る。学校帰りに若者の後を追いかけようとするが、同僚に制止され「お前はバカだ」。
☆27:05-27:12 「Jump Baby Jump」 Guitar
アヴリルがギャラリーに戻ると、秘書よりシンシナティーに住むアメリカ人から現地での展示会のオファーがあったとの報告を受ける。母が待っていて、「お父さんにひどいことをしたわね」と責められる。絵を断られた事に意気消沈して、ベッドから出なくなったという。病気ではないので、アヴリルに家に来て何とかしてほしいと頼む。
アヴリルは両親の家に行き、ベッドにいる父と話す。「俺は駄目だ。役立たずだ。諦めた」彼が握りしめているのは軍帽(彼が軍人だった昔の栄光に囚われ、除隊後は満足な人生を送っていない様が暗示される)。「ニセモノを売るギャラリーに戻れ!」
テレビでアイススケート(演技用の音楽としてマイケル・ジャクソンの「Ben」が流れている)を見ている母との会話。母は父にうんざりしている。彼と最初に会ったときは。軍服姿で格好良かった。母はここを出て、カナダにいる妹の所に行きたいと言う。父に呼ばれてアヴリルが、「ベッドから起きて、ちゃんとしなさい」と泣き喚き、家から出てゆく。母は「彼女はいままで泣いたことがないのに、なんて事をしてくれたの」と責める。
☆39:30-40:22 「A Maid That's Deep In Love」 Humming, Guitar, Bass
夜ギャラリーに戻ると、書き置きがあり、パブに行くと、若者が若い女性とじゃれ合っている様が目に入り、黙ってその場を去る。
翌日スクールで、若者をじっと見つめるアヴリル。食堂で若者から話しかけられる。若者 「パブに来なかったね」 アヴリルは何も言わない。「自分は年寄りよ」
若者のくどき言葉や 「あなたの絵を描きたい」に取り合わず、「あなたの女の子のもとに帰りなさい」と諭す。
母がギャラリーに来て、彼女が家に来なかった事を責める。父はベッドから出たようだが、フラフラしているとのこと。アヴリル「お父さんかわいそう」、母「私はかわいそうじゃないの?」、アヴリル「お母さんは生き残った人(Survivor)だからね!」、母「そうね」。この言葉で母は落ち着き、「ねえ休暇をとってみんなでどこか行きましょうよ」。シンシナティーの顧客が来店し、母は帰る。
アートスクールで同僚との会話中に若者が割って入る。アヴリルをめぐり、二人で言葉の鍔競り合いが繰り広げられるが、同僚との夕食の約束を受け、若者は諦める。
ギャラリー(自宅)での同僚との夕食。同僚から求愛を受ける。アヴリルは2階のアトリエに彼を案内し、自作の絵(自分のスタイルで描いた絵)を見せて、シンシナティーの金持ちアメリカ人に気に入られたと話す。同僚は「自分は離婚経験者だけど、職も家もあるし、どうかね?」「それともシンシナティーに移住する?」アブリルは冷静で、「考えなくちゃね」。
☆52:04-52:43 「Light Flight (Closing Theme)」 Vocal, Humming, Guitar, Bass,
Drums
エンディング・クレジットと、ギャラリー入口(ガラス戸に「Gaerie Ponde, Genuine Phonies (本物の偽物)」の店名が書かれている)に、「改装中のため閉店」という貼り紙。最後に女性の絵が写って終わり(両親と休暇をとった?
or 同僚と一緒になった? or シンシナティーに行った? ここでは結末は不明)。
オープニング、クロージング・テーマの「Light Flight」は、「Take Three Girls」と異なる歌詞であると前作「Kate」の時に述べたが、注意深く聴いていると、「Take
Three Women」 第2話の歌詞は、第1話のものとも異なることがわかった。結構手が込んでいるよね!音楽が挿入される場面は比較的少ないけど、場面の切り替わり時など、台詞がないところで長めに流れるので、演奏をより楽しむことができる。
[2022年12月作成]
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Take Three Women "Victoria" (Episode 3) (1982) テレビ映像 |
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Bert Jansch : Guitar
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal, Hamming
Danny Thompson : Bass
Terry Cox : Drums (Oepning, Closing Theme Only)
Liza Goddard : Victorial
Susan Jameson : Kate
Charlotte Bingham, Terence Brady : Writer
Les Chatfield : Director
放送 : 5 October 1982, BBC2
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第3回「Victoria」(50分)は、チェロ弾きのヴィクトリア・エドガーコム (リザ・ゴッダード)の12〜13年後の物語。ヴィクトリア主演作については、「Take Three Girls」 シーズン1, シーズン2 の計7エピソードのうち6件が廃棄により失われている。リザ・ゴッダード氏は、YouTubeに当シリーズのエピソードを公開している人であるだけに、かわいそうだ。唯一生き残った「Variation
Of May And September」 (シーズン1, エピソード2)も非公開のため、主演作としては本編が唯一鑑賞可能なものだ。そのため、「Take
Three Girls」の後日談として観るには、イメージが沸かない感があるのは、致し方がないか。
☆00:00-00:37 「Light Flight (Opening Theme)」 Vocal, Humming, Guitar, Bass,
Drums
(本画像はタイムコード表示がないため、YouTubeの再生時間で表示します)ロンドンの街角風景と3人の主演女性のポートレイト。
雨の葬儀場を走る霊柩車と、未亡人となったヴィクトリアと娘が車に乗っている。
☆01:43-02:24 「Snow」 Humming, Guitar, Bass
ヴィクトリアの回想による、馬の調教師だった夫の事故死の新聞記事(そこそこ有名な人のようだ)と、叫び声、車のブレーキ、悲鳴、救急車のサイレンによる事故の音声。田舎にある自宅での葬儀出席者の集まり。いかにも上流階級といった感じのヴィクトリアの父、兄との会話。年齢差がある結婚に反対していた父は冷淡、兄は家の中にある銀製の小物をポケットに入れて盗み、会話中にシニカルに笑うなど、弔意のかけらもない。別室での母「ヴィクトリアかわいそうに」、義母「息子は56才の誕生日を迎えるところでした」、母が父に「彼女の年齢に見合った人をみつけるわよ」。ヴィクトリアと両親・兄弟との間に微妙な距離感があり、以前から彼らとの仲は良くなかったようだ。
居間のピアノに立て掛けたボッチェリーニ(Boccherini) の楽譜を見つめるヴィクトリア。「これは誰?」と義母が手にした写真立てに、「アヴリル、ケイトで、以前フラットをシェアしたことがあるの、結婚式の時に花嫁介添人をしてもらったわ」。娘と墓参りをするヴィクトリア。
義母との会話。夫がやっていたビジネスの状況が悪く、ギャンブル漬けで借金もあり、経済的に破綻していることが判明。
☆12:50-13:25 「Hunting Song」 Guitar
自宅の隣室で所持品、家財道具のオークションが行われている音声を聴きながら、義母と会話。大切なチェロを競売にかけられそうになり、止めさせた話など。ヴィクトリアはロンドンに引っ越すつもりであるが、住む場所は未定。
田舎で犬を散歩させているシーンから、ロンドンの通りでタクシーを待つシーンに変わる。 (15:33-16:02のチェロとピアノは別の音楽)。スケートボードやパンク・ファッションの若者など、ロンドンの変わりように戸惑う(流れるロック音楽は別)。住む候補のフラットを見た後、タクシーでケイトの家に行く。
ケイトの家での会話。田舎での生活では、夫が嫌ったため、夫以外の人々との交流はあまりなかったようだ。ケイト「これからどうするの? 時が経てば、きっとうまくいくわ」、「みんなそう言うだけ。どうしよう」。経済的に問題があることを告白し、自分はチェロを弾くことしかできないと嘆き、今後の生活への不安を訴える。ケイトはヴィクトリアを泊まらせる。
翌朝ケイトが息子にヴィクトリアを紹介。ヴィクトリアが帰る際に、ケイト「次に会うのは8年後じゃないよね?」。ヴィクトリア 「わからない。ロンドンでやってゆけるかどうか....
とにかく住む所を決めないと」。
宿泊先での娘、シッターとの会話。娘は住んでいた田舎の家を売ることに不満。ヴィクトリアは部屋に置いてあるチェロを眺める。
チェロ奏者のオーディション(オーディションで弾かれるのはクラシック音楽)。面接者(上流階級の男)は、演奏中に大きな音で鼻をかんだり、下卑た冗談を言うなど、傲慢かつ下品な人物。彼女にボッチェリーニ(Boccherini)の曲を弾くよう要求する。弾いているうちに夫の事故がフラッシュバックして演奏できなくなる。
ケイトの自宅にて。今度は娘と一緒。ケイトは自分の家にしばらく滞在するよう説得し、それを受けてヴィクトリアは荷物を持ち込む。
ケイトの自宅でパーティー。オーディションという言葉を聞きつけた音楽家との会話がはずむ。「セッション、スタジオ・ワークをしたことはあるかい?スタジオをやっていて、弦楽器奏者が必要なんだ」。先日のオーディション先から電話が入り、翌日11:00に来るよう言われ、希望が沸いてくる。
オーディション会場に行くが、秘書が応対し、弾いているチェロの話になって 「これは亡くなった夫からのプレゼントです」。秘書「これを売るつもりはないかね?」。目的は彼女でなくチェロであったことが判り、ヴィクトリアは呆然とする。
ケイト宅にて食事。ヴィクトリアは苛立って娘に当たる。ロンドンで暮らせないと言って、娘と対立し切れる。ケイトが、パーティーで会った男から、電話するよう連絡があったと伝える。
スタジオでのセッション。他のミュージシャンと顔合わせの後、初見で本番録音。47:30-48:26 「Stardust」を演奏する。 ミュージシャンが彼女に微笑みかけ、うまく溶け込んだ感じ。
子供達を連れてスタジオに迎えに来たケイトに 「うまくいったわ!2テイクとったけど、ファーストテイクが使われるかも」。男から「また頼むよ」 と言われ、稼ぎ口を確保できたので、ほっとしたヴィクトリアはすっかり明るくなり、「田舎の生活は退屈だったのよ」。ケイト
「あなたのママはポップスターになるのよ!」、ヴィクトリア 「違う、後ろでカリカリやっている人たちよ」。チェロを車に積んで、皆で家に帰ろう。
☆50:00-50:30 「Light Flight (Closing Theme)」 Vocal, Humming, Guitar, Bass,
Drums
エンディング・クレジット
オープニング・テーマの「Light Flight」は、「Kate」、「Avril」のものと歌詞が異なっているが、大変残念なことに、画像がジャッキーの歌唱の途中からスタートし、しかも一瞬途切れる部分もある。しかし他のエピソードと異なり、クロージング・テーマにボーカルが入っているので、ジャッキーが歌う歌詞をしっかり聴けことができる(ただし演奏的には編集で切れている部分があるのが惜しい。編集により両方のテーマを繋ぎ合わせることで再現できるかも)。
他のエピソードに比べ、何故かペンタングルの演奏部分が著しく少ないけど、本エピソード独自の歌詞による「Light Flight」が聞けるなど、捨て難い存在。
[2022年12月作成]
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Take Three Women "Victoria, Kate And Avril" (Episode 4) (1982) テレビ映像 |
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Bert Jansch : Guitar
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal, Hamming
Danny Thompson : Bass
Terry Cox : Drums
Liza Goddard : Victorial
Susan Jameson : Kate
Angela Down : Avril
Lee Langley : Writer
Julian Amyes : Director
放送 : 12 October 1982, BBC2
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主演女優3人の共演による、シリーズ最後の作品 (50分)。
☆00:00-00:33 「Light Flight (Opening Theme)」 Vocal, Humming, Guitar, Bass,
Drums
(本画像はタイムコード表示がないため、YouTubeの再生時間で表示します)ロンドンの街角風景と3人の主演女性のポートレイト。
ケイトの家。朝起きてきた息子が学校へ行く。
ヴィクトリアが家で娘と食事。届いた手紙の宛先の大半は亡くなった夫あてだったが、彼女宛の手紙で、母校の資金集めへの協力依頼があった。
☆01:59-02:15 「Light Flight」 Guitar, Bass,
アヴリルがオフィス(どこか不明)を訪問しノックする。落ち着きがない風。
ケイトのオフィス。ボス(エピソード1参照)から仕事の指図を受ける。
ヴィクトリアから電話。資金集めの協力依頼があったことを話す。
ヴィクトリアが娘とショーウィンドウの服を見て、「こんな高いの無理よ!」
アヴリルのギャラリー。若者(エピソード2参照)が諦めきれず、アヴリルに付きまとっている。「もう貴女に教えることはできないわ」。元気がない彼女を見て「大丈夫?」。ビジネスは上手くいっているので問題ないと答える。
ヴィクトリアと娘がギャラリーを訪れる。突然の訪問に驚き、再会を喜ぶ。娘を紹介し、娘「あなたの事は写真で見た事があります」。アヴリルはケイトとは会っていないと言う。
アヴリルが医者と相談。精密検査を受けるよう言われる(乳がんの疑い?)。彼女は動揺する。
ケイトのオフィス。ボスから相談あると言われ、赤ん坊のために資金援助の申し出でがあるが、「父性の発揮ね」とケイトは取り合わず。ボス「結婚の申し込みをした、君を失いたくない」。ケイト「私は貴男のものにはなっていない」。レストランでの食事の約束をする(前エピソ−ドでは冷淡だったボスの態度が変わってきている)。
川辺でケイトとヴィクトリア。ヴィクトリアはアヴリルと会ったことを話す。以前ケイトとアヴリルの間に誤解があって仲違いをしたことが明らかになる。
アヴリルがヴィクトリアの家に飾る絵を持ってくる。ヴィクトリアはケイトのせいではないと言う。仲直りを勧めるヴィクトリアの「人生は短いから」という言葉に、アヴリルは複雑な表情を見せる。
ヴィクトリア、スタジオで録音セッション(演奏曲は不明)。
ケイトの家、ヴィクトリアが預かってもらった娘を迎えに来る。娘が悪い言葉を使っているのを聞いて叱り、ケイトの息子からの影響と責める。「子供の教育に悪いからロンドンから離れたいわ」。ケイト「あなたはひどくお高くとまっているわ。ここは博物館ではないの。田舎で庇護された生活とは違う。成長して現実に向き合わなくではいけないの」。
公園でのヴィクトリアとアヴリルの会話。「ギャラリーを閉めようと思っている」と悩んでいる様子。娘が乗馬の練習をしている。「あなた破産したんじゃなかったの?」。誰か(聞き取れず)の援助を受けているようだ。
ヴィクトリアの家。悩んでいる風のアヴリルに「本当にだいじょうぶ?」。電話がかかり、録音セッションの仕事が入ったとのこと。
スタジオで男(キット)との会話。ヴィクトリアはケイトと口論したことを話す。キット「ケイトは息子が批判されたら母として黙っていないからね」。
☆21:00-21:25 「Light Flight」 Guitar, Bass, Drums
駅で列車から降りてきたケイトを迎える息子。
ヴィクトリアは家で娘と食事。
アヴリルがオフィスを尋ねノックする(オフィスは医院でした)。ケイトはそれを偶然見かけ、オフィスに入り、「医者と話がある」と嘘をついて待合室でアヴリルを待つ。診察室から出てきたは、ケイトから声をかけられ、「異常なしだった!」と安堵のあまり泣き出し、ケイトは優しく抱擁する。
ヴィクトリアと娘が家に帰る。娘の言葉使いに戸惑うが、我慢する。スタジオから出された宿題をしていたら、ケイトがやってくる。続いてアヴリルが現れて、お祝いよとワインを差し出す。
3人の再会を喜ぶ会話(この部分はあまり聞き取れませんでした)。キットが来て皆で夕食をとる。
皆帰り、娘も寝て、ヴィクトリアとキットの二人になる(28:28-31:17のピアノ曲、バッハ作メヌエット ト長調は別の音楽→ペンタングルでない)。ヴィクトリアはナーバスに。キットが彼女に軽くキスをすると、「まだ早い(Early)わ」。キット「もう(夜)遅いよ」。「早い(Soon)のよ」。キットが年上の夫が父親代わりだったことに言及すると、「ごめんなさい......
