疫 病

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 糸状菌(カビ)が原因の腐敗性病害。病原菌は水中を自由に移動し、健全な根の先端や地ぎわ部、または傷口から侵入するほか、灌水や雨のはね上がりによって葉やバルブなどから感染する事もある。
 病徴は初めに水浸状の小さな斑点を生じ、急速に拡大し、褐色ないし黒褐色から紫褐色になって腐敗し、時として白いカビを薄く生じる。被害部は病徴が相当進行するまでは軟化せずに原形をとどめる点が細菌性の病気と違う。
 この病気の発生には水分の影響が強く、雨に当たったり、水滴が長時間付着したままの状態のときに発生しやすい。
 疫病の発生は実際に多いが、病徴がきわめて細菌病に類以しており、とくにファレノプシスやパフィオペディルムなどでは区別が難しく、しばしば軟腐病と誤診されてしまう。

 
Den.ノビル系の葉に出た疫病白いカビが生じてる
Paph.の疫病

葉の地ぎわから発生する。

発病した葉は取らないでそのまま乾燥させる。

隔離して乾燥させると初期の場合、進行が止まる時がある。

 対策と防除方法
@ 水によって感染するので発病した株は隔離し、灌水時に飛散しないようにする。
A 葉の先などに発病したものは完全に削除する。
B 細菌病なのか疫病なのか区別をつけ殺菌剤を散布する。区別ができない場合は患部を切り取り透明な容器にいれた水の中で軽く絞り、切り口から濁った汁液(菌泥)が流失すれば細菌病によるもので、菌泥が見られなければ疫病か他の糸状菌によるもである。
C 殺菌剤を使用する場合は、予防薬か治療薬なのかを確認したほうが良い。
D ナメクジ類の食害痕からのはつびょうが見られるので、これら食害性害虫の防除にも努める。

 殺菌剤
 キャプタン ・ オーソサイド (有機塩素系殺菌剤・キャプタン剤)・・・・・多くの種類のカビに効果のある予防薬剤で薬害は比較的少ない。とくに疫病群に対する効果は高い。
  ダコニール (有機塩素系殺菌剤・TPN剤)・・・・・若干の治療効果は有るが基本的に予防薬と考えるべきである。安定性に優れ、残効も期待できるが、花弁や蕾につくと漂白、褪色するので注意が必要、また、高温時に幼苗や葉の薄い物に薬害を生じることがある。

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