O18 No More Sad Goodbyes (1983) [Jenny Beeching] Appaloosa AP029 |
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Jenny Beeching: Guitar, Vocal
Bert Jansch: Guitar
Alan Morgan: Double Bass
Dave Peabody: Producer
1. No More Sad Goodbyes
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ジェニー・ビーチング (1950- ) については、1980年代にアルバムを3枚ほど出したこと以外に詳しい資料がない。インターネットで検索した限りでは、1998年に或るシンガーの
CDにバンジョーとボーカルで参加した記録があったが、その後の活動記録は地味なようだ。ジャケットの写真のとおり大きな目が個性的で、意思の強さを感じさせる。音楽的にはブリティッシュ・フォークというよりも、アメリカのジャズやブルースのルーツを感じる人だ。この人の魅力はその歌声にあり、太く力強い低音とよく伸びる高音、所々で聞かせるきつめのビブラートが、ローラ・ニーロやジョニ・ミッチェルを連想させる。1.「No More Sad Goodbyes」は彼女の伴奏ギターにバートがからむシンプルな演奏で、別れの辛さを切々と歌っている。バートの演奏は控えめであるが、彼特有のタッチのギターの音ははっきり聞こえる。その他の曲はジャス調のものやカントリー、ブルースっぽいものもあり、華やかさに欠けるが変化に富んだ内容で聞き応え十分。
私が持っているのはレコード盤だが、後年 CDも発売されたようだ。
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O19 Just Guitars (1984) [Various Artists] CBS 259469 |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal
Ralph McTell: Guitar
1. One Scotch, One Bourbon, One Beer [R. Toombs]
2. Is It Real ? S18 S18 S19 S36 P22 O22
3. Anji * [Davey Graham] (With Ralf McTell) S1 S2 S2 S10 S11 S14 S17
S29 S36 S36 S36 S36 S36 S36 S36
注)左の表紙写真は、左部にラルフ・マクテルのサイン付き
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イギリスのボランティア活動団体「ザ・サマリタンズ」設立30周年を記念して行われた、1982年12月18日バービカン・センターにおけるコンサートのライブ。全英180
支店、2 万人のボランティアが 24 時間体制で人生に悩む人々の電話・訪問を受け付け、話の相手をするというカウンセリングを行う団体で、相手に押しつけがましい助言をしないことをモットーとする。1983年の年間のコールは2百万件に達したという。
当団体に賛同したアーティストが参加したコンサートには、バートの3曲の他にラルフ・マクテルが5曲、ジャズ畑のアール・オーキンが3曲、フラメンコのジュアン・マーチンが3曲、クラシックのジョン・ウィリアムスが2曲(以上は各他のアーティストとの共演を含む曲数なので、それらのトータルは本作の収録曲数の12曲を上回る)収録されている。1.「One
Scotch, One Bourbon, One Beer」はバートがミッキー・ベイカーと1978年に初来日した際に2人の共演として演奏していた曲で、公式発表音源としては本作が唯一のもの。エイモス・ミルバーン1953年の録音がオリジナルで、ジョン・リー・フッカーやニューオリンズの盲目ブルースマン、スヌークス・イーグリンの演奏でも有名な曲で、グルーブ感あふれるブルース・ギターが聴ける。2.「Is
It Real ?」は S18でおなじみ。バートの声には伸びがあり、ギターの切れ味も良い。デイビー・グレアムの歴史的名曲 3.「Anji」は、名手ラルフ・マクテルとの夢の共演。弾き始めると観客から拍手が起こる。ただし二人ともほぼ同じフレーズを弾いているので、演奏面ではこれといったものはない。
なお本コンサートのプロモーションのために、バート・ヤンシュとラルフ・マクテルがBBC放送の「Rusell Harty」という番組に出演し、「Anji」を弾いた映像が残っている(「その他音源・映像」のコーナーを参照してください)。
[2012年7月追記]
バートの事ではないけど、2012年にアール・オーキンのCDが日本で発売され、静かなブームになっているとのことなので、彼のトラックについても、ちょっと言及します。