謝る意味ではないの」。
ケイトのオフィス。ヴィクトリアが来る。冒頭で出た資金調達イベントの企画にケイトが関わっている。
アヴリルのギャラリー。先生(エピソード2参照)が来ると、怒った風の若者が代わりに出てゆく。資金調達イベントで絵を売るアイデアを話す。若者の彼女に対し、自分は友達にすぎないと説明したと先生に話す。「君はひとりでやってゆける人だ」(先生との関係も友達として続けるようです)。
☆34:25-35:45 「Light Flight」 Vocal, Humming, Guitar, Bass, Drums
3人によるイベント準備作業(ヴィクトリア:音楽企画、アヴリル:絵の準備、ケイト:文書作成)
資金調達イベント会場での3人。即売用の絵、アンティック、レコードが陳列され、キットがステージのセッティングをしている。ケイトの依頼により即売用のレコードを寄贈した紳士から、チェロを教える仕事のオファーを受ける。
イベント終了後、主催者と成功を祝う乾杯。部屋に飾ってある絵を主催者が自慢する。アヴリルは偽物と指摘。「描かれている建物は作者が亡くなった10年後に建てられたもの」という証拠を示すが、主催者は取り合わず、別の来客に対し従来通り絵の自慢をする(ここはシニカルであるがユーモラスなシーン)。
帰りの電車の中での3人の会話(この部分はよく聞き取れませんでした。ヴィクトリアがオファーされた仕事について話しているようです)。
着いた駅にボスがいる。雑誌の広告契約が取れたので、いまから出張するとのこと。彼女に仕事を託し、別れに軽くキスする。お腹が大きくなったケイトにボス「だいじょうぶ?」。ケイト「救急車に乗るところよ!」、「えっ!」、「もちろんだいじょうぶよ」(冗談でした)。「明日戻るから待っていて!」。ボスはケイトと話すのが楽しそうで、ケイトも軽くあしらいながら満更でもなく、二人のやりとりはいい感じ。
☆47:15-47:41 「If I Had A Lover」 Humming, Guitar, Bass
ケイトの息子とヴィクトリアの娘が迎えに来ている。駅で別れて各自家に帰ってゆく
☆48:15-49:02 「Light Flight (Closing Theme)」 Vocal, Humming, Guitar, Bass,
Drums
エンディング・クレジット
3人とも、それぞれが抱える悩み・問題が解決・好転し、互いにすっかり打ち解け、自立する女性として明るい未来が見えた所で終わっているので、大団円と言ってもいい気持ちの良いエンディングになっている。
冒頭の 「Light Flight」は映像・音声で途切れる場面があるが、34:25-35:45は、最初から最後まで続くボーカル付きの演奏(ただし途中の編集によるカットはあり)で、途中台詞の挿入もないので、音楽鑑賞用としてはおあつらえ向き。以上総括です。
1.「Take Three Women」の4エピソードにおける「Light Flight (Opening Theme)」において、ジャッキーが歌う歌詞はいずれも違うものでした。「Take
Three Girls」の歌詞は、いずれのエピソードも同じです(公式録音とは異なります)。
2.テリー・コックスは「Take Three Woman」の録音セッションには加わっていないようです。
3.録音方法につき、「Light Flight (Opening Theme, Closing Theme)」は、「Take Three Girls」、「Take
Three Women」とも、同じベイシック・トラックにジャッキーがボーカル、ハミングを入れている。ベイシック・トラックは公式録音(「Basket
Of Light」 1969 P4) を編集により短くしたものではないかと思います。
4.その他の音楽については、@ 本ドラマのために予め録音したものの使い回し A スクリーンで動画を見ながら、それに合わせて演奏したもの の併用と思われます。
[シリーズの投稿を終えて]
私の能力では聞き取り不能な部分が結構多く、まだまだ修行が足りないと痛感しました。私の理解に間違いがあるかもしれませんが、その点については何卒ご容赦ください。
いままで40年以上、数多くの字幕なしの映画・ドラマを観てきましたが、私なりの楽しむコツは、すべてを聞き取ろう、理解しようと無理しないこと、と思います。聞き取れない部分があることにより、がっかりして鑑賞の意欲・楽しみを削いでしまうのは損なことです。わかった部分につき自分なりに満足と達成感を持ち、そこから想像力と推理力を働かせてそれなりの理解に達すること。今回はここまでだったけど、次回はモアベターよ!
と研鑽に励むこと、そしてその研鑽と成長を楽しむことが大事であると思います。
また有難いことに、現在は昔の映画の多くについて、インターネットで粗筋または脚本を見ることができるので、それを最大限に活用することですね。その際もわからない単語・語句に拘泥せず、リズム良く読み進んでゆくことが秘訣であると思います。
[2022年12月作成]
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Cambridge Folk Festival [Pentangle] (1982) 映像 |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal (1)
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal
Danny Thompson: Bass
1. Bruton Town [Traditional]
収録: Cherry Hinton Hall, Cambridge July 30〜August 1, 1982
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イタリアでのツアーのオファーを受け、約10年振りに再結成されたペンタングルは、最初のギグとして1982年7月30日から8月1日までの期間で開催された第18回ケンブリッジ・フォーク・フェスティバルに出演した。ただし、テリー・コックスが直前の自動車事故により怪我をしたため、本ステージはドラムス抜きの4人による演奏となった。怪我の内容については、腕(同コンサートの音源資料)という説もあったが、バートのWikipedia、コリン・ハーパー著「Dazzling
Stranger」2000 にある足(車椅子)が正しいようだ。
以前より「If I Had A Lover」、「People On The Highway」、「Sovay」の音源が出回っていたが、2023年11月Cherry
Tree が「Reunions & BBC Sessions」 P21というCDボックスセットを出し、そこに同コンサートの演奏6曲が収録され、晴れて公式録音となった。なおCDの資料は収録日を「8月」としているが、厳密には開催期間7月30日〜8月1日のいずれかとなる。そしてここで紹介するのは、コリン・ハーパーがYouTubeにアップロードしたBBC2テレビの映像で、1982年リユニオンのライブ演奏を捉えた貴重なものだ。
司会者の「久々のオーディエンスを前にした演奏」という紹介を受けて1.「Bruton Town」が始まる。画質がイマイチなのでメンバーの細かな表情・風貌はわからないが、
バートとジョンはでっぷり太り、ダニーの髪の毛が薄くなっていて歳月の経過を感じさせる。使用ギターは、バートはヤマハ、ジョンは当時時々弾いていたアリアのエレコードで、どちらも日本製だ。曲が終わった後、オーディエンスはスタンディング・オーベイションで応えていて、この復活が待望されたものであったことがわかる。
[2023年11月作成]
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BBC Six Fifty Five Special [Pentangle] (1982) 映像 |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal (1)
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal
Danny Thompson: Bass
1. Sovay [Traditional]
2. If I Had A Lover [Traditional]
収録: BBC Studio, August 5, 1982
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BBCテレビ制作の「Six Fifty Five Special」は、1981年〜1983年に放送された芸術・娯楽番組で、サリー・ジェイムスとデビッド・ソウル(アメリカのテレビドラマ「スタスキー・アンド・ハッチ」のハッチ役を演じ、1977年に「Don't
Give Up On Us」という全米・全英1位の大ヒット曲を歌った人)がプレゼンターを務めた。
本映像はケンブリッジ・フォーク・フェスティバル出演後に撮影されたもので、ペンタングルの1982年リユニオンの様子を伝える映像として貴重なものだ。テリー・コックスの怪我のため、ここでもドラムス抜きの4人での演奏となっている。
良質の映像で、出演者の表情がはっきりわかる。特に印象的なのはジャッキーで、1943年生まれなので撮影時は38才ということになる。ズボンをはいたカジュアルな服装、短めにしてパーマをかけた髪型は、70年代のペンタングルのトラディショナルな恰好とは大違い。そして顔のクローズアップでは、目尻の皺がもろに見えてしまう。あちらの女性は早く老けるなあと実感。それでも貫禄がついたようで、見かけとしては悪くないね。
なおこの2曲は、 2023年11月、Cherry Tree より発売されたCDボックスセット「Reunions & BBC Sessions」P21に音源として収録されました。
[2023年11月作成]
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Teatro Orfeo, Milan [Pentangle] (1982) 音源 |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal (1,2,5,6,8,9,10,11,12,13,16,17)
John Renbourn : Electric Guitar,
Jacqui McShee : Vocal (1,2,3,5,7,11,12,13,14,15), Back Vocal (6,8,16,17)
Danny Thompson: Bass
Terry Cox : Drums, Back Vocal (3)
1. Bruton Town [Pentangle]
2. People On The Highway [Pentangle]
3. Light Flight [Pentangle]
4. Cherry [D. Brand]
5. A Bold Young Farmer [Traditional]
6. Train Song [Pentangle]
7. If I Had A Lover [Traditional]
8. Open Up The Watergate [Bert Jansch]
9. One Scotch, One Burbon [R. Toombs]
10. Blackwaterside [Traditional]
11. Sovey [Traditional]
12. Sweet Child [Pentangle]
13. Pentangling [Pentangle]
14. I've Got A Feeling [Pentangle]
15. Cruel Sister [Traditional]
16. Sally Free And Easy [Tawney]
17. Moonshine [Traditional]
注) 4, 5, 15 はバート非参加
収録: Teatro Orfeo, Milan, 1982年12月9日
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オリジナルメンバーによるペンタングルの再結成は、1991年の「Derroll Adams 65th Birthday Concert」 O27
(但しテリー・コックス抜き)と、2008年のBBC Fork2 Awardをきっかけとする再結成ツアーがあるが、実は1982〜1983年に 5人が集まった時期があった。グループを解散してメンバーが自分の道を歩みだしてから10年後、イタリアでのツアーのオファーが好条件だったため、全員承諾したという。しかしリハーサルの段階でテリーが交通事故に合い、そのため最初のギグとして予定されていたイギリスのフォーク・フェスティバルの出演は4人となった。しかし12月のイタリアのツアーには、テリーが車椅子で復帰、5人全員によるリユニオンが実現した。本音源はその模様を捉えた貴重なものであり、過去から現在に至るペンタングルのミッシング・リンクを補うものである。
音響機材に問題があったようで、ジーというノイズがするが、各楽器はクリアーに録音されている。1.「Bruton Town」でのプレイは、昔の演奏の繊細さに比べて、ワイルドで自由な感じだ。特にダニーのベースはピックアップの技術進歩のせいもあり、大変生々しいプレイで驚かされる。ジョンはエレキギター(またはエレアコ)によるリードプレイに専念。間奏部分でリズムが合わなくなるのはご愛嬌かな?
