軟 腐 病

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 「軟腐病」とは園芸上では細菌による腐敗性病害の総称として使われている、ラン科植物を腐敗させる細菌は、わが国では2属8種類ほどが知られている。
 軟腐病は植物体のどこにでも発生する、細菌は植物上の傷口から侵入し易いので株の基部や葉から感染する例が多く見られる。
 病徴は最初は水浸状の斑点や斑紋を生じ、やがて褐色〜黒褐色に変色し腐敗する、時に患部より褐色の水滴が滲みだすことがあり、この水滴が潅水の時などに飛散し次の伝染源となる。
 細菌の種類によっては病気の進行が早く1日で株全体に広がり枯死させてしまう事もある。また、ランの種類によっても抵抗力が違う。

 
カトレヤの葉に出たもの
急速に広がり、水浸状になり独特の臭気を発し
褐色の水滴が滲み出すこともある
患部を切り取って水につけて絞ると切り口から褐色の汁液がでる。

 対策と防除方法
@ 植物の表面についた傷口から侵入、感染することが多いので、必要以上に傷をつけないようにする。
A 害虫による食害の後からの感染もあるので害虫駆除をしっかりとやる。ナメクジの体表には軟腐病などの原因となる細菌が付いてると考えられているので特に注意。
B 栽培管理に使用する器具類は清潔にする。
C 発病しやすい品種は窒素肥料の多用は避け、風の通りの良い場所に置くようにする。
D 発病した株はただちに廃棄するか、患部を被害の出ていない部分まで多めに切り取リ、乾燥させる。

 殺菌剤
 キノンドー (有機銅剤)・・・・・銅イオンが強い殺菌効果を持つことから古くから知られてる、細菌とカビの両方に対して予防効果を示すが、治療効果は期待できない。ナメクジやカタツムリに対して忌避効果があり、耐性菌が出にくいが葉の薄い種類やファレノプシスの一部の系統は薬害を生じやすい。散布後、黄色く残るので展示会に出品する株や花にはかけない方が良い。
 アグリマイシン (ストレプトマイシン剤)・・・・・浸透移行性があり植物体内での持続性もあるが、葉の黄化、奇形花などの薬害を生じやすい、耐性菌も出現してきてる。
 スターナ (オキソリニック酸剤)・・・・・ 細菌性の腐敗病に優れた効果があり薬害もほとんどない、残効はやや期待できるが、浸透性はやや低い、抗生物質剤の代わりとして期待されるが、過度の使用は避けたほうが良い。
 ボブコ20 (塩化ベンザルコニウム剤)・・・・・細菌とカビの両方に効果があるとされてる、調製後は速やかに散布する。薬害は生じやすく高濃度散布や高温時には、薬剤のたまった部分の葉の組織が破壊され、脱色することが有る。残効性はほとんどない。パフィオペディラムの細菌性の病斑が小さいうちに原液を患部に直接塗ることにより治療する方法が効果的である。――日本では農業用としての登録のない薬剤

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