上述では「ジャズ畑」と書いたが、アール・オーキン(Earl Okin, 1947- )は、ボサノヴァの弾き語りを得意とするシンガー・ソングライターで、彼の曲はシラ・ブラック、ヘレン・シャピロ等に録音されている。彼が有名になったのは、ポール・マッカートニーが彼の才能を認めて、1979年のウィングスのツアーに前座として起用してからで、その後コメディアンとしても頭角を現わし、テレビ番組にも多く出演している。本LPで彼が参加しているトラックは3曲。「If
I Could Be With You One Hour Tonight」はスタンダード・ジャズ風の曲で、カズーのようなものを使ったマウス・トランペットの間奏が冴えている。「Mango」は傑作。ダブルミーニングに満ちたエッチな歌で、クールなナイロン・ギターと、ボーカルが最高。観客はクスクス笑っている。ジョアン・マーチンとのデュエットによるインストルメンタル「Shoro」は、「Sons
De Carrilhoes (Sound Of Bells)」という名の曲で、ブラジルのショーロとしては最も有名なもの。もともとはギターの独奏曲であるが、ここではアールのボサノヴァ伴奏で、ジョアンがメロディーを弾いている。本LPにおけるアールの存在感はかなりのものだと思う。
[2023年12月追記]
「One Scotch, One Bourbon, One Beer」の出所について追記しました。
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O20 Full Moon (1984) 〔Cliff Aungier〕 ARIES ALP001 |
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Cliff Aungier: A.Guitar, Vocal
Bert Jansch: A.Guitar
Dzal(David) Martin: E. Guitar, N. Guitar
Nigel Portman-Smith: Bass,
Clive Bunker: Drums
Roger Hand: Producer
1. Come Back Baby [Trad.] S1 S5 S14 S18 S27 S29 S33 S36 S36 S36 P19 O13
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古くからの音楽仲間で友人でもあるクリフ・オンジャー(こういうふうに読むのかな?)のソロ・アルバムにゲスト参加。バック・ミュージシャンはそうそうたる顔触れで、ラルフ・マクテル、ナイジェル・ポートマン・スミスやマイク・ピゴー、アルバート・リー等、バートに関連の深い人々の名も多い。本作以外でのクリフとバートの共演は、ローレン・オーバッハのソロアルバム「Playing
The Game」1985 O22 での2曲で、一緒にギターを弾いている。フォーク音楽のみならず、エレキ・ギターを多用したロック調、カントリー調の曲が多く、かなりアメリカ的なサウンド作り。そのせいか、ギター・歌はうまいが今ひとつ個性に欠けるようだ。バート自らもカバーしているブルース・スタンダードの1曲に参加。前半はアコギによるギンギンのブルース。後半はアップテンポになり、リズムセクションとエレキギターが加わって、ライ・クーダーのようなサウンドになる。バートのギターは後半部分で、彼独特のタッチの音を聴き分けることができる。
[2022年11月追記]
クリフ・オンジャー氏は、2004年に亡くなったとのことです。
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O21 After The Long Night (1985) Christabel CRL001 |
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[Loren Auerbach, Bert Jansch With Presence]
Bert Jansch: Guitar
Richard Newman: L.Guitar, Vocal (5)
Dave Newnan: Bass
Dave Phillips: Violin (3,5)
Bemle Hunte: Additional Vocal (3)
[Side A]
1. The Rainbow Man (R. Newman)
2. Frozen Beauty (R. Newman)
3. Christabel (R. Newman)
[Side B]
4. So Lonely (R. Newman)
5. Journey Of The Moon Through Sorrow (R. Newman)
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O22 Playing The Game (1985) [Loren Auerbach] Christabel CRL002
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Bert Jansch: Guitar, Vocal (4)
Richard Newman: L.Guitar