2.「People On The Highway」でのバートのボーカルは少しダミ声風で、10年という歳月が経った事を感じさせる。代表曲 3.「Light
Flight」は、テリーの繊細なドラミングが命であることがわかる演奏。4.「Cherry」はダラー・ブランドのピアノソロをアレンジしたもので、ジョンの単独演奏。公式録音はステファン・グロスマンとの共演盤
「The Three Kingdoms」1986 が初出なので、本音源はそれよりもかなり以前の演奏ということになる。この手の曲としては、エレアコっぽいサウンドが少し気になる。5.「A
Bold Young Farmer」はジャッキーが無伴奏で歌う曲で、ジョン・レンボーン・グループの「The Enchanted Garden」
1980 に収められていた。ジョンによる短いギター独奏の後、6.「Train Song」が始まる。弾き込んでいた現役当時に比べて、リズムにもたつきがあるのは、致し方ないだろう。
解散後10年間のうちに、確実な技術的進歩を遂げたダニーによる縦横無尽のプレイが素晴らしい。イントロでダニーのベースソロが入る 7.「If I
Had A Lover」は、バートのソロアルバム「Thirteen Down」 1979 S16でジャッキーがゲストで歌っていた曲。従ってペンタングルとしての演奏はここだけという貴重な音源。8.「Open
Up The Watergate」はバートのソロアルバム「L.A. Turnaround」1974 S9からの曲で、30年近くも経った後に、ペンタングル
5人による演奏を聴けるなんで、感慨無量。個性的なリズムセクション、ジョンのオブリガード、そしてジャッキーのハーモニー・ボーカルにより、ペンタングル・サウンドそのものに仕上がっており、本音源での聴き所のひとつとなった。スヌークス・イーグリンの
9.「One Scotch, One Burbon」は、バートがステージで演奏していた曲で、ここでは彼一人による演奏。公式発表はオムニバス盤の「Just
Guitars」 1984 O19だ。10.「Blackwaterside」は、バートとダニーの二人演奏という珍しいバージョン。ここでのダニーの骨太プレイは最高に素晴らしい。11.「Sovey」は、「Sweet
Child」 P3のオリジナルと同様バートとジャッキーによる男女の掛け合いボーカルを聴くことができる。12.「Sweet Child」ではジョンのリードギターが大活躍する。こういう曲を聴いていると、ペンタングルっていいなあ〜と思うよね!メンバー紹介の後に、バンドの演奏力のショーケースである大作
13. 「Pentangling」が始まる。「この曲はどうなってゆくか分からない」というバートの紹介のとおり、インプロヴィゼイションが気の赴くまま延々と続く。ジョンのソロに続くダニーが展開する無伴奏ソロが圧倒的。14.「I've
Got A Feeling」はダニーのベースソロがフィーチャーされる、よりジャジーな演奏で、良い出来。アンコール最初の曲 15.「Cruel
Sister」が始まると、オーディエンスから拍手が起きる。ジョンのギターとバックコーラスのみの伴奏から始まり、途中からリズムセクションが加わる。
ジョンの声が聞けるのはここだけだ。バートが「One Of My Favorites In Pentangle」と紹介する 16.「Sally
Free And Easy」は、バートが歌を間違えるシーンがあるが、ジョンのリードギターも含め聴き応えがある演奏。17.「Moonshine」は、バートによるソロアルバム1973
S8 のタイトル曲で、ペンタングルによる演奏は初めてだ!ジョンのギター、ジャッキーのハーモニー・ボーカルもしっかり入った感動の1曲!!
演奏自体は荒っぽさもあるが、総じて良い出来だと思う。ただし本コンサートを含むイタリアツアーについてのバートのコメント「Some of it was
good, some of it was great, but we weren't enjoying the tour, and we weren't
creative」 (コリン・ハーパー著「Dazzling Stranger」より)にある通り、当時ジョン・レンボーンはダーリントン大学への入学を決めており、ペンタングルとしての演奏活動にそれほど情熱がなかったはず。さらにバートとジョンの音楽志向に大きな隔たりがあり、新しい作品を創る余地がなかったものと思われる。その後ジョンは、1983年のオーストラリアやドイツでのコンサートの後に脱退、バートの「A
Rare Conundrum」 1977 S13に参加したマイク・ピゴー(ギター、バイオリン)が後任者として加入することになる。新しいラインアップにおいて、創造的であろうとするバートの思いは生かされたようで、1985年に発表されたアルバム「Open
The Door」 P14は、全く新しいサウンドで新生ペンタングルと呼ぶに相応しいものだった。
ペンタングルおよびバートのキャリアにおいて、1970代と1980年代を繋ぐ重要な部分に位置する貴重な音源。
[2023年11月追記]
2023年11月、Cherry Tree より発売されたCDボックスセット「Reunions & BBC Sessions」P21に本音源
5〜17が収録されました。
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Thiene [Pentangle] (1982) 音源 |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal (1,2,5,6,8,9,10,11,12,13,16)
John Renbourn : Electric Guitar,
Jacqui McShee : Vocal (1,2,3,5,7,11,12,13,14,15), Back Vocal (6,8,16)
Danny Thompson: Bass
Terry Cox : Drums, Back Vocal (3)
1. Bruton Town [Pentangle]
2. People On The Highway [Pentangle]
3. Light Flight [Pentangle]
4. Ragtime Tune (Cannonbal Rag) [M. Travis]
5. A Bold Young Farmer [Traditional]
6. Train Song [Pentangle]
7. If I Had A Lover [Traditional]
8. Open Up The Watergate [Bert Jansch]
9. One Scotch, One Burbon [R. Toombs]
10. Blackwaterside [Traditional]
11. Sovey [Traditional]
12. Sweet Child [Pentangle]
13. Pentangling [Pentangle]
14. I've Got A Feeling [Pentangle]
15. Cruel Sister [Traditional]
16. Sally Free And Easy [Tawney]
注) 4, 5, 15 はバート非参加
収録: Thiene, Italy 1982年12月10日
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ミラノのコンサートの翌日、ティエーネでのコンサートのオーディエンス録音。同地はミラノとヴェネチアの中間地点のの少し北に位置する人口2万4千人の小さな町だ。前日のミラノとほぼ同じ曲目で、異なる点は4曲目のジョンのソロが、ミラノでは「Cherry」だったのに対し、ここでは
4.「Ragtime Tune」となっていること。またミラノで最後に演奏した「Moonshine」がないことだ。後者については当日演らなかったのか、または演ったが本音源から漏れたのか、のどちらかは不明。
オーディエンス録音ということで、ミラノより音質は劣るが、最大の問題点はピッチにある。テープの録音スピードに問題があったようで、演奏が本来より速くなり、その結果音も高くなっていることは明らかだ。ここでの演奏曲をオリジナルと比較して聴くとよくわかる。また速くなった結果、レンボーンのソロ曲は人間では不可能な早弾きとなってしまっている。私は編集ソフトを使ってピッチを遅く調整したものを聴いている。調整により音質が落ちるけどしょうがないね。またオーディエンス録音ということで、聴衆の歓声や口笛が大きく聞こえて、かなり耳障りという問題もある。大歓声で応える大変乗りが良いオーディエンスとも言えるが、演奏中でも平気で叫んだり口笛を吹くマナーの悪い輩がいる。ジャッキーの独唱 5.「A Bold Farmer」で彼女が歌っている間もざわざわした音が聞こえるのだ。まあお喋りなイタリア人のお国柄かもしれないな。
といろいろ文句を言ったが、1982年のリユニオンにける貴重な音源であることは間違いない。演奏の内容は前日とほぼ同じであるが、異なる点だけ言及しよう。4曲目のジョンのソロ演奏は、資料では 「Ragtime Tune」というタイトルになっているが、正しくは彼が当時のコンサートで演奏していたマール・トラヴィスの「Cannoball Rag」だ。この曲はソロアルバムには入らず、正式録音は、2005年に発売されたジョンのベスト盤「Master Anthology Of Fingerstyle Guitar Vol.1 Nobody's Fault But Mine」に収められた。また13.「Pentangling」におけるダニーのべースソロは、前日と全く異なる内容で、途中突然「Sweet Child」1968 P3のライブ盤にあった「Haitian Fight Song」の一節が出てきて、テリーの伴奏がつく部分があるのが面白い。ミラノのコンサートの記事で述べた通り、本ツアーでの演奏には創造性・新しさがないと言えるが、ジョンのリードギター、ダニのベースはその分自由奔放にプレイしている感があり、それはそれで悪くない。
なお2023年11月、Cherry Tree より発売されたCDボックスセット「Reunions & BBC Sessions」P21には、本音源から
1〜4が収録されました。
[2023年11月作成]
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Russell Harty with Ralph McTell (1982) 映像 |
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Bert Jansch: Guitar
Ralph McTell: Guitar, Vocal (2)
John Williams : Classical Guitar (2)
1. Anji [Davey Graham]
2. Song For Martin [Ralph McTell]
収録: 1982年12月 BBC放送 Russell Hart
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1982年12月18日に行われたコンサート「Just Guitars」(ライブアルバムはO19参照)のプロモーションのため、コンサートの直前にBBC放送の番組「Russell
Harty」に出演した際の映像。当日はバート・ヤンシュ、ラルフ・マクテル、そしてクラシック・ギタリストのジョン・ウィリアムスが出演したという。コリン・ハーパー氏の「Dazzling
Stranger」では、本映像を1984年としているが、O19のアルバムが発売された年との混同による明らかな間違いで、コンサートが行われた1982年12月が正しい。ラッセル・ハーティー(1934-1988)が自身が司会する番組をBBC放送に持ったのは、1981年から1985年までなので、時期的にも合っている。
1「Anji」で二人は高椅子に座り、ラルフはバートの手元・表情を見つめながら弾いている。ふたりとも余裕たっぷりの演奏。
[2015年6月作成]
[2022年11月]
2022年発売の「Bert Jansh At The BBC」に音源として収録されました。
[2023年12月追記]
2「Song For Martin」を見ることができた。Facebookに投稿されたラルフ・マクテル本人のコメントによると、この曲は友人のMartin
(Tub) Sole のために書いたとのこと。彼のヘロイン中毒を止めさせることができなかったが、その後彼自身でで何とか止めることができた。しかしその1年後に火事で亡くなったそうだ。アルバム「Water
Of Dreams」1982 に収録。ここではバートとジョン・ウィリアムスとの3人による演奏。ジョン・ウィリアムスはクラシック・ギター界におけるトップの存在でありながら、スカイというフュージョン・グループを率いるなど、進歩的な取り組み姿勢を持っている人で、ここではラルフの歌に寄り添うようにオブリガードをつけている。一方バートの演奏は大人しい。
この曲はコンサートで演奏され、上述の「Just Guitars」 O19でレコード化されたが、そこではラルフとジョンのみで、何故かバートは入っていない。ちなみに同レコードでは二人によるラルフの代表曲「Streets
Of London」の演奏も収められている。
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Spil Op Danish TV (1984) 映像 |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal
1. Blues Runs The Game [Jackson C. Frank]
2. Come To Me Baby [Walter Davis]
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オランダのテレビ番組への出演。インタビューの後、2曲演奏。番組名と放送年の他は情報がなかった。
インタビューで、演奏旅行について 「愛憎入り混じった感じ。演奏するのは好きなんだけど、旅は疲弊するね」。影響を受けたものについて 「周りの人々から、ビッグブル・ブルーンジー、ウッディ・ガスリーとトラディショナルから」。ペンタグルについて
「再結成した。ちょうどレコーディングを終えたところで、来年発売される」。1985年の「Open The Door」の事を言っていると思われる。「デンマークは第2の故郷のようなもの」。70年第後半〜80年代は、本国イギリスにおける人気が下降したのに対し、ヨーロッパ大陸では根強かったことが背景にある。
パブのような場所で、あまり健康そうには見えないバートが、お馴染みのレパートリー 2曲を弾き語る。
[2023年3月作成]
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Tour In Italy [With Duck Baker] (1985) 音源 |
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Bert Jansch : Guitar, Vocal
Duck Baker : Guitar, Vocal
[Audutorium Montecchio, Alzano Lombard, Italy, March 22, 1985]
1. Poor Mouth
2. Daybreak
3. The Curragh Of Kildare [Trad.]
4. Pretty Polly [Trad.]
5. Candy Man [Trad.]
6. Moonshine
7. Let Me Sing
8. Weeping Willow [Unknown]
9. Is It Real ?
10. Blackwaterside [Trad.]
11. Lost Love
12. One Scotch, One Burbon, One Beer [Rudy Toombs]
13. King Fisher
14. Come Back Baby [Unknown]
[Place Unknown, Bologna, Italy, March 28, 1985]
