6. 名鉄の車両

  名鉄の車両はバラエティーが豊かです。本支線を問わず、1500 V 全線区で車両の広域運用
が行なわれているので、特急専用車以外はあらゆるところに顔を見せます(一部線区を除く)。

  現在の特急の主力は、昭和63年(1988)登場の 1000系パノラマスーパー」です。白地に赤
帯のモダンな姿をして特急専用に運用されています。座席指定券「μチケット(ミューチケット)を必
要とする「特別車」があり、列車によって「全車特別車」編成と、一般車と混成した「一部特別
車」編成とがあります。「一部特別車」編成は、豊橋寄りの2両が特別車、残りは一般車です。

  特別車は 折り戸2扉、全リクライニング式クロスシートで、先頭車は流線型です。前頭部 ハイ
デッカー席は“パノラマ席”と称し展望がすばらしい。運転台は階下にありますが、位置がほか
の車両に比べて格別低いわけではなく、天井がやや低いだけです。運転士は両サイドの乗務
員扉から出入りします。

 
 1000系「パノラマスーパー」特急 ナゴヤ球場前駅付近 平成14 As
  写真は 6両編成の名古屋本線特急。手前2両が特別車で座席指定券(μチケット)が要りますが、
後方4両は一般車でμチケットは不要です。一般車をさらに2両増結した 8両編成も走ります。

 
「パノラマスーパー」パノラマ席の展望 As

  「パノラマスーパー」一般車(non reserved cars)の 1200系1800系は 編成の岐阜寄りに連
結されており、両開き引き戸3扉、全クロスシート車です。岐阜寄り先頭車は流線型ではありま
せんが、丸みを帯び、後傾させた一枚窓で結構展望がよろしい。

 
一般車の前頭 As


  空港アクセス特急用に 2000系2200系の新型車が、中部国際空港開港前から走り出しま
した。2000系「セントレア」は全座席指定車で、曲線通過速度を高めるための車体傾斜機能を
持っています。名鉄の場合は振り子式ではなく、左右の空気ばねに差圧を与えて傾斜させる機
構で、最大傾斜角度は JR振り子式の半分程度のようです。
  2200系は座席指定車と一般車の混成で、車体傾斜機能はありません。
  ともに前頭部が自動貫通幌付き。JR成田エクスプレス 253系に通ずる形態をしています。

    
青と白の塗り分けの
2000系空港特急
神宮前 平成17. 2 As
赤と白の塗り分けで、
一般車を加えた 2200系空港特急
神宮前 平成17. 2 As


  セミコンパートメント式の 8800系パノラマデラックス」、前面貫通式の 1600系パノラマス
ーパー」も特急専用車です。ただし、8800系は最近使用を休止しました。
8800系「パノラマデラックス」特急
神宮前 H14 As
セミコンパートメント式車内
H14 As

1600系「パノラマスーパー」特急
連続風の側窓が新鮮 知立駅 H14 As
1600系の車内
H15 As


  昭和36年(1961)に登場して私鉄界に名を馳せた 7000系パノラマカー」は、運転台を 2階に
上げて客席を最前部まで拡げた 好き者にはたいへん楽しい車です。最前部客席の天井は、上
に運転室がある関係でやや低くなっています。
  運転室は上に飛び出したカブースになっており、運転士は、車体外面に設けられたステップを
伝わって昇り、運転室側面の乗務員扉を開いて乗り込みます。非常用に、運転室の床を開い
て客室に降りる伸縮式階段が取り付けられています。

  運転室より前に出ている客室屋根が邪魔して、ホーム先の踏切など 車両の直前の状況が運
転士から見えないという問題があり、視野を補うため、客室屋根の前端に広角レンズが斜め下
向きに取り付けられています。これはこの車両の登場当時にはなく、あとから取り付けられたも
のです。
  前照灯は上に2つと下に2つあり、走行時は 4灯がすべて点ります。後尾になった場合は上2
つは消え、下2つが赤色に変わって尾灯となります。

  7000系に続き、低床式の 7500系、貫通式の 7700系なども作られましたが、7000系を含め
て新型車の増備とともにいずれも廃車されつつあります。

7000系「パノラマカー」急行 堀田駅
H15 As
前面展望を乗客に開放した名車
As
7500系「パノラマカー」の夜のシーン  As


  以上の車両にはミュージックホーンが付いており、主な駅の進入・発車時、通過時、見通しの
悪い踏切などで“名鉄メロディー”を奏でます。
  『 こら!どけよ、どけよ、どけよやーい』と聞きなすヘソ曲がりもいるらしいのですが、当館
長なんかには、
  『 ほら!乗りな、乗りな、乗りなよー』と聞こえます!・・・ゴマのすり過ぎ?


  昭和34年(1959)に登場した 5500系は、特別料金を取らない列車に冷房を付けた私鉄界初
の車両で、その優れた乗り心地で命脈を保ってきましたが、平成17年(2005)2月でついに廃車
となりました。
  その少し前の平成15年から、本車登場時のマルーンにピンクのツートーン(当館フォトギャラリ
ー参照)をはじめ、塗装を各時期の懐かしい色に復元させて本線・支線を走り回りました。

 
5500系の復元塗装車の一つ(淡黄地に赤帯) 金山 平成16. 5 As


  通勤車は、6000系6500系3100系3500系3700系5300系5700系などとバラエティ
ーに富みます。これらに加えて、ステンレス車体の 3150系(2両編成)と 3300系(4両編成)が
このほどデビューしました。
  