Brian Knight: Harmonica
Geoff Bradford: A.Guitar, E.Guitar
Cliff Aungier: A.Guitar (3,6,8)
Tim Wheater: Flute
Charlie Francis: Bass
Nigel Portman Smith: Bass (6)
Producer: Loren Auerbach
[Side A]
1. Carousel [Bert Jansch]
2. Weeping Willow Blues [Trad.] S5 S36
3. Give Me Love [Bert Jansch]
4. I Can't Go Back [R. Newman]
5. Smiling Faces [R. Newman]
[Side B]
6. Yarrow [Trad.] S8 P14 P19 P22
7. Playing The Game [R. Newman]
8. Is It Real ? [Bert Jansch] S18 S18 S19 S36 P22 O19
9. Sorrow [R. Newman]
10. Days & Nights [R. Newman]
10.のみバート不参加
注)下の写真はO21 O22 を1枚に収録したCD再発盤
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英フォーク、ロック界の実力者プロデュサー、リチャード・ニューマンとバート・ヤンシュを従えて、自らのプロデュースで上記1枚半のアルバムを自主レーベルで製作したローレン・オーバッハ(1963-2011
多分こういう読みと思うけど)は当時学生だったそうで、その後は大学に戻り、執筆と教育関係の仕事に専念する。その後もバートとの交流は続き、1999年ついに年齢差を克服して二人は結婚。ローレン・ジャンシュと名乗るようになったが、この人の詳しい経歴は不明。
サウンド自体にトラッド臭さはなく、当時のシンガー・アンド・ソングライターとして普通の音作り。1曲を除きバートのギター伴奏が活躍、あの独特なタッチをはっきり聞き分けることができる。リード・ギタリストは泣きのプレイでかなりロックしており、全体的に哀愁あるサウンド。当時彼女は20代初めのはずだが、どちらかと言うと年齢不詳タイプ。彼女の歌は張りがなく声量も乏しい。またジャッキー・マクシーの様な存在感もなく、イマイチ魅力に欠ける。ただし一生懸命歌おうとする誠実な姿勢と旺盛な自己顕示欲はひしひしと感じられるので、まあ良しとするか。
5曲入りのミニアルバムである「After The Long Night」のなかでは、2.「Frozen Beauty」、4.「So Lonely」の出来がよい。彼女には悲しみや寂しさを歌う曲のほうが合っているようだ。5.「Journey
Of The Moon Through Sorrow」のみ、何故かリチャード・ニューマンがリード・ボーカルをとる。
続いて製作された「Playing The Game」はバートが主導権をとったようで、いくつか興味深い曲がある。2.「Weeping Willow
Blues」はバートの「Nicola」 1967 S5 収録曲のカバー。途中にフォーク・ブルースでお馴染みの曲「Corina, Corina」の1節が出てくる。バートのギターが目立っている。4.「I
Can't Go Back」は、ローレンとバートが掛け合いでリードボーカルを担当する。5.「Smiling Faces」はメロディーと、リチャードのスライド・ギターによるリードが魅力的。6.「Yarrow」は本作唯一のブリティッシュ・トラッドで、バートの「Moonshine」
1973 S8やペンタングルで取り上げていた曲。ナイジェルがベースを担当、本作の中では最もバートらしいサウンドが出た曲だ。7.「Playing
The Game」はペンタングルの「In The Round」1986 P15収録曲とタイトルがほぼ同じだが、全く異なる曲。8.「Is It
Real ?」は、「Heartbreak」1982 S18 収録曲のカバーで、パワフルなアレンジが良い出来。なお本作1.「Carousel」、3.「Give
Me Love」はバートの作詩・作曲で、本人の演奏では未発表であるが、曲の出来としてはまあまあ。なおメンバーの中に友人クリス・オウジャー(共同プロデュースを担当、彼のソロアルバム
O20ではバートがゲスト参加している)やナイジェル・ポートマン・スミスなどのバート人脈を見かける。ちなみにバートとリチャード・ニューマンは仲が良くなかったようだ。
上記2作は長らく廃盤となっていたが、1996年に上記2作が1枚のCDに収められて、同じ自主レーベルより再発売された。当該CDでは1曲毎のパーソネルが明らかになり、O21
は全曲、O22 においてはバートが1曲を除きすべてに参加していることが明らかとなったO22 5.「Smiling Faces」のタイトルはCDでは「The
Miller」となっているが、レコードと全く同一録音。従って本CDにはオリジナルLPに未収録の曲やテイクは含まれていない。