15. Poor Mouth
16. The Curragh Of Kildare
17. Pretty Polly
18. Candy Man
19. Let Me Sing
20. Weeping Willow
21. Is It Real ?
22. Blackwaterside
23. Angie [Cut]
24. One Scotch, One Burbon, One Beer
25. King Fisher
26. Come Back Baby
27. Wild Mountain Thyme [Trad.]
注: 赤字は22日と29日で重複がない曲
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ダック・ベイカーとのジョイントによる1985年春のイタリア・ツアーからのサウンドボード音源。各曲の公式録音の初出は以下のとおり(3月29日と重複している曲は22日の番号のみ表示)。
Bert Jansch 1965 S2 : 23
Jack Orion 1966 S4 : 4 10
Nicola 1967 S5 : 8 14
Moonshine 1973 S8 : 6
A Rare Conundrum (Poor Mouth) 1977 (1976) S13 (S12) : 1 2 3 5 11
Avocet 1979 S15 : 13
Thirteen Down 1980 S16 : 7
Heartbreak 1982 S18 : 9 27
Just Guitars 1984 O19 : 12
3月22日はイタリア北部ロンバルディア州ベルガモ県にあるアルツァーノ・ロンバルドという、ミラノから北東51キロ、人口 1万3千人の小さな町でのコンサート。バートはダック・ベイカーに続く第2部のステージ。1985年はバートにとって、アルコール依存症などの問題を抱えていて、心身ともに不調だった時期。ここでは同年9月に発売された「From
The Outside」S20 からの曲は1曲もなく、すべて以前に発売されたアルバムからの曲だ。バートの声は少し荒れ気味で深みがなく、初期または回復後に見られるような余裕が感じられない。それでも一生懸命歌っている様はしっかり伝わってきて、生々しささえ感じられる。
1.「Poor Mouth」でバートは「曲を書いた僕はアイルランド人でないけど」と言って歌い始める。2.「Daybreak」は、ロンドンのフォーククラブ「レ・カズンズ」で徹夜して朝を迎える様を歌ったとのこと。3.「The Curragh Of
Kildare」は、「本当のアイリッシュ・ソングで、片想いの歌です」と紹介される。4.「Pretty Polly」、「アメリカのトラディショナル・ソングで殺人のバラッドです。新聞がなかった時代、ニュースは歌で人々に伝わったのです」
。歌詞の一部を忘れて(間違えて?)ハミングで胡麻化している部分はご愛敬。当時の歌声のダークな雰囲気が奇妙にマッチしている。「これは軽い感じで」という
5.「Candy Man」。 6.「Moonshine」では、イントロで弾くのを止めるが、指の動きに問題があったようで、「ここは寒いね」と呟いて再開する。
7.「Let Me Sing」は、「抗議により処刑されたチリのシンガー、ヴィクター・ヤラ(Victor Jara)の事を歌います」。日本ではビクトル・ハラと呼ばれていて、歌を通じて社会変革を目指したが、1973年のクーデーターで逮捕され、兵士の前で抗議して歌ったため撃たれて40歳で亡くなった。ちなみに当時のクーデターの有様は、ジャック・レモン、シシー・スペイセク主演の映画「Missing」1982に描かれている。10.「Blackwaterside」、「アン・ブリッグスから習ったトラディショナル・ソングで大好きな歌です」。11.「Lost Love」では、間奏部分でとちって止まり、「フム」と唸っている。上記のとおり心身不調の時代の音源であるが、ギタープレイについては随所にミストーンはあるものの、圧倒的であることに変わりない。
ダック・ベイカーを招いてのデュエット。エイモス・ミルバーン1953年のブルース 12.「One Scotch, One Burbon, One
Beer」 はステージ用のレパートリーで、公式録音ではオムニバス・ライブの「Just Guitars」1984 O19 がある。ダックの流暢なイタリア語による曲紹介後の13.「King
Fisher」での二人の演奏は本音源ならではの聴きもの。 アンコールのブルース 14.「Come Back Baby」では意気がぴったり合ったプレイが楽しめる。
3月28日はフィレンツェから北44キロにあるボローニャでのコンサート。22日と比べて「Daybreak」、「Moonshine」がなく、「Lost
Love」の代わりに23.「Anjie」が入っている。曲間で編集された跡は見当たらなかったので、ステージの演奏曲目からカットされたのではと思われる。曲目が少なくなったのは体調のせいかな?ボーカル、ギター演奏自体は22日と変わらないけどね。18.「Candy
Man」は、オーディエンスに向かって「誰でも知っている歌なので一緒に歌ってもいいよ」と語りかけているけど、会場から歌は聞こえない。23.「Angie」はエンディング部分で突如演奏が途切れるが、編集で拍手の音を繋ぐことで目立たなくしている。
ダックとのデュエットでは、22日と異なる内容の間奏ソロが聴けるのが楽しい。24.「One Scotch, One Burbon, One Beer」は、ツアーで慣れてきたせいか、エンディングでダックがボーカルを入れている。27. 「Wild Mountain Thyme」はリハーサルをあまりしていないようで、声を掛け合いながらのプレイ。
録音自体は悪くないんだけど、テープがよれているようで、特に後半からギターの音が少しおかしくなるのが惜しい。
最後に第1部を担当したダック・ベイカー (1949- ) について、簡単に述べる。
彼はワシントンDC生まれでヴァージニア州育ち。1970年代にサンフランシスコに移り、ステファン・グロスマンのキッキング・ミュールからレコード・デビュー。教則本・媒体も多く出している。ラグタイム、ゴスペル、ブルース、ジャズ、カントリー、アイリッシュなど大変幅広いジャンルをこなす人で、その持ち味は本音源でもフルに発揮されている。レコードでは端正で大人しいけど、ステージでの演奏はドライブがかかったエキサイティングなもので、この人の本領はライブにある事がよくわかるパフォーマンスだ。一人プレイでありながら、間奏部分でリズムをとりながら、インプロヴァイズするのも得意。ナイロン弦・スティール弦の両方とも弾ける人なんだけど、ここでは低音弦のナイロンっぽい音に対し、高音弦はスティール弦のメタリックな響きなので、クラシック・ギター的な音がするスティール弦ギターを弾いているように思える。強いタッチのピッキングに魅せられるが、彼のボーカルもなかなかのものだ。
セットリストは以下のとおり。
[March 22]
1. Maple Leaf Rag スコット・ジョップリンのラグタイムの名作。キッキング・ミュールからの「10 Classic Rags For
Guitar By Scott Joplin」1977 に収録。
2. I Ain't Got Nobody ベッシー・スミス、ファッツ・ウォーラー、ルイ・アームストロング等が歌った曲。「The King Of Bongo Bong」1977 収録
3. Sheebeg An Sheemor アイルランドの盲目ハーピストの作品。「Kid On The Mountain」1980収録。
4. Keep It Under Your Heart 「Under Your Heart」1985収録 カリビアン風の曲。
5. Doctor Jazz ジェリーロール・モードンの初期ジャズ曲。 「There's Something For Everyone In
America」1975収録。
6. Waltz On Sunday 「Under Your Heart」1985収録。1992年の「A Thousand Words」にはジョン・レンボーンとのデュエットが収められている。
7. Blackberry Blossom / June Apple ブルーグラスでよく演奏されるフィドル・チューン。「Moving Business」1994収録。
8. San Antonio Rose ボブ・ウィリス1939年のカントリー・ソング。
9. Allegheny County 「There's Something For Everyone In America」1975収録のアイリッシュ・フィドル・チューン風の曲
[March 28]
1. Maple Leaf Rag スコット・ジョップリンのラグタイムの名作
2. A Little Rain A Falling ジミー・リード1957年のブルース
3. Sheebeg And Sheemor アイルランドの盲目ハーピストの作品
4. Keep Under Your Heart
5. Doctor Jazz ジェリーロール・モードンのスウィング・ジャズ曲
6. Waltz On Sunday
7. San Antonio Rose
9. Allegheny County
10. The Flowers Of Belfast 「Ms. Right」1997収録。1982年に録音されながら未発表となり2022年に発売された「Contra Costa Dance」にも入っています。
バートの心身不調時代の音源で、ボーカルには余裕がないが、ギターは頑張っている。
[2023年12月作成]
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Femoren, Amager Strandpark, Copenhaghen, Denmark [Pentangle] (1986) 音源 |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal
Jacqui McShee : Vocal
Mike Piggott: Electric Guitar, Violin
Nigel Portman Smith: Bass
Terry Cox : Drums
1. People On The Highway
2. She Moved Throught The Fair [Traditional]
3. Taste Of Love
4. Kingfisher [Jansch]
5. Blackwaterside [Traditional]
6. Sovay [Traditional]
7. Dragonfly
8. Bruton Town [Traditional]
9. The Open Sea
10. Sunday Morning Blues
11. Yarrow [Traditional]
12. Come To Me Baby
13. Is It Real ? [Jansch]
14. Train Song
15. I've Got A Feeling
16. The Saturday Movie
Recorded: Femoren, Amager Strandpark, Copenhaghen, July 26, 1986
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「In The Round」 1986 P15発表当時のペンタングルの音源。会場のフェムオーレン(5オーレの意味。オーレはデンマーク・クローネの補助単位)は、海辺にあるアマガー・ストランドパークにある野外コンサート会場。オーディエンス録音で、音量が大きい時に割れ気味になったり、会場が野外のためか、演奏中に観客の会話が聞こえる等の難点はあるが、ベースの音がしっかり聞こえるので、十分に楽しめる。なおこれとは別に、サウンドボード録音による音質の良いFM放送音源(3,
6, 7, 9, 10, 11, 12, ただし 3は途中でカット)が出回っている。
オリジナル・メンバーのテリー・コックスのドラムスと、マイク・ピゴーの個性溢れるバイオリンとエレキギター演奏が聴きもの。特にマイクのペンタングル在籍期間が短かったため、ライブ音源は少なく、そういう意味で本音源は値打ちがある。1.「People On The Highway」は、オリジナルよりもかなり早いテンポでの演奏。4.「Kingfisher」は資料では「Unknown Title (Instrumental)」になっていた。ナイジェルのベースプレイが楽しめる。5. 「Blackwaterside」はバートの独奏。8.「Buruton Twon」の後で、テリーによるメンバー紹介が入る。9.「The Open Sea」のあたりから、バートの声がいつもより皺枯れてくる。ペンタングルでの公式録音がなく、マイクのギターとナイジェルのベース、ジャッキーのハーモニー・ボーカルが聴ける 13. 「Is It Real ?」は本作のハイライト。後期ペンタングルでの14.「Train Song」も面白い。15.「I've Got A Feeling」からはアンコールで、バートのアコギ、ナイジェルのベース、テリーのドラムスの各ソロを聴くことができる。途中で切れてしまうのが残念。
(おそらく)フルセットで、テリー・コックス、マイク・ピゴー在籍時のペンタングルを聴くことができる貴重な音源。
[2022年5月作成]
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BBC Folk On Two [Pentangle] (1986) 音源 |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal
Jacqui McShee : Vocal
Mike Piggott: Electric Guitar, Violin
Nigel Portman Smith: Bass
Terry Cox : Drums
1. Bruton Town [Traditional]
2. Dragonfly
3. Sunday Morning Blues (Fade Out)
4. Yarrow [Traditional]
5. She Moved Throught The Fair [Traditional]
6. Taste Of Love
7. Kingfisher (Fade Out) [Jansch]
Recorded: BBC Folk On Two, December 10, 1986
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コペンハーゲン7月の音源と同じラインアップによるBBC放送音源。
オーディエンスのいないスタジオ・ライブで、リバーブが深めであるが、各楽器がバランス良く捉えられている。特にバートのアコースティック・ギター、マイクのバイオリン、テリーのハイハット等の生楽器の音が大変クリアーで、かつナイジェルのエレクトリック・ベース、マイク・ピゴーのエレキギターの音もばっちり聞こえる素晴らしいミキシングだ。
1.「Bruton Town」では、間奏におけるマイクのエレキギターの音が素晴らしい。司会者のメンバー・曲紹介が入り 2. 「Dragonfly」が始まる。変拍子による曲で、マイク・ピゴーが主導で作った曲と思われる。彼のバイオリン・ソロはフォークというよりも、ジャズ、フュージョンに近いサウンド。3.「Sunday Morning Blues」の「ミノルカのレストランでの二日酔いの朝」という語りは、内容からテリーの発言であることが明らかで、この曲が彼主導で書かれたことを示している。本音源のなかでは最も現代的な音作りで、マイクのストラトキャスターのリフ、ナイジェルの間奏ベース・プレイなど聴きどころたくさん。残念なから終盤でフェイドアウトしてしまう。4.「Yarrow」はジャッキーが、「(トラディショナル曲によくある)殺人、暴力、悲しい結末の曲」と紹介している。彼女の声にディレイを効かせてリバーブなしにする等、録音に工夫がされていて、強い調子で歌う彼女の声が前面に出たサウンドになり、緊張感、説得力が増した出来上がりになった。5.「She Moved Throught The Fair」は、「アイリッシュ・ソングで、誰も歌詞の本当の意味を知らない」というバートの曲紹介がついている。6.「Taste Of Love」は、バートの生ギターとマイクのエレキギターの音の混ざり具合が気持ち良い演奏。曲後に司会者が「この曲は"Fox On The Run" とも呼ばれています」と言っている。一部の資料では「Avocet」と誤って記載されていた 7.「Kingfisher」は、マイクのバイオリン、ナイジェルのベースプレイ等が美しい好演であるが、曲の途中で女性による次回番組予告のアナウンスが被り、かつそのしばらく後にフェイドアウトするのが残念。
曲数が少ないこと、一部でフェイドアウトやアナウンスの被りがあるのは残念だけど、マイク・ピゴー、テリー・コックス在籍のペンタングルによる貴重なライブ演奏を高音質で楽しめる。
なお本音源は、2023年に発売された「Through The Ages」P22に1〜6が収録された。7.はアナウンスの被りやフェイドアウトがあるため、オミットされたようだね。
[2024年1月作成]
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Tivoli Gardens, Copenhagen (1987) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
1. Strollin' Down The Highway (Fade In)
2. Sally Free And Easy [Tawney]
3. Change The Song
4. Blues Run The Game [Jackson C. Frank]
5. Currah Of Kildare [Traditional]
6. If You're Thinkin' 'Bout Me [B. Jansch, P. Smith]
7. Let Me Sing
8. Candy Man [Traditional]
9. Poor Mouth
10. Daybreak
11. Fresh As A Sweet Sunday Morning
12. Come Back Baby [Walter Davis]
13. Rosemary Lane [Traditional]
14. Been On The Road So Long [A. Campbell]
15. One For Jo
16. Blackwaterside [Traditional]
17. Is It Real ?
18. Anji [Davey Graham]
19. One To Hundred
20. Bank Of Sicily [Hamish Henderson]
21. One Scotch, One Burbon, One Beer [R. Toombs]
録音: Tivoli Gardens, Copenhagen Denmark, probably at Summer, 1987
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1987年というとバートはアルコール依存症とそれに伴う体調不良が酷くなり、このままでは死ぬと言われて秋に入院して断酒と治療を行った時期にあたる。本音源はその前1987年夏に録音されたもので、作品的には「From
The Outside」1985 S20と「Leather Lauderette」1988 S22、ペンタングルでは「In The Round」1986
P15と「So Early In The Spring」1988 P16の間にあたる。ソロアルバムでは健康面での不調が作品に反映されている一方、ペンタングルでは他のメンバーによるサポートがあったのは明らか。
録音者のコメントによると、収録場所はコペンハーゲンにある遊園地チヴォリ・ガーデンのレストランで、時期はおそらく夏とのこと。同遊園地は夏に内外のアーティストのコンサートを開く事実があるため、夏の収録で間違いないだろう。本音源は当日演奏曲のほぼ全てと思われるが、テープ節約のため曲が終わる毎にカセット・レコーダーの録音を一時停止させたようで、曲間のアナウンス、曲によっては拍手もカットされている。音質は当時のオーディエンス録音としてはかなり良く、バートのギターのアコースティック・サウンドも綺麗に捉えられている。そしてバートのギター演奏やボーカルに不調の影はなく、高音のボーカルもきちんと出ている。ただし、曲間の喋りがないのでよくわからないが、ちょっと余裕というかゆとりがない感じもする。当時コンサートの際には彼に酒を飲ませないよう皆苦労したというエピソードがあるが、ここではおそらく酒を飲んでいなかったのではないかな?
