神話を訪ねて(第2回) 草薙神社(静岡県静岡市清水区)

サッカー好きでもある管理者は、先日またもサッカー観戦のため、静岡県静岡市清水区(旧静岡県清水市)へ行った折り、ヤマトタケルの伝説で有名な「草薙の剣」の舞台といわれる草薙神社(くさなぎじんじゃ)を参拝してきました。インターネットで調べたハイキングコースを歩いてきました。

静鉄グループ 沿線ハイキング情報 日本平伝説の森ウォーク

このサイトでヤマトタケルの伝説を読まれたあなたなら、もうよく知っていますね。ヤマトタケルは、東国に蝦夷(えぞ)征伐にやってきたとき、敵にだまされ、森の中で火を放たれます。ヤマトタケルは、伊勢神宮のヤマトヒメからいただいた「天叢雲の剣」(あめのむらくものつるぎ。スサノオノミコトが、ヤマタノオロチを退治した時に尻尾から出て来た霊剣で、天皇家の家宝)で、周囲の草を薙ぎ払い、同じくヤマトヒメから授けられた火打石で払った草に火をつけると、それが向かい火となって、周りの火が鎮まり、ヤマトタケルは難を逃れます。

この有名な話も、実はおかしな部分があって、古事記では、この場所は相模の国(現在の神奈川県)であるとされています。それでいて、この賊を皆殺しにして、火を放った場所を焼津(やいづ。静岡県焼津市)としており、位置関係が矛盾します。この部分は、古事記より少し後に成立した日本書紀(西暦720年)では、駿河の国(するがのくに。現在の静岡県)と訂正されています。おそらく、相模の国とした古事記の記述が誤っていたものと思われます。詳しくは調べていませんが、神奈川県内には、草薙の剣についての伝承は残っていないようです。

次の問題は、では、ヤマトタケルが賊に襲われたとされる森又は野原の場所は、静岡県の旧清水市なのか焼津市なのか?実は、焼津市にもやはりヤマトタケルを御祭神とする「焼津神社」があります。実際には、焼津市と清水区草薙の地は、直線距離で15キロメートル弱しか離れていませんので、この辺り一帯の場所であったことは間違いないように思います。今回は残念ながら、焼津神社を訪れることはできませんでした。しかし、草薙神社がある一体は、日本平(以前は、大和平といったそうです。)と呼ばれる標高300メートル程度の丘陵地帯であり、ここをハイキングして歩いてみた感じとしては、海に近い平地の焼津市よりは、こちらの方がヤマトタケルの草薙の剣の舞台として地形的に申し分ない絶好の場所のように思えました。なお、いずれの神社も延喜式神名帳(927年)に記載がある古社です。かなり古い時代から、この一体が草薙と呼ばれ、ヤマトタケルの伝承地であったことがうかがえます。

草薙神社は、想像していたよりも、風格のある立派な社殿を持つ神社でした。写真は撮れませんでしたが、拝殿内には、ヤマトタケルが火炎の中を剣で草を薙ぎ払っている姿の絵が掲げられていました。社務所で、おみくじを引き、お守りを一つ買いました。境内には、弓道場もあり、さすが、ヤマトタケルの武勇伝の地であり、武道もさかんのように見受けられました。境内には日本武尊像がありましたが、ハイキングコースの終点である日本平山頂近くのヤマトタケル像の方が、若々しくかっこよかったなあ。

社名

草薙神社(くさなぎじんじゃ) 

鎮座地

静岡県静岡市清水区草薙349 (JR東海道線・清水鉄道「草薙駅」徒歩15分)

御祭神

日本武尊(やまとたけるのみこと) 「日本の神話 古事記」でチェック 

御由緒

当社は式内延喜式神名帳に「駿河国有渡郡三座小並云々草薙神社」と記載されている。御祭神は、景行天皇第二皇子日本武尊を御祀り申し上げて鎮座してあります。国史社伝によれば尊は東国の蝦夷が叛いたので、之を平定する為吾嬬国(あずまのくに)に赴く途中、このあたりで逆賊起り原野に火を放って尊を焼き殺そうとしたので尊は出発の折り、伊勢神宮に参拝し倭姫命より戴いた佩用の剣を抜いて「遠かたや、しけきかもと、をやい鎌の」と鎌で打ち払う様に唱へ、祓いて剣を振り、あたりの草をことごとく薙ぎ払った処で手打石により火をつけた。その火は逆賊の方へ姻りなびいて、尊は無事にこの難を切り抜けられました。

その後、佩用されていた天叢雲(あめのむらくも)の剣を草薙の剣と名称を変更になり、尚、尊を焼き殺そうとした時に尊が草を払われた処を草薙と言われる様になりと語り伝えられている。

その後景行天皇が日本武尊の勲功の地を尋ねようと、五十三年八月に天皇は郡郷に詔(みことのり)して曰く「冀くば、日本武尊の征定された国郡を巡視する」そこで天皇は直ちに出発せられ先ず伊勢に行幸され、次いで東国に向われ九月二十日に当地に御着になり尊の奮斗の跡を封じて御親しく一社を建立し、日本武尊を奉祀し、御霊代として、草薙の剣を奉納されました。景行天皇五十三年九月二十日(平成十九年より1884年前)依って当月当日(九月二十日)を以って例祭日と定めて今日に及んでおります。その後草薙の剣は第四十代天武天皇の朱鳥元年(686年)に勅命により現在の熱田神宮に奉祀されました。

※「草薙神社参拝のしおり」より

草薙神社の見所紹介(写真をクリックすると拡大します。)

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草薙神社大鳥居

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草薙神社例大祭に打ち上げられる龍勢(流星)煙火

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境内入口

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境内入口にある由緒書

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鳥居

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日本武尊像

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御神木(大楠)樹齢千年以上

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手水舍(手を拭くタオルが掛けられていて助かります。)

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楼門

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拝殿

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拝殿奥の本殿

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大きな楠木に囲まれた境内

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日本平山頂近くの日本武尊像

劇画風でカッコイイ!