[2011年12月追記]
ローレン・ジャンシュ氏は、2011年12月9日、ガンのため永眠されました。2011年10月5日にバートが亡くなってから僅か2ヶ月の事でした。ご両人の冥福をお祈り申しあげます。
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O23 Colours Are Fading Fast (2016) [Loren Auerbach] EARCD012 |
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Disc 1 : After The Long Night (Same As O21)
Disc 2 : Playing The Game (Same As O22)
Disc 3 : In Moonlight's Grace (Unheard & Unreleased)
Loren Auerbach: Vocal
Bert Jansch : Acoustic Guitar
Richard Newman: Acoustic Guitar, Lead Guitar, Vocal, Producer
1. Snowflakes
2. Just As Before
3. Leaving Station
4. Jody
5. Set You Free
6. Nothing To Improve
7. Tam Lin [Traditional Arranged by Dave Swarbrick]
8. Man Of The World [Peter Green]
9. The Bank Of The Nile
10. There's A Man I Know
Recorded at Heath Studios, London between October and Novemeber 1988
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バートと奥さんのローレンが亡くなってから5年が経った2016年、ロンドンを本拠地とする独立系レーベル、アースレコードからローレンが1985年に発表したアルバムに未発表曲を加えた3枚組のセットが発表された。最初は2016年4月16日「Record
Store Day」用にLPレコード仕様で、その後CDが発売された。
ローレンについては資料がないが、本アルバムに短い賛辞を寄せたジェラルディン・オーバッハはローレンのお母さんで、イギリスでジューイッシュ音楽の普及に努めた功績でロンドン大学の名誉フェロー称号を贈られた人であることがわかった。彼女は南アフリカ生まれで、1962年に医者と結婚してロンドンに移り、オーバッハ姓を名乗るようになる。地元中学校の教壇に長年立ちながら、1980年代よりジューイッシュ音楽の普及活動に関わり、その分野でイギリスを代表する存在になったという。ということで、ローレンはジューイッシュであることがわかり、彼女のエキゾチックな容貌の背景が明らかとなった。
本CDセットには解説がついていないので、各曲の作者については不明。曲想はO21, O22と同じなので、トラッドの7. とフリートウッド・マックのカバー
8.を除き、リチャード・ニューマン作かもしれない。彼女の歌は、相変わらず滑舌の悪いくぐもった声で、エモーションが前面に出ず内省的な感じがするが、聴き込むとそれを個性として捉えることもできる。O22
のようにジャケット見開きに歌詞が掲載されていないと、彼女の歌は日本人には聞き取りにくいね(おそらく現地人にも全部理解するのは難しいかも?)。
「In Moonlight's Grace」と題された3枚目のCDは、1988年に録音された未発表音源とのことで、ジャケットに記載されたクレジットには、リチャードニューマンとバートのギターしか載っていないが、他の楽器もしっかり入っている。3枚目のアルバム製作のために録音されたが、結局アルバム製作までには至らずお蔵入りになっていたもの。その後ローレンは学業に専念して学位をとり、北欧神話を研究する学者になった。後の1998年に「Saga
Of The Norsemen: Viling And German Myth」 という、その分野ではかなり有名な本を刊行している。そしてバートとの再会は1994年で、その後親交を深めて1999年に結婚した。
1.「Snowflakes」は、二人のギターにバイオリンのように聞こえるエフェクトを効かせたエレキギターが入った編成。2.「Just As Before」にはフレットベースが入り、2台のギターとのコラボレイションが良い感じ。「In Moonlight's Grace」というタイトルは本曲の一節から採ったもの。この2曲では、バートらしいギター伴奏を楽しめる。3.「Leaving Station」はアコギ以外にウッドベースとエレキギター、背景にシンセサイザーが入る。4.「Jody」は、アコギ、エレキギター、ベース、ドラムスによるバンド編成。ロンドンのホームレスの事を歌ったシンプルな歌詞なので聞き取りやすい。5.「Set You Free」もフルバンドによるバック。