ここで演奏曲と初出アルバムについて以下のとおり整理しておこう。
Bart Jansch 1965 S2: 1, 18
It Don't Bother Me 1965 S3: 14
Jack Orion 1966 S4: 16
Nicola 1967 S5: 12
Rosemary Lane 1971 S7: 13
Solomon's Seal (Pentangle) 1972 P7 2
L.A. Turnaround 1974 S9: 11, 15
Santa Barbara Honeymoon 1975 S11: 4
Poor Mouth 1976 S12: 5, 8, 9, 10, 19
Thirteen Down 1980 S16: 7
Heartbreak 1982 S18: 17
Just Guitars 1984 O19: 21
From The Outside 1985 S20: 3, 6
The Ornament Tree 1990 S24: 20
特記事項は以下のとおり。
・1.「Strollin' Down The Highway」はファースト・ヴァースの途中からフェイドイン。
・アルバム「From The Outside」1985 S20から2曲 3.「Change The Song」、6.「If You're Thinkin'
'Bout Me」 演っていて、私が知る限り、これ以外のライブ演奏音源がない貴重なもの。
・20.「Bank Of Sicily」は正式録音が本コンサートの3年後のアルバム「The Ornament Tree」S24で、ライブではレアな演奏
・21.「One Scotch, One Burbon, One Beer」はバートが1970年代〜1980年代にステージで演っていたレパートリーで、公式録音は1984年のオムニバス・ライブアルバムの「Just
Guitars」O19のみ。ここではアンコールでの演奏で、曲の終了後バートが終演の挨拶をしている。
バートが不調と言われていた時期の貴重なライブ音源で、21曲72分たっぶり楽しめる。
[2024年8月作成]
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BBC Nightride with Rod Clements (1988) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
Rod Clements : Vocal, Guitar, Slide Guitar
1. This Land Is Your Land [Woody Guthrie]
2. Strollin' Down The Highway
3. The Snows [Traditional]
4. Been On The Road So Long [Alex Campbell]
5. Poor Mouth
6. Sally Free And Easy [Tawney]
7. Knight's Move [Jansch, Clements]
放送: 1988年4月26日 BBC Radio "Nightride"
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1988年1月に録音されたバートとロッド・クレメンツ二人の名義によるアルバム「Leather Lauderette」S22が、同年3月に発売された後、二人は各地のライブハウスを巡るツアーを行ったが、その過程で録音されたスタジオライブ(オーディエンスなし)がBBCラジオの深夜放送で放送された。1.「This
Land Is Your Land」は、1987年のウッディ・ガスリーを特集したオムニバス盤「Woody Lives!」 1987 O24に収められていた曲で、ここでのバートのボーカル、ロッドのスライドギターはオリジナルよりも遥かに良い出来。またオリジナルではバートが一人で歌っていたのに対し、ここではコーラスパートはロッドがハモリを入れ、しかも後半のヴァースはロッドがリードボーカルをとっているのが面白い。2.
「Strollin' Down The Highway」は、イントロでアナウンサーによる曲の紹介がかぶっている。ロッドのブギー調のリズム、間奏部分のスライドギターがいかしているぞ。ペンタングルの
3.「The Snows」は、S22には入っていないステージ・レパートリーで、ここでのバートはアルコール依存症から立ち直ったためか、声・体調いずれもとても良いようだ。声がすっと通ってリスナーの心に響く感じで、バートのボーカルの魔術を十分味わうことができる。4.「Been
On The Road So Long」は、二人のギター演奏、バートのボーカルが繊細な美しさに溢れている。5.「Poor Mouth」も演奏中にアナウンサーの声がかぶる。6.「Sally
Free And Easy」におけるロッドのエレキギター伴奏は素晴らしく、バートのボーカルも最高。最後は、インストルメンタル 7.「Knight's
Move」が演奏され、フェイドアウトで終わる。
バートによる放送音源のなかでも、最高の出来だと思う。「Leather Lauderette」 1988 S22は、バートの体調が万全でない時期に録音されたものと思われ、他のアルバムに比べてボーカルが弱い(と言ってもアルバム自体は決して悪い出来ではない)感じがするんだけど、そのしばらく後に録音された本音源では、バートは別人のように冴えわたった魂の歌声を聞かせてくれる。またロッド・クレメンツが、スタジオよりもライブのほうで本来の持ち味を発揮している面も寄与していると思う。
数あるバートのパフォーマンスの中でも最高峰に位置づけられると思う。
[2022年11月]
2022年発売の「Bert Jansh At The BBC」に収録されました。
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Queen Elizabeth Hall, London [Pentangle] (1988) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
Jacqui McShee : Vocal, Back Vocal (10,17)
Rod Clements : Vocal, Guitar, Slide Guitar
Nigel Portman Smith : Bass (1〜6,9〜20), Piano(7,8)
Gerry Conway : Drums
1. She Moved Through The Fair
2. A Bold Young Farmer
3. Is It Real
4. Lassie Gathering Nuts
5. Taste Of Love
収録: 1988年9月17日 Queen Elizabeth Hall, London
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この記事は1989年の「Flensburg, Germany」の後に書きました。
1988年のロンドンでのコンサートの音源で、ロッド・クレメンツがギターを弾くペンタングル音源 2件のうち最初のもの。FM放送のエアーチェックというが、モノラルで残響音が大きく、オーディエンス録音のように聞こえる。少し粗い感じはあるが音の厚みは十分あるので、鑑賞には問題ないレベル。バートのギターははっきり聞こえ、ナイジェルのベースは少しオフ気味。音質・演奏ともフレンスブルグのほうがずっと良いと思うが、曲目が一部異なるので十分な価値がある。
フレンスブルグと重複していない曲について。2.「A Bold Young Farmer」はジャッキーの無伴奏歌唱。コンサートで歌っていた曲で、ジョン・レンボーングループの「Live
In America」 1982が正式録音。4.「Lassie Gathering Nuts」は、当時の最新盤 「So Early In The
Spring」1988 P16、5.「Taste Of Love」は1985年の「Open The Door」P14からだ。これらの曲はフレンスブルグの演奏と比べてロック度が少ないけど、5をロッド・クレメンツのリードギターで聴けることはうれしいね。それでも 1.「She
Moved Through The Fair」や3.「Is It Real」などの重複する曲を聴いても大人しい感じがするのは、8ヵ月の間にバンドのサウンドが進化したんじゃないかな?
後期ペンタングルの中でも。ロッド・クレメンツの個性が入ることで、他と異なるサウンドが楽しめる音源。
[2023年11月作成]
[2024年1月追記]
2022年に発売されたボックスセット「Through The Ages」P22に、2, 4, 5が収録されました。
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Flensburg, Germany [Pentangle] (1989) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
Jacqui McShee : Vocal, Back Vocal (10,17)
Rod Clements : Vocal, Guitar, Slide Guitar
Nigel Portman Smith : Bass (1〜6,9〜20), Piano(7,8)
Gerry Conway : Drums
1. I've Got A Feeling (Fade In)
2. Dragonfly
3. She Moved Through The Fair
4. Lucky Black Cat
5. Is It Real ?
6. Reynardine
7. So Early In The Spring
収録: 1989年5月8日 Galerie Restaurant, Flensburg, Germany
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ロッド・クレメンツがペンタングルのメンバーだった期間は他のギタリストに比べて短く、アルバムも1988年の「So Early In The Spring」P16しかない。そのためか、彼が参加したコンサート音源は少なく、私が知る限り2件しかない。本音源はそのひとつで、デンマークとの国境にあるドイツ最北の街フレンスブルグで行われたコンサートの一部を放送したFMラジオのエアーチェックだ。資料によると会場名として「Galerie,
Holm 66」とあり、前半がギャラリーというレストランの名前、後半がその住所のことらしい。オーディエンスの拍手から推測するに、あまり大きな場所ではなさそうだ。36分というコンサートから抜粋した音源であるが、サウンドボード録音による良質なステレオ・サウンドが楽しめる。
DJによるドイツ語の紹介の後、初期ペンタングルの作品 1.「I've Got A Feeling」がジャッキーの歌いだしからフェイドインする。ロッドのギターの歌伴、ギターソロに個性があり聴いていて面白い。しかもナイジェルのフレットレス・ベース、ジェリーのドラムスのソロも入るという、ジャズ・フィーリングたっぷりのプレイだ。アルバム「In
The Round」1985 P14 からの 2. 「Dragonfly」は変拍子の曲で、ここではナイジェルがピアノを弾き、ベースはロッドが担当しているようだ。
ジャッキーの歌にハーモニー・ボーカルが被り、高い声なので女の人かと思ったが、よく聞くと男性の裏声のようで、これはロッドかな?ナイジェルが意外なほどピアノを弾きまくっている。3.「She
Moved Through The Fair」ではロッドのスライドギターが曲の背景(ウォール)を作っていて、「In The Round」1985
P14 のスタジオ録音版とは異なった雰囲気になっている。ここまで聴いて感じるのは、バートのギターがあまり目立たず、バンドサウンドの骨組み作りに徹していることだ。
4.「Lucky Black Cat」は本音源で初めてバートのボーカルが聴ける曲。ロッドのスライド・ギターとナイジェルのフレットレス・ベースによるうねりのあるサウンドが誠にカッコイイ。5.「Is
It Real ?」はペンタングルでの公式録音がない曲で、ロッドとナイジェルがこの曲を演奏しているのを聴けるだけで満足。ロッドのプレイは、アルバート・リーがギターのスタジオ録音版と比べて、かなりアーシーだね。ほんの僅かだけど、ジャッキーがハーモニーを付ける所があるのも面白い。6.
「Reynardine」は、スタジオ録音 「So Early In The Spring」P16よりもジェリーのドラムスがリズミカルかつパワフルで、ロッドのギターもロックしていて、とてもスリリングな演奏だ。そしてその熱気は
7.「So Early In The Spring」に引き継がれ、ロックなリズムセクションの演奏に乗ってジャッキーがトラッドの歌詞を漂うように、かつ力強く歌う。間奏ギターソロはロックそのものので、大いに盛り上がる。ジャッキーのボーカルに戻るときのニュアンスの切り替えも鮮やかだ。そしてエンディングで演奏は最高潮になる。最後にDJのドイツ語のアナウンスが入り音源は終わる。
本当にロックなペンタングルで、バートがこのサウンドを好んだか否かはわからない。何故ならここでの演奏には、リーダーとしてのバートのエゴは感じられず、ロッド、ナイジェル、ジェリーに委ねているような感があるからで、当時アルコール依存症による心身の不調からの回復途上だったという背景があると思われる。とはいえ、私的には大好きな「ロックなペンタングル」だ!
