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お菓子について2(自動切り替えモード)

先入観なしで

 だいぶ前のことだがこんなことがあった。高校生の頃クッキーを作ってクラスの1泊旅行に持っていった。クッキーは半分は私が作り、半分は母が作ってくれた。その頃は既に「甘さ控えめ」が浸透しはじめていた。

 体型を気にし始めていた私は、とても甘さ控えめに作った。母は普通に作った。自分で作った甘さ控えめのクッキーはほとんど甘みが無かった。まるで今のお菓子のように・・・。でも「これくらいでいい」と思った。いや、言い聞かせたのかな・・・?それを友達何人かで食べたのだが、私は半分は母が作ったということを言わず、さも自分が全部作ったようなふりをしてに出した。そうしたらみんな口々に「こっちの方がおいしい」と母が作った方を褒めたのだ。やっぱり甘い方がおいしいのだ。甘くないのは味気なくおいしくなかったということだ。

 でも、もし「こっちは甘さ控えめなの」とか「上品な甘さなの」と一言添えていたとしたらどうだったのだろう?その言葉に何となく騙されてしまう人もいるんじゃないかな〜。

自動モード切替

 本当はみんな甘い方がおいしいと思うのかもしれない。でも、常にカロリーを気にしていると、お菓子を食べる場面になって無意識に「甘くないのがおいしいモード」に切り替割るんじゃないかな〜と私は思った。甘くなくて味気ないお菓子を出されても、既に心の準備は出来ているぞ状態だからそんなに味気ないとは感じないのではないかな。そうなってしまうともう、おいしいかおいしくないか分からなくなってしまうんじゃないかなあ・・・。

 昔、修学旅行で見た東大寺の大仏。とにかく大きい!と聞かされていたのでものすごくでっかい大仏を想像していた。でも実物を見たら「あれ?」という感じだった。とにかくでかいと聞いてたので「でっかい大仏を見るぞモード」になっていて実物の2倍くらいの大仏が頭の中で出来上がっていたのだ。だから実物見て拍子抜け。がっかり。でも、前もってでかいと聞いていなかったら本当にでかくてビックリしたと思う。先入観によってかなり感じ方が違っただろうな。先生はあんなに「でかい、でかい」と言わなきゃ良かったのに・・・。

 食べ物も同じで、味というのは状況によってもかなり感じ方が変わると思う。例えば遠足で食べるお弁当はおいしくても、全く同じものを家で食べてもおいしく感じないとか。カップラーメンを会社で食べるとおいしいけど家で食べるとおいしくないとか。缶やペットボトルのお茶をドライブ中に飲むとおいしいけど、家で飲むとおいしくないとか。

 では、なぜ遠足のお弁当や、会社のカップラーメンや、車の中のペットボトルのお茶がおいしいのだろう?まず、遠足の時というのは平常心ではない。要するにハイテンションなのだ。お昼を食べるだけでも日常と違い、ひとつのイベントだ。ウキウキ、ワクワクするような状況や友達とわいわい食べる状況が冷めたおかずをおいしく感じさせるのだろう。その場で暖かい食事が食べられる状況ではないということもある。

 会社のカップラーメンと車の中のペットボトルは、その状況で食べられる(飲める)ものは所詮そんなもので味にそれほどの期待をしていないから、自然と味への期待の基準は下がっている。だからおいしく感じるんじゃないかと思う。でも外食するときはそれなりに味を期待している。だから、喫茶店で缶やペットボトルのお茶をだされたら全くおいしくないと思うだろう。家にいるときも調理できる環境にあればやはりある程度味に期待をする。お茶だって家ならおいしいものが飲める。そういう環境にある時は自然と心は「外食モード」「家モード」になっている。そういうモードになっているときにカップラーメンやペットボトルドリンクでは満足できないのだ。

 蛇足だが「家モード」ではこんなことも考えてしまった。家ではカップラーメンよりは期待するけど外食ほどは期待しない。ましてや自分で作ったときなどは特に評価が甘くなるだろう。そこでふと考える。この料理、外食で出てきたら私はおいしいと言うかな?きっと言わないだろうな……お金出して食べたいと思わないだろうな……と(^^;
でも自分の料理を客観的に見ることなんて出来ないだろうな。

本当においしければまず・・・

 話を元に戻そう。以前、会社である人が自分で作ったケーキを持ってきてくれた。甘さはかなり控えめに作ってあった。悪いけど私には物足りなかった。でもある人は「甘さがちょうどいいわ」と言っていた。
 でも、本当においしいものを食べたときって、まず始めに“甘い”か“甘くない”かよりもまず「おいしい!」という言葉が出ると思わない?それが自然じゃないかな。自分のケーキを自慢するみたいになってしまって恐縮だけど、私が持っていったケーキを食べたときのように、「うまい!うまい!うまい!」という言葉が先に出るのが普通じゃないかな〜?(その時“甘い”とか“甘くない”とか甘さのことには全く触れられなかった)いきなり甘さのことを言うのは“おいしい”か“おいしくない”かより“甘いか”“甘くないか”つまりカロリーに完全に意識を取られているんじゃないかな〜?

 何が言いたいかというと、砂糖の量以外は全く同じ2種類のケーキを大勢の人に食べてもらってどちらがおいしいと思ったかと聞いてみたい。“甘い”とか“甘さ控えめ”とかいう先入観はまったく与えずに食べてもらうのだ。そういう先入観が無かったらいったいどちらの方がより大勢の人がおいしいと感じるのだろうか……。意外と甘い方が人気が高いんじゃないかな〜???でも、おいしい理由が“甘いから”ということには案外気付かないかも・・・?


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