デモようなラフな演奏であるが、ローレンのボーカルにはオーバーダビングが施されている。6.「Nothing To Improve」で聞こえるアコギは、ピックによるリズムカッティングであり、バートはこの曲には不参加と思われる。7.「Tam Lin」は、P21と同じトラッドを題材としたもの。ここではP21のように物語を現在に置き換えたものでなく、スコットランドの古いトラッドをアレンジした1969年のフェアポート・コンヴェンションのアルバム「Liege & Lief」でサンディー・デニーが歌っていたヴァージョン。フルバンドの中で聞こえる控えめなアルペジオはバートかな?子供の声によるバックコーラスが面白い。8.「Man Of The World」は、初期のフリートウッド・マックに在籍したギタリストのピーター・グリーン (サンタナの「Black Magic Woman」の作者としても有名)が作曲し、1969年にシングルで発売された曲で、アルバム未収録曲となったため、その後はベスト盤やボックスセットに収められた。シンプルなエレキギターのコードストロークとアコギのバックによる出だしがデモ演奏のように聞こえるが、次第にスライドギター、ベース、ドラムス、果てはピアノまで加わり本格的になってゆく不思議な演奏。9.「The Bank Of The Nile」は「Take Two」という掛け声から始まる。2台のアコギを中心した落ち着いた感じのバックが良い感じ。10.「There's A Man I Know」はスタジオトークやテープ回し始めノイズが前後に入る。他の曲よりもエコーが薄めで、その分ローレンの歌もクリアに聞こえるが、ここでのアコギはピック弾きでバートらしくない。
全曲につき歌詞を付けて欲しかった!
[2017年1月作成]
[2022年4月追記]
ローレンについての資料を見つけましたので、追記しました。
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O24 Woody Lives ! (1987) [Various Artists] BLACK CROW CRO217 |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal (1)
Rod Clements: Guitar, Mandolin, Bass
Rory McLeod: Guitar, Harmonica, Vocal (2,3)
Pat Rafferty: Accordion
Geoff Heslop: Producer
Woody Guthrie: Cover Illustration
1. This Land Is Your Land S36
2. Deportees
3. Do Re Mi
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アメリカの偉大なるフォークシンガー、ウッディー・ガスリーの没後20年を記念して、イギリスのマイナーレーベル、ブラック・クローで制作されたトリビュート・アルバム。当時アルコール依存症のため心身ともに不調だったバートの面倒をみたロッド・クレメンツの紹介によるもので、バートはその後同レーベルで「Leather
Launderette」1988 S22を制作する。
当時のウッディーやレッドベリーの音楽をルーツとしたスキッフルがイギリスで大流行し、その後にブルース(ロックに進化)とフォーク(トラッドと融合)に分化してゆく過程が背景にあり、ウッディーがイギリス音楽に与えた影響の大きさは計り知れないという。バートは代表曲1.「This
Land Is Your Land」を歌うが、ウッディーに対する敬意が感じられる控えめな演奏。他の2曲はギターのみでの参加であるがバンドの中に埋もれてほとんど目立たない。2.「Deportees」は不況時に土地を失って棄民となった人々を歌い、スタインベックの名作「怒りの葡萄」を彷彿させる作品。ボブ・ディランが70年代のローリングサンダー・レビューでジョーン・バエズとデュエットで歌い、テレビスペシャル「Hard Rain」の映像が残っている他、ブートレッグ・シリーズとして発売された同ツアーのライブ盤にも収録されていた。3.「Do Re Mi」はライ・クーダーによる演奏が有名で、タイトルは「お金」を意味する俗語。
なお本作のジャケットの漫画はウッディー自身によるもので、彼は風刺漫画家としてもかなり才能があったようだ。ちなみに本作の収益は、ウッディーの命を奪った不治の病ハンチントン舞踏病(筋肉が次第に麻痺してゆく難病)の治療研究機関に寄付された。
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O25 Reaching Out (1987) [Maggie Boyle] Run River RRA003 |
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Maggie Boyle: Vocal, Flute (2)
Bert Jansch: Guitar
Steve Tilston: Guitar (1)