録音良し、演奏良しの逸品。
[2023年11月作成]
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Festival d'Ete de Quebec (1990) 映像 |
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John Renbourn : Vocal (2,3,5,7), Back Vocal (20), Guitar (1〜7,20)
Bert Jansch : Vocal (8,10,12,13,17,18,19) , Back Vocal (20), Guitar (8〜20)
Jacqui McShee : Vocal (8,9,6,7,12,14,16,18,19,20), Back Vocal (10,17)
Peter Kirtley : Electric Guitar (1〜6,9〜20), Bass (7,8)
Gerry Conway : Drums (8〜20)
Nigel Portman Smith : Bass (1〜6,9〜20), Piano(7,8)
[John Renbourn]
1. Sweet Potato [Booker T.Jones]
2. Great Dreams From Heaven [J. Spence]
3. Lord Franklin [Traditional]
4. Little Niles [Randy Weston] (Cut)
5. Lindsey [Archie Fisher]
6. Cherry [Dollar Brand]
7. Kocomo Blues [Trad.]
[Pentangle]
8. Bramble Briar [Traditional] (Fade In)
9. Taste Of Love [Pantangle]
10. Sally Free And Easy [Cyril Tawney]
11. Eminstra [Pantangle]
12. Mother Earth [M. Nascimento]
13. Lucky Black Cat [Pantangle]
14. Lassie Gathering Nuts [Traditional]
15. Gaea [Pantangle]
16. So Early In The Spring [Traditional.]
17. Is It Real [Jansch]
18. Yallow [Traditional]
19. Reynardine [Traditional]
20. Cruel Sister [Traditional]
収録: 1990年7月10日 Paec de la Francophonie, Quebec, Canada
注: 1〜7 はバート非参加
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「Festival d'Ete de Quebec」は英語で「Quebec City Summer Festival」という意味で、1968年から現在まで毎年7月第1週目に開催されており、本映像はジョン・レンボーンとペンタングルが1990年に出演した際のもの。当フェスティバルは主に三か所の会場で行われるが、冒頭の映像から市内の公園「Paec de la Francophonie」で行われたものであることがわかる。ケベックはカナダの北東に位置する美しい街で、人々はフランス語を話し、ヨーヨッパ的な匂いがする街だ。特に街の真ん中の高台に立つ城
「シャトー・フロンテナック」は、現在はホテルとして多くの人々を魅了している。少し離れた所から撮影したオーディエンス・ショットで、クローズアップの画像はないが、スタンド備え付けなので手振れはない。固定画面ではバンド全員が入らないので、ギターソロの際などはカメラを横に動かして調整している。画質はピンボケであるがライティングの様々な色は綺麗。音質も悪く、バートのアコースティック・ギターの繊細な響きはなく、バンドサウンドの中に溶け込んでいる。しかしナイジェル・ポートマン・スミスのベースがはっきり聞こえるので、バンドサウンドとして十分楽しむことができ、ピート・カートレイのエレキギター、ジェリー・コンウェイのドラムスなど荒っぽいながらも迫力のある音だ。
最初はジョン・レンボーンのソロのステージだ。屋外ステージで風が強くギター・マイクが使えないとのことで、ピックアップによるエレアコっぽいサウンドは、残念ながらアコギの音の良さは微塵も感じられない。最初の曲
1.「Sweet Potato」から飛ばしているが、テンポが速く、早弾きのテクニックをひけらかし過ぎている感じ。レンボーンのこの手の演奏は個人的には好きではない。2.「Great
Dreams From Heaven」は飄々と歌っているが、ここでもテンポは早め。3.「Lord Franklin」になると、少し落ち着いてきたかな?
4.「Little Niles」は、流石に巧みなフレーズで聴かせるが、私が観た映像ではエンディングで切れてしまい残念.......。5.「Lindsey」もテンポが速い。6.「Cherry」は乗り乗りの演奏で、弾きながら唸りに近いようなハミングを合わせているのが面白い。猛烈なテンポの7.「Kocomo」のドライブ感は圧倒的で、気分が高揚したジョンは「Sweet
Home Kokomo」という歌詞を 「Sweet Home Chicago」と原曲のロバート・ジョンソンの歌詞で歌う場面がある。
8.「Bramble Briar」は初期ペンタングルの「Bruton Town」と同じ曲であるが、ここではベースとドラムスがよりリズミカル。映像は演奏の途中から始まる。バートとピーター、ジャッキーは椅子に腰掛けて演奏し、ナイジェルはその後ろに立ってエレキベースを弾いている。ドラム奏者の顔は隠れてよく見えないが、ゲリー・コンウェイ。リズムセクションとエレキギターの音が強調されたソリッドな音作りだ。「Open
The Door」 1985 P14 からの9.「Taste Of Love」は、ピーターの弾くテレキャスター系のリードギター・ソロの音が歌心豊かで心地良い。バートのアルペジオとのコンビネーションも良い感じ。10.「Sally
Free And Easy」は、初期とは異なるロックっぽいアレンジ、ソリッドなリズム感が新鮮。子供のぐずり声が聞こえるのは、オーディエンス録音ならでは。1989年の「So
Early In The Spring」P16からの選曲が多く、インストルメンタル 11.「Eminstra」もそのなかのひとつ。ブラジルの国民的アーティスト、ミルトン・ナシメントスの12.「Mother
Earth」は、ソロでの演奏に比べてはるかに厚みがあるプレイで、奔放なリードギター・ソロが魅力的。ブルース曲 13.「Lucky Black
Cat」は、比較的クールな演奏。14.「Lassie Gathering Nuts」と15.「Gaea」では、ナイジェルがピアノ(エレクトリック・グランドピアノ)に座り、ベースギターはピーターが代わりに弾いている。ペンタングルでキーボードというのは斬新で、特に変拍子の後者では、ピアノが前面に出て、ここそとばかりに弾くまっている。
16.「So Early In The Spring」におけるリズムセクションの16ビートの演奏は、フュージョン・バンドのよう。ジャッキーの声はきれいだけでなく、バンドに負けない力強さを持っていることを改めて確認できるパフォーマンスだ。
17.「Is It Real」の公式録音はバートのソロのみなので、ペンタングルとしての演奏は珍しい。ジャッキーはコーラス部分の「Real」という部分だけハーモニーを入れている。
このあたりになると、バンドは十分に熱くなってきたようで、18.「Yallow」での怒りをこめた演奏は、ハードでロックグループそのもの。特にジェリー・コンウェイのパワフルなドラミングが凄い。19.「Reynardine」はさらに熱狂的な演奏で、ペンタングルのクールなイメージとは全く別の世界が広がる。ピーターのリードギターはアグレッシブで、切れ味鋭いプレイ。リズムセクションのグルーブも聴き応え十分だ。アンコールで、ジョンが一緒に登場して演奏される
7. 「Cruel Sister」は、新旧ペンタングルの共演! ジャッキーのボーカルにジョンが「ファラララ」とコーラスを付けるシーンは、ファンとして感動的。バートも後半でコーラスに加わる。
遠くからのショットで画質も良くないので、メンバーの表情など分からないが、様々な色のライティングが綺麗、かつ迫力あるサウンドでコンサートの臨場感は味わえる。90年代の後期ペンタングルの演奏、ジョンとバートの共演を観ることができる貴重なソースだ。この映像を観ると、ペンタングル後期のライブCD「Live
1994」P19の演奏風景のイメージが沸いて、改めてCDを聴くと、とてもいい気持ちになる。
[2014年2月追記]
本映像の全編を観ることができ、また資料より収録場所および年の特定ができましたので、書き直しました。
[2023年2月追記]
日の特定ができたので追記しました。
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Open Air Festival, Gandino [John Renbourn & Danny Thompson] (1990) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal (1〜8, 19〜22) Guitar (1〜8, 18〜22)
John Renbourn : Vocal (10,11,12,14,15), Guitar (8〜22)
Danny Thompson : Bass (5,6,7,18,19,21,22)
[Bert Jansch & Danny Thompson]
1. Bonny Portmore [Traditional]
2. Dobbins Flowery Vale [Traditional]
3. Daybreak
4. Pretty Saro [Traditional]
5. Woman Like You
6. One For Jo
7. Blackwaterside [Traditional]
8. One Scotch, One Bourbon, One Beer [R. Toombs]
[John Renbourn]
9. Sweet Potato [Booker T. Jones]
10. Great Dreams From Heaven [Joseph Spence]
11. Watch The Stars [Traditional]
12. Lord Franklin [Traditional]
13. Little Niles [Randy Weston]
14. Lindsey [Archie Fisher]
15. Sandwood Down To Kyle [Dave Goulder]
16. Bunyan's Hymn/ I Saw Three Ships/ The English Dance [Traditional]
17. Cherry [Dollar Bland]
[Bert Jansch, John Renbourn & Danny Thompson]
18. If I Had A Lover (Instrumental)
19. The Time Has Come [Anne Briggs]
20. Soho
21. Sally Free And Easy [Cyril Tawney]
22. I Got A Feeling [Pantangle]
収録: 1990年8月5日 Open Air Festival, Gandino, Bergamo, Italy
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1990年はバートとジョンが一緒にコンサートをやった年だった。二人によるライブ音源がいくつか残されている。そのなかで本音源はダニー・トンプソンも加わっているということで、珍しく価値のあるものだ。
ガンディーのはイタリア北部ロンバルディア州ベルガモ県にある、スイスとの国境に近い人口約5,200人の基礎自治体(コムーネ)で、そこで1990年8月に開催されたオープン・エアー・フェスティバルに出演した際の音源。サウンドボード録音と思われ音質は良い。資料の曲名には
3.を「David」、5.を「Let Me Sing」、20.を「Servant」など多くの間違いがあり、上記が正しいもの。なお当該フェスティバルはインターネットに記録が残っていないので、現在はやっていないものと思われる。
ステージはまずバートのソロから。1990年ということで、1993年に発売されるアルバム「Ornament Tree」S24から2曲(1, 2)演っている。そして5.「Woman
Like You」からダニーのベースが加わる。8.「One Scotch, One Bourbon, One Beer」はバート一人での演奏。次にイタリア語の紹介でジョンが登場。ファンの声援に応えて「Beautiful
Gandino」と言っている。演奏曲は彼のステージでお馴染みの曲だ。
18.からダニーが加わって3人による演奏となる。18.「If I Had A Lover」はバートのアルバム「Thirteen Down」1980 S16でジャッキーが歌っていたが、ここではジョンのギターがメロディを奏でソロをとるインストルメンタルになっている。19からはペンタングル時代の懐かしい曲。ジャッキーが歌っていた19.「The Time Has Come」や22. 「I Got A Feeling」をバートが歌うのは珍しい。
テリーとジャッキーはいないけど、3人による演奏はペンタングルの香りがプンプンする。
[2024年9月作成]
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Raoul's, Portland Maine [Pentangle] (1991) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal, Back Vocal, Guitar
Jacqui McShee : Vocal, Back Vocal
Peter Kirtley : Guitar, Bass (7,8,13,14)
Gerry Conway : Drums
Nigel Portman Smith : Bass, Piano (7,8,13,14)
[1st Set]
1. Bruton Town (aka Bramble Briar) [Traditional]
2. Taste Of Love [Pantangle]
3. The Snows [Traditional]
4. Sally Free And Easy [Cyril Tawney]
5. Kingfisher [Jansch]
6. When I Was In My Prime [Traditional]
7. Lassie Gathering Nuts [Traditional]
8. Gaea [Pantangle]
9. So Early In The Spring [Traditional.]
10. People On The Highway [Pentangle]
[2nd Set]
11. Sweet Mother Earth [M. Nascimento]
12. Lucky Black Cat [Pentangle]
13. Child Of The Winter [Pentangle]
14. Dragonfly [Pentangle]
15. She Moved Through The Fair [Traditional]
16. The Ornament Tree (Bonny Portmore) [Traditional]
17. Eminstra [Pantangle]
18. Yallow [Traditional]
19. Is It Real (Fade Out) [Jansch]
20. Reynardine (Fade In) [Traditional]
[Encore]
21. Cruel Sister [Traditional]
収録: 1991年6月7日 Raoul's, Portland Maine
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ラオウルズは米国メイン州ポートランドにあったライブハウスで、1984年オープン、1991年クローズ。ここでは1時間50分にわたる後期ペンタングルのフルセット(おそらくノーカット)を良質のサウンドボードで聴くことができる。モノラルではあるが、音に十分な厚みがあるので聴いていて気にならない。また曲間のバートやジャッキーのアナウンスも入っているので、当時のコンサートの模様を想像することができる。
収録曲の初出公式録音は以下のとおり。
The Pentangle 1968 P2 : 1
Cruel Sister 1970 P5 : 6, 21
Salomon's Seal 1972 P7 : 3, 4, 10
Moonshine 1973 S8 : 18
Avocet 1979 S15 : 5
Thirteen Down 1980 S16 : 11
Heartbreak 1982 S18 : 19
Open The Door 1985 P14 : 2, 13, 14
In The Round 1986 P15 : 15
So Early In The Spring 1989 P16 : 1, 7, 8, 9, 12, 17, 20,
The Ornament Tree 1990 S24 : 16
以上のとおり、直近アルバム「So Early In The Spring」1989 P16からの選曲が多くなっているのは当然として、1991年発表の「Think
Of Tomorrow」から1曲もないのは、本コンサートの時点ではニューアルバムのための曲の準備ができていなかったということかな。「From
London, Pentangle」という司会者の紹介の後、1.「Bruton Town」が始まる。バートのギターの音がエレアコっぽいのが気になるが、この頃のライブの傾向なのでしょうがないね。間奏におけるピート・カートレイの個性たっぷりのギターソロが聴きもの。この曲は当時「Bramble
Briar」とクレジットされることが多かったが、曲後のジャッキーのコメントでは「Bruton Town」と言っているので、曲名もそれにならった。本コンサートでは、
2.「Taste Of Love」のように後期ペンタングルの初めの頃のアルバムからの曲を多く演っていて、オリジナルでのマイク・ピゴーのギターやバイオリンと、ここでのピーターのプレイの違いを楽しむことができる。
3.「The Snows」、4.「Sally Free And Easy」は初期ペンタングルから。前者はオリジナルではバートが歌っていたが、ここではジャッキーがボーカルを担当している。ナイジェル・ポートマン・スミスのフレットレス・ベースの味付けが効果的で、ピーターはアコースティック・ギターでリードをとっている。後者ではドラムスとベースのグルーヴによりリズミカルになり、ピーターのギターソロもファンキーなプレイとなった。5.「Kingfisher」も同様の乗りで、エンディングではナイジェルのベースが短いソロを入れている。6.「When
I Was In My Prime」は懐かしいジャッキーによるアカペラ。 7.「Lassie Gathering Nuts」、8.「Gaea」、9.「So
Early In The Spring」は、「So Early In The Spring」1989 P16からで、ロッド・クレメンツとピーター・カートレイとのギターの違いを味わえる。7.8.ではナイジェルがエレクトリック・ピアノを弾いていて、ここで聞こえるベースの音は、ピーターが弾いているもの。特に8.はジャズワルツで、ペンタングルとしてはかなりモダンなサウンド。極めつけは9.「So
Early In The Spring」で、トラディショナルのフュージョン風アレンジは、ライブでこそ威力を発揮するものだ。テンポ早めの10.
