装苑とかミセスのスタイルブックだとかに、掲載されている原型の作り方を見てもらえればすぐわかると思うが、いろいろと数字が割り振ってある。これが、素人には首をひねらずにはいられない、わけのわからない数字なのである。バストやウエストをはかって、それを分割するのはわかる。だが、その数字に、1センチとか2センチ、たしたりひいたり…。いったいこの数字は何?何を根拠に、その数字は算出されているのか…。それさえわかれば、原型の謎もとけるはず。
考えた…。
だが、わからんね。(あっさり。)
どうも、文化の人が、長年の経験から割り出した数字なのだろうが、この数字、素人には何が何だかさっぱり…。
そこで、わからん数字をながめていても仕方がない。それならこの数字をどう料理すればいいのかを問題にしよう。とまあ、すっぱり追求の手を引っ込め、別の方面から眺めることに。というわけで、いきなり身長比率で料理してみた。
つまり、バストとか、具体的な数字以外の、わけのわからない数字を、すべて身長比率であてはめ、それでもって原型を作ってみることにした。
本に掲載されているものは、婦人用原型の作り方。
私が作ろうとしているのは、13SD少年用。
相変わらず無謀である。婦人用で、少年服の原型作ろうとするなんて…。
家の中にある本を探したのだが、紳士用の原型なんてなかったもので…。
まあ、いいや。とりあえず、作る私。だが、驚くことなかれ。ちゃんと原型らしきものができあがったのである。
さすが文化式。
でも、なんとなくおかしい。ま、そりゃそうだ。婦人用の身長と少年の身長では、身体の構造その他、違うもん。
そこであらためて原型の作り方を読む私。
そこにはちゃんと、バストと背丈がわかれば作れる、と書いてあるではないか…。(最初からちゃんと読めよ。)
ということは、バストの数字が重要だったわけだ。(早く気づけばよかった。)というわけで、次にバスト比率からすべての数字を算出してみる。
算出した数字を当てはめて作ったのが、こちらの原型。(右側)左のは、前回作った無理やりぴったり原型。
大きさの違い、気になっていた袖ぐりの違いは明らかだ。
ちなみに、さきほど身長比率で作ったものは、これよりも一回り大きかった。そりゃそうだよな。
婦人用原型の作り方から、13少年用の原型、できてしまったよ…。すごいぞ、文化式。
そこで私、さらに考えた。この、できちゃった原型、どの程度使えるものなのか…。スタイルブックにのっている婦人服の製図も、どの程度使えるものなのか…。
ならば使ってみるしかないでしょう。
実際のとこ、どうなのよ、これ。というわけで、早速この原型を使って、スタイルブックにのっている製図をもとに、婦人用コートを作ってみる私。まあ、このデザインなら、打ち合わせを逆にすればSDも着れるし…、というような、いつものごとくの理由で作るデザインを決めた私。
まあ、あくまで実験なので!そこで、すべての数字をバスト比率を使って計算し、あてはめてみた。数字を直したりすると、実験の意味がないので、今回はあえて何も考えずに作ってみることとする。すると…。
いかがでしょうか?
使える!すごいぞ、文化式。
あくまで婦人用サイズなので、どうなることかと思ったが、計算したまま、何も直さず実験的に作ったわりには、大きさ的におかしくない。問題ないね。
これは、けっこううれしい発見であった。こういう襟のある難しそうなジャケットだって、スタイルブックの製図を参考にできるのは、非常に助かる。これから自分で作りたい服に型紙を作るとき、とっても役にたつではないか…。それにしても、こういう襟の製図、はじめて書いてみたのでどうなるかと思ったが、どうにかなるものだ。なせばなる、だね。
課題としては、丈をどうするか。もう少し、長めにしてもよいような気がする。そのへんは、あとは自分で作りながらバランスを見るしかないだろう。
あとはもう、作って経験を積むしかないでしょう。
今回の発見は、ちょっとは人様の役にたったかもしれないなあ。私のように型紙がないと服が作れない人にも、新たな展望が望めるし。
いかがなものでしょう?
人によってサイズの計り方が違うので、あえて自分がバストを何センチにして、比率を何パーセントと計算して、ということは書きません。やってみようかな、と思った人は、自分で計算してね。
それでもって、すべての製図にたいして、このやり方が通用するかどうかについては、まだわからないので、自分でこのやり方を試してみるときには、自分の責任でやるように。(何事も、自己責任の時代だからね。)
私もまだ修行中の身なもので、さらにどうしたものか、これから追求するところです。
ただ、世に出回っている製図のあれこれが、この原型を使えばなんとかなるのでは、というのは非常に面白い。
実際のとこ、他の人はどうやって型紙を作ってるんだろうね。型紙同士を突き合わせてみると、作る人によってまったく肩の下がり方や袖まわりが違うから…。
ところで、紳士用の原型というのは、あるのだろうか?私が見たことがないだけかもしれんが。
だいたい、紳士物のスタイルブックとかって、ないものね。紳士服の勉強したい人って、どうするのかな?身近にそういう本もなければ、勉強するのもけっこう大変そうだよね。
というわけで、モデルになってくれたうちの鏡ちゃんも、終始にこやかなまま、髪なんぞいじっておりますが、婦人用のコートの打ち合わせを逆にしただけと知っても、はたして笑っていてくれるのだろうか…。
まあ、それはそれ、ということで。次に続く、はず…。