Tommy Keane: Whistlers
Jacqueline McCarthy: Concertina
Tony Hinnigan: Cello
Michael Klein: Percussion, Back Vocal
Michael Klein: Producer
1. The Proud Man [Steve Tilston]
2. Lawland Of Holland [Trad.]
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マギー・ボイルは第2期ジョン・レンバーン・グループのメンバーで「Ship Of Fools」1988 にも参加している人。バートが大好きなシンガーとのことで、彼女との活動も多く、「The
Ornament Tree」1990 S24 にフルート等で、「When The Circus Comes To The Town」 1994
S26にはバックボーカルとして参加している。また1996年秋には夫君でもあるスティーブ・ティルストンとともにバートのツアーに同行し来日を果たした。
彼女のファースト・ソロ・アルバムは、スティーブ・ティルストンの全面協力により製作され、バートも2曲ゲスト参加している。本作品はバートのソロアルバム「The
Ornament Tree」1990 S24 と同じ、Run River というレーベルから発売されており、そのためかサウンドもよく似ている。彼女の歌声はジャッキー・マクシーをもう少し太くした感じで、知的な美しさと存在感はとても魅力的。上記の2曲のなかでは、バートのギター伴奏のアルペジオがとてもきれいでメロディーも美しい
2.「Lawland Of Holland」が断然よい出来。
2曲と言わず、もっといっぱい参加してくれればよかったのに……と言いたくなる作品である。
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O26 Master Craftsmen (1989) 〔Various Artists〕 Marco Polo |
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Bert Jansch: Guitar, Vocal
Peter Kirtley: Guitar
Gordon Giltrap: Producer
1. The Parting S25
注) 写真上: Nico Poloによるオリジナル・レコード盤ジャケット
写真下: Tera Nova Records による再発CD盤ジャケット
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フェアポート・コンヴェンション(再結成)やジェスロ・タルのメンバーとして著名なマルチ奏者マーチン・オルコックと、ギタリストのゴードン・ギルトラップの発案により製作されたギター製作家ロブ・アームストロングへのトリビュート・レコードで、バートは自作曲で参加した。ロブはイギリスのコベントリーに工房を持ち、現在も活躍中。極めて個性的なデザインのギターおよび、その他の様々な弦楽器を製作、プロミュージシャンに愛好家が多い。本作には上記二人の他に、フェアポートのオリジナルメンバー、サイモン・ニコルや、キャロル・キングの名曲「Goin’
Back」を素晴らしいアレンジでカバーするヴィッキー・クレイトン、そして以前バートと一緒に活動したことのあるマーチン・ジェンキンスが愛器マンドセロで2曲参加している。ロブ・アームストロングについてはO16、S17を参照のこと。
収録曲 1.「The Parting」は長年連れ添った恋人シャルロットとの別れをテーマにしたもので、歌詞、メロディー、演奏いずれもバッチリの佳曲となった。5分30秒の長い曲であるが、あっという間に終わってしまう感じがする。当時彼はアルコール依存症によるスランプからの回復途上にあり、落ち込んでいた人生が好転し始めた頃で、別れの悲しみと共に再生の意気込みも感じられる。ここで素晴らしいリードギターを弾いているのは、以前から飲み友達だったというピーター・カートレイで、バートとの録音は本作が初めてだ。その後彼はバートの音楽パートナーとしてS23などのソロアルバムに参加、またペンタングルの一員としてP17〜19でギターを弾いている。
ギター製作者へのトリビュート盤ということもあり、各ミュージシャンの演奏が非常にクリアーな音で録音されていて、楽曲のレベルも高くお勧め盤である。
当時私は、このLPの発売の噂を知っていたにもかかわらず、買い逃してしまい残念がったものだ。その後 Tera Nova Records が許可を受けて1999年にCD化したことにより、めでたく入手可能となった。ただしジャケットのデザインはLPとCDで異なる。当時、CD購入希望の人はホームページに記載されたアドレスに代金を送金小切手で送ると、郵送してくれた。
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