「People On The Highway」もリズムが跳ねていて、ギターソロがかっこいい。
セカンド・セット最初の11.「Sweet Mother Earth」は、1980年のバートのアルバムがオリジナルで、ペンタングルの録音は1985年の「Open
The Door」P14だ。13.「Child Of The Winter」、14.「Dragonfly」は、ナイジェルのピアノをフィーチャーしたオリジナルと異なるアレンジが面白い。16.「The
Ornament Tree」はバートとピートの二人による演奏。18.「Yallow」はバートのソロ「Moonshine」1973 S8が最初で、ジャッキーのボーカルによるペンタングルの録音は「Open
The Door」1985 P14に入っている。19.「Is It Real」はペンタングルでの正式録音はない曲で、「Is it real ?」という歌詞にジャッキーのハーモニーが付く。しかし残念ながら、ファースト・ヴァースとコーラスが終わったところで、フェイド・アウトしてしまう。そして次の曲20.「Reynardine」
は途中から始まる。おそらく19.の途中で録音テープを使い切ってしまい、テープ交換をしたためと推測される。コンサート終盤のいい所だっただけに残念だね。アンコールの21.「Cruel
Sister」の「ファラララ.....」という囃子言葉は、オリジナルでは主にジョン・レンボーンがハーモニーを付けていたが、ここではバートがやっているのが聴きどころ。
バートのギターはあまり出張らず、バンドの中の一員として機能しているため、彼のギタープレイを期待する人には物足りないかもしれないが、ピーターの個性的なリードギター、そして躍動的なリズムセクションによるバンドサウンドをたっぷり楽しむにはピッタリの音源。
なお本音源のうち、3.「The Snows」と13.「Child Of The Winter」の2曲については、2022年に発売されたボックスセット「Through
The Ages」P22 のCD3にボーナストラックとして収録された。
[2024年1月作成]
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Bottom Line, New York, NY [Pentangle] (1991) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal, Back Vocal, Guitar
Jacqui McShee : Vocal, Back Vocal
Peter Kirtley : Guitar, Bass (7,8), Vocal (5)
Gerry Conway : Drums
Nigel Portman Smith : Bass, Piano (7,8)
1. Bruton Town (aka Bramble Briar) [Traditional]
2. Sally Free And Easy [Cyril Tawney]
3. Kingfisher [Jansch]
4. Sweet Mother Earth [M. Nascimento]
5. Meet On The Bone [Pentangle]
6. O'er The Lonely Mountain [Pentangle]
7. Lassie Gathering Nuts [Traditional]
8. Gaea [Pantangle]
9. The Baron Of Brackley [Traditional]
10. So Early In The Spring [Traditional.]
11. Cruel Sister [Traditional]
12. I've Got A Feeling [Pentangle]
収録: 1991年8月4日 Bottom Line, New York, NY
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ボトムラインは、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジに1974年から2004年まであった名門ライブハウス。本音源はラオウルズの約2ヵ月後に収録されたもので、同じくサウンドボード録音でモノラルだが、ラオウルズよりも音質は良く、各楽器の音もクリアー。特にピーターのギターが素晴らしい音で捉えれれている。全12曲
(バートとジャッキーのアナウンス入り)で、コンサートの一部のみ (曲目と流れからファースト・セットとアンコールと推測される)ではあるが、ラオウルズで演っていない曲があり、そういう意味からも価値のあるものだ。
ラオウルズと重複する曲については、演奏に大差ない(ピートのリードギターの違いを楽しむ点はあるけど)ので省略する。この時期にはニューアルバム「Think
Of Tomorrw」(1991年10月発売 P17)に収める新曲の準備が進んでいたようで、ここでは 5.「Meet On The Bone」と
6.「O'er The Lonely Mountain」の2曲が披露されている。ピーターが歌う前者.は、アルバムではグループの共作とクレジットされているが、ここではジャッキーが「ピーターが書いた」と紹介している。9.「The
Baron Of Brackley」は、「So Early In The Spring」1989 P16から。最後の曲 12.「I've Got
A Feeling」はジャジーな演奏で、ソロはバート → ピーター → ナイジェル → ジェリーの順で回される。ジャッキーの低音ヴォイスの魅力が詰まった歌唱も素晴らしい。
何となくの印象であるが、1ヵ月前のラオウルズの演奏と比較すると、こちらのほうがバンドの調子が良いような気がする。
なお本音源のうち、6.「O'er The Lonely Mountain」、7.「Lassie Gathering Nuts」、8.「Gaea」、10.「So
Early In The Spring」 の4曲については、2022年に発売されたボックスセット「Through The Ages」P22 のCD4にボーナストラックとして収録された。
[2024年1月作成]
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Lone Star Roadhouse With John Renbourn & Jacqui McShee (1992) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal
1. Bruton Town [Traditional]
2. The Time Has Come [Ann Briggs]
3. Sally Free And Easy [Cyril Tawney]
4. First Light (Instrumental) [Unknown]
5. Baron Of Brackley [Traditional]
6. When I Was In My Prime [Traditional]
7. Chasing Love [Bert Jansch]
8. If I Had A Lover [Traditional?]
9. Come Back Baby [W. Davis]
10. Sovay [Traditional]
注) 6 はバート非参加
収録: Lone Star Roadhouse, 1992年4月14日
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1976年、ニューヨーク 5番街と13丁目のコーナーにオープンしたローンスター・カフェは、テキサスを中心とするカントリー・ロックの大物アーティストが多く出演、またジェイムス・ブラウンがライブアルバムを録音し、ブルース・ブラザースがデビューした場所として歴史に名前を残すことになった。1989年、この場所がクローズされた時に、同じ経営者が52丁目ウエストにオープンしたのがローンスター・ロードハウスだった。しかし経営が上手くいかなかったようで、この場所も1992年頃クローズされたという。本音源は、1992年にバート・ヤンシュとジョン・レンボーン、ジャッキー・マクシーの3人が、この場所で行ったコンサートの一部(Early
Set)である。
1990年のデロール・アダムス65歳誕生記念コンサート(O27参照)でペンタングルのリユニオンが実現した後、バートがロンドン・フォークシーンを振り返るプロジェクト「Acoustic
Routes」1993 S25製作のため、ジョン・レンボーンと再会してセッションを行ったが、昔のような創造性を取り戻すまでには至らず、結局公式録音は残されなかった。その代わり、当時一緒に演奏活動を行う機会があったようで、本コンサートはそのひとつと思われる。その頃ジャッキーとバートは、(後期)ペンタングルとして一緒に活動しており、この二人にジョンがリードギタリストとして加わった編成となっている。したがって、本音源にはジョンが歌ったり、メインで演奏する曲はない。
1.「Bruton Town」は、ペンタングルのデビューアルバム 1968 P2から。この曲をこのメンバーで聴くと懐かしくて、昔の若い頃を思い出しますね。ここではベースとドラムスがない分、ジョンのリードギターが頑張ってる。バートとジャッキーのハモリも息がぴったり合っていて良い。2.「The
Time Has Come」でのジョンのリードギターは、「Sweet Child」 1968 P3での演奏に比べると、遥かに自由な境地で演奏しているように思え、その間のアーティストの成長を感じさせるプレイだ。ジャッキーのボーカルも伸びがあっていいね!3.「Sally
Free And Easy」は、ペンタングルの最後のアルバム「Solomon's Seal」 1972 P7 からで、モダンな香りがする佳曲。バートのリードボーカルにジャッキーがハミングで寄り添う部分はゾクッとするスリルがある。4.「First
Light」は、前述の「Acoustic Routes」 S25のために撮影され、映画には収められたが、アルバムには収録されなかった未発表曲。作者は不明であるが、しっかり作り込まれた感じはなく、一定のリフをベースとしたジャムセッションによる産物と思われる。出来はまあまあかな〜?
ともかく、この1曲だけでファンにとっては、お宝音源になる価値はある。
5.「Baron Of Brackley」は、後期ペンタングルが「So Ealy In The Spring」1988 P16で取り上げていたスコットランドのトラディショナル。これをジョンのリードギターで演奏しているバージョンで聴くことができるのは有難い。6.「When
I Was In My Prime」は、「Cruel Sister」1970 P5 と同じジャッキーによる無伴奏の独唱だ。7.「Chasing
Love」は、「Acoustic Routes」1993 S25にバートとジャッキーの二人による演奏が収録されていたが、ここではジョンのリードギターが加わるため、とても面白いバージョンになった。バートのアルバム「Thierteen
Down」 1979 S16で、ジャッキーがゲストで歌っていた 8.「If I Had A Lover」も同様。 9.「Come Back Baby」は、バートのソロ「Birthday
Blues」1969 S6が初出であるが、彼が若い頃から歌っていた古いレパートリー。ジョンお得意のブルース調のリードギターが入ることに加えて、ジャッキーがセカンド・ヴァースを歌いだしたのにビックリ!そしてサード・バースは二人のハモリを聴くことができる。「Sweet
Child」1968 P3の10.「Sovay」も懐かしい曲で、バートとジャッキーが掛け合いで歌う様がカッコイイ。
1990年代初め、彼らが一緒に活動した短い期間の音源として、大変貴重な記録となった。
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Rotterdam Bar, Belfast With Peter Kirtley (1992) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal (Except 5,10,11), Acoustic Guitar
Peter Kirtley : Acoustic Guitar (Exceept 18), Vocal (5), Harmony Vocal
(16)
1. Trouble In My Mind [Richard M. Jones] (Fade In)
2. Sally Free And Easy [Cyril Tawney]
3. The Lilly Of The West [Traditional]
4. Curragh Of Kildare [Traditional]
5. Meat On The Bone [Pentangle]
6. O'er The Lonely Mountain [Pentangle]
7. Running From Home
8. Come Back Baby [Snooks Eblin]
9. Pretty Saro [Traditional]
10. Kingfisher
11. Afterwards [Peter Kirtley]
12. The Ornament Tree (Bonny Portmore) [Traditional]
13. Strolling Down The Highway
14. Heartbreak Hotel [Axton, Durden, Presley]
15. Scarborough Fair [Traditional]
16. The Parting
[Uncore]
17. Let Me Sing
18. One For Joe (Fade Out)
収録: 1992年11月16日 Rotterdam Bar, Belfast, North Irelend
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北アイルランド・ベルファストにあったロッテルダム・バーはライブハウスとして有名な所だったが、2010年代頃から再開発の波にのまれてその後クローズしたらしい。本音源はそんな由緒ある場所でのピーター・カートリーとの二人ライブ。音の良いサウンドボード録音で、最初と最後のフェイドイン・フェイドアウトと、9.「Pretty
Saro」の前にテープ交換のためのカットが入ってイントロの途中から始まるが、それ以外はバートのアナウンスも入った(恐らく)ノーカットでのコンサートを楽しむことができる。ピーターとの二人だけの音源・映像はいくつかあるが、みな短いもので、本音源のようなフルセットは私が知る限りこれだけだ。そういう意味で貴重といえる。
ピーターはほとんどの曲でリードギターを弾いていて、その全てで素晴らしいプレイに終始している。その少しひねりが効いた繊細な音色は聴きごたえ十分で、ペンタングルの一員として、またはバートとジャッキーとの3人の時よりも自由な感じで伸び伸びと弾いているようで、バートもその分歌に集中できているようだ。ピーターはエレキギターを使っているように聞こえるが、同じベルファストで同時期に撮影された「Anderson
On The Box」の動画ではヤマハ製のエレアコを弾いているので、ここでも同じ楽器で演奏しているものと思われる。
1,4,8,9,13,14はピーターがギターを弾く公式録音がないため、彼がこれらの曲を如何に料理したかを味わえる面白さがある。なお本音源には資料の曲目にはなかった曲
8.「Come Back Baby」、13.「Strolling Down The Highway」が入っている。 5.「Meat On The
Bone」はペンタングルの「Think Of Tomorrow」1991 P17に入っていた曲で彼のボーカルを聞くことができる。ペンタングル作曲とクレジットされているが、曲調からしてピーター主導であることは明らかだ。6.「O'er
The Lonely Mountain」は、ペンタングルではジャッキーが歌っていたが、ここではバートのボーカルを楽しむことができるレアトラック。10.「Kingfisher」、11.「Afterwards」のインスト曲はピーターのギターの持ち味がフルに発揮されていてスタジオ録音を上回る最高の出来。14.「Heartbreak
Hotel」は、スタジオ録音「Heartbreak」1981 S18や「Acoustic Routes」1993 S25でのアルバート・リーのギタープレイとの聴き比べがお勧め。16.「The
Parting」は、コーラス部分でピーターのハーモニー・ボーカルが入る。 アンコールでの最後の曲18. 「One For Joe」のみバート一人で演っているようだ。
良質のサウンドボード録音による演奏・歌唱ともに上出来のライブ。
[2024年8月作成
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Anderson On The Box With Peter Kirtley (1992) 映像 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
Peter Kirtley : Acoustic Guitar
1. Heartbreak Hotel [Axton, Durden, Presley]
収録: 1992年11月 "Anderson In The Box" BBC North Irelend, Belfast
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バートが北アイルランドのBBCテレビ番組「Anderson In The Box」に出演した際の映像。出演者は全てエルヴィスの曲を演るべしという番組の企画だったようで、バートは1982年の「Heartbreak」S18に収録した1.
