日長の里、という地名はあるわけではない。私の元勤務先近くのいつも散歩に行くあたりの字名が日長(ひなが)であり、のどかでちょっとひなびた感じのする光景から、私が勝手にそう呼んでいるのである。しかし他の人に言ってみると、全然違和感なく受け入れてくれるのでピッタリの命名と自画自賛している。
昼食もそこそこに会社を出て日長の里へ昼休みの散歩に出かけるようになったのは、会社に出向していた頃の後半、平成9年頃である。その頃はただ歩くだけ、1年に百万歩を歩くのが目標の毎日であった。
その目標を11ヶ月くらいで達成してしまったと記憶しているが、その後はしばらく歩かない日が続き、やがて出向を解かれて本体へ帰ったのであった。
その後2年経って平成12年7月に転籍を前提に再度出向してから、今度はゆっくり歩き直してみると結構鳥がいて、路端や広い敷地の家屋敷に四季折々の花が咲いていて、変化のある里と感ずるようになり、それからは双眼鏡を首からぶら下げて歩くようになった。
メモも取るようになり、読み返してみるといろいろな鳥の名前やちょっとした出来事が書き付けられている。この駄文はそのメモを元に、日長の里を紹介できればと思い、探鳥記かつ紀行文風を気取って書いてみたものである。
開発が進んでいる都市ならびにその近郊であるが、気をつけて見るとこんな自然が残っていることを分かっていただければ幸いである。
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