「Heartbreak Hotel」を歌った。1990年台にこの曲を演奏する事はあまりなかったはずで、当時の相棒ピート・カートレイのリード・ギターとのコラボレイションを楽しむことができる。
[2022年11月]
2022年発売の「Bert Jansh At The BBC」に音源として収録されました。
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The Half Moon, Putney, London [Pentangle] (1993) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal, Back Vocal, Guitar
Jacqui McShee : Vocal, Back Vocal
Peter Kirtley : Guitar, Bass (7), Vocal (9,11)
Gerry Conway : Drums
Nigel Portman Smith : Bass, Piano (7)
[1st Set]
1. Bruton Town (aka Bramble Briar) [Traditional]
2. Sally Free And Easy [Cyril Tawney]
3. Kingfisher [Jansch]
4. Bruton Town (aka Bramble Briar) [Traditional]
5. Traveling Solo [Pentangle]
6. Sovay [Traditional]
7. Willy O' Winsbury [Traditional]
8. Lucky Black Cat [Pentangle]
[2nd Set]
9. Meat On The Bone [Pentangle]
10. Oxford City [Traditional]
11. Endless Sky [Pentangle]
12. Yallow [Traditional]
13. Reynardine [Traditional]
14. Cruel Sister [Traditional]
15. I've Got A Feeling [Pantangle]
収録: 1993年5月17日 The Half Moon. Putney, London
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1993年5月に発売されたアルバム「One More Road」のプロモーショナル・コンサートの音源。ハーフ・ムーンはロンドン近郊のプットニーにあるパブ、ライブハウスで、1963年の創業以来、フォークやブルースのアーティストの他、ザ・ローリング・ストーンズやザ・フー、ヤードバーズなどのロック・グループも出演した場所だ。
良質のオーディエンス録音で、特にピーター・カートレイのギターの音がきれいに響いている。彼がメンバーだった1991年のコンサート音源と重複しない曲について簡単に説明する。5.「Traveling
Solo」、7.「Willy O' Winsbury」、10.「Oxford City」、11. 「Endless Sky」 は、ニューアルバムからの選曲。5.「Traveling
Solo」はピーターのアコースティックギター・ソロの切れ味が鋭い。 7.「Willy O' Winsbury」は、初期ペンタングルのアルバム「Salomon's
Seal」1972 P7の再演で、ここではナイジェルのピアノ中心の伴奏により新しいサウンドに生まれ変わっている。10.「Oxford City」はジェリーのドラムスのビートが効いたトラディショナル。11.
「Endless Sky」は9と同じくピーターがボーカルを担当し、彼主導の作品らしい現代的な雰囲気の曲だ。12.「Yallow」の後にジャッキーによるメンバー紹介が入る。13.「Reynardine」の間奏におけるピーターのソロは完全にロック。
1985年から10年間活動した後期ペンタングル(ジョン・レンボーンのいないペンタングル)後半期の音源。
なお本音源のうち、11. 「Endless Sky」 について、2022年に発売されたボックスセット「Through The Ages」P22
のCD4にボーナストラックとして収録された。
[2024年2月作成]
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The Hub, Bath, UK [With Janie Romer] (1994) 映像 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
Janie Romer : Vocal (1,2,3)
1. Limbo [Janie Romer]
2. No One Around [Janie Romer]
3. Fresh As A Sunday Morning
4. Open Road
5. Morning Brings Peace Of Mind
6. Living In The Shadows
収録: 1994年11月15日、The Hub, Bath, UK
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イギリスのバースにあるカフェ、「ザ・ハブ」でのコンサートの模様のオーディエンス・ショット。アルバム「When The Circus Comes To Town」1995 S26録音の頃だったらしく、当時は未発売だった同アルバムからの新曲が歌われている。ここでは、ジャニー・ロメールとの共演が見もの。彼女は、前述の「When The Circus Comes To Town」1995 S26 および「Toy Balloon」 1998 S28にバックシンガーとして参加。後の2002年に発表された彼女のソロアルバム「Darkest Before Dawn」O31にはバートが参加した1, 2 のスタジオ録音版が収録されているが、本映像は、これらの曲が1994年当時、すでに演奏されていたことを示している。
1.「Limbo」は恋人との別れを歌ったダークな曲であるが、トラッドのようなメロディーに乗せて、ゆったりと歌われる。2.「No One Around」は、バートが「When The Circus Comes To Town」1995 S26でカバーしていた曲で、彼のギター伴奏のアレンジも凝ったものになっている。3.「Fresh As A Sunday Morning」はバートの曲であるが、ここではジャニーが歌い、彼は伴奏に専念している。 バートはカッタウェイ、サンバーストのヤマハを弾いていて、彼のソロによる4. 5. 6.の3曲を聴く限り、体調が良かったようでギター・歌ともに好調。
私が知る限り、ジャニー・ロメールとの共演が観れるのはこの映像だけで、そういう意味でお宝映像だ。
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Later With Joolz Holland (BBC TV) (1996)TV映像 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
Jools Holland : Piano (2)
Altan (3)
Mairead Ni Mhaonaigh : Vocal, Tin Whistle
Ciaran Curran : Bouzouki
Mark Kelly (Probabuly) : Guitar
Ciaran Tourish : Fiddle
Dermot Byrne : Accordion
1. Intro Jam
2. When The Circus Comes To The Town
3. Blackwaterside [Traditional]
放送: 1996年6月15日
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BBCが夜遅く放送している音楽番組に出演した映像。司会のジュールズ・ホランドはジャズ、R&Bのブギウギスタイルを得意とするピアニスト。70年代後半には、ニューウェイブのポップバンド、スクゥイーズに参加して有名となり、80年に独立した後もジョージ・ハリソン、ロバート・プラント、ポール・ウェラーなどのセッションに参加するとともに、ソロアルバムを発表。音楽活動で築いた人脈を買われて音楽番組のホストをつとめるようになり、この分野でも大成功を収めた人だ。「レイター」は、ロックからフォークまで様々な大物ゲストが出演するBBC2の人気番組。
1.「Intro Jam」は、多くのアーティストが大きなスタジオの中で、ボ・ディドリーが得意とする「Hambone」のリズムを同時に演奏するという1996年6月15日の番組冒頭の派手な企画。ホストのジュールズ・ホランドが歩き回りながら紹介するミュージシャンは、ナイジェル・ケネディ(バイオリン)、前述のボ・ディドリー、ステレオラブ、アルタン、バート・ヤンシュ、ブルートーンズ、ZZ トップという豪華なもの。
2.「When The Circus Comes To The Town」は、ジュールズ・ホランドのピアノとの共演。普段はバンドで演る曲なので、バートのギター伴奏がはっきり聞こえる。ジュールのピアノはヘッドアレンジらしく、シンプル。
3.「Blackwaterside」はバートがアルタンと共演した貴重な映像だ。アルタンはアイルランド北西部のドゴネール地方をルーツとする、アイルランド屈指のトラッドバンドで、紅一点のマレード・ニ・ウィニー(ゲール語の名前なので、スペルと読みが英語と異なる)のボーカルとフィドルを中心とした正統的なスタイルは日本でも多くのファンを持つ。アルタンにとって「Blackwaterside」は、グループの要で彼女の夫でもあったフランキー・ケネディの病没後、初めて製作したアルバム「Blackwater」
1996 に入っていた曲。ブラックウォーターはアイルランドにある川で、この曲がアイリッシュ・トラッドであることもあり、ここではアルタン主導によるアレンジで演奏される。マレードとバートが交代でリードボーカルをとる。バートはギターを抱えているが、あまり演奏しているようには見えない。やはりここで特筆すべきは、伝統を守りながらも、現代的な何かをしっかり兼ね備えた彼女のボーカルだ。品と知性を感じさせながら、優しさと素朴さもある類まれな存在と言える。美しい表情、憂いを湛えた深いまなざしは、観るものをとりこにする。本来はフィドル奏者である彼女は、ここでは間奏でティン・ホィッスルを吹いていて、これもとてもいい感じだ。バートが演奏するいつもの「Blackwaterside」のダークな雰囲気はないけど、アイルランドの広大な草原を吹く風のようにさわやかなバージョンとして愛おしいものとなった。
[2011年10月]
1.「Intro Jam」を観ることができましたので、一部内容を書き直しました。
[2022年11月]
2.「When The Circus Comes To The Town」追加しました。また、2022年発売の「Bert Jansh At The
BBC」に 2, 3が音源として収録されました。
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Take It To The Bridge VH1 TV (1996) 映像 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
Bobby Brown : Slide Guitar
1. Back Home
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「Take It To The Bridge」は音楽専門テレビ局 VHI Europeの番組。他のアーティストが出演した映像がYouTubeに載っているが、この番組についての情報はインターネット上では見つからず、本映像の収録・放送日についての資料も見つからなかった。私が観ることができたのは、1.「Back
Home」の演奏部分とその前後の司会者の言葉のみだ。
1.「Back Home」は、ボビー・ブラウン(スライドギター)との二人による演奏。彼は当時の最新作「When The Circus Comes
To Town」1995 S26の録音に参加していた人であるが、インターネットでの情報が少なく、よく分からなかったが、当時出回ったペンタングルの専門誌「Rosemary
Lane」の第9号(1996年春)のバートのインタビュー記事で彼の事が言及されていた。バートによると、アルバムの録音作業を手伝ってくれる人を探していて、録音作業と演奏の両方出来る人として友人から紹介されたとのこと。彼は本来はロックを演奏する人らしい。あまり有名な人ではないようだが、ベケットというグループにいたこと、後の2011年にヒューマン・リーグの「Credo」というアルバムに参加した記録が残っている。
彼は左利きで、渋いスライドギターを弾いている。
珍しいサイドマンとの演奏が観れる。
[2023年4月作成]
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The Governor Hindmarsh Hotel, Adelaide (1998) 音源 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
[1st Set]
1. Blues Run the Game [Jackson C. Frank]
2. Lily of the West [Traditional]
3. Blackwaterside [Traditional]
4. Down Under *
5. Paper Houses
6. Come Back Baby [Davis]
7. Fresh As A Sweet Sunday Morning
8. Curragh Of Kildare [Traditional]
9. Weeping Willow Blues [Unknown]
[2nd Set]
10. Carnival [Jackson C. Frank]
11. She Moved Through The Fair [Traditional]
12. How It All Came Down
13. Toy Balloon
14. Summer Heat
15. Born And Bred In Old Ireland
16. My Donald [Owen Head]
17. Back Home
18. Kingfisher *
19. When The Circus Comes To Town
20. Little Max
21. Running From Home
22. Anji *
[Encore]
23. One for Jo
24. Strolling Down The Highway
25. Just a Dream
26. Rosemary Lane [Traditional]
録音:The Governor Hindmarsh Hotel, Adelaide, Australia, March 14, 1998
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ザ・ガバナー・ハインドマーシュ・ホテルは、1993年にオーストラリア南部の都市アデレイドにあった古いホテルを改装したライブ・ハウスで、「The
Gov」とも呼ばれている。本音源はオーディエンス録音で、リバーブが深めで遠くから聴いているような感じがするが、ギターの音ははっきりしている。ただし少しエレアコっぽいので、好みが分かれる所だろう。同じオーストラリアのメルボルンで録音された公式発表アルバム「Downunder」S29
は2001年の発売であるが、1998年3月録音なので、本音源と同時期となる。ファースト、セカンド・セットとアンコールの全曲を収めたと思われ、以下は、本音源にあって「Downunder」S29にはない11曲だ。
3.「Blackwaterside」、 7.「Fresh As A Sweet Sunday Morning」、 9.「Weeping Willow Blues」、 14. 「Summer Heat」、17.「Back Home」、18.「Kingfisher」、19.「When The Circus Comes To Town」、21. 「Running From Home」、23.「One for Jo」、25.「Just a Dream」、 26.「Rosemary Lane」
「Downunder」には、全ての曲に地元のセッション・ミュージシャンであるピート・ハウウェルのウッドベースのサポートがつき、3曲についてはイアン・クラークのパーカッションも加わるが、これらは後からスタジオでオーバーダビングしたものらしいので、本音源がバート一人による、ありのままのライブ演奏ということになる。全般的にテンポが少し早目な感じがするが、彼のギター演奏は安定しており、歌声も調子が良さそうなので、聴き応えのある内容になっている。個々の曲についての説明は、「Downunder」S29を参照してください。
「Downunder」 と同時期の録音で、単独演奏、未収録曲が楽しめる音源。
[2015年11月作成]
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Later With Joolz Holland (BBC TV) (2000) TV映像 |
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Bert Jansch : Vocal, Guitar
Bernard Butler : E. Guitar
Johnny Marr : A. Guitar
3. The River Bank
放送: 2000年5月20日
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BBCの人気音楽番組「Later With Joolz Holland」出演の映像。
1.「The River Bank」はバーナード・バトラーとジョニー・マーが参加した「Crimoson Moon」 S30からの曲で、CDにおける二人との共演の雰囲気が味わえる一品。2003年のテレビ番組「The
60th Birthday Concert」(下述)でも、3人がこの曲を演奏するシーンを見ることができるが、それでも貴重な映像であることが変わりない。
[2022年11月]
2022年発売の「Bert Jansh At The BBC」に音源として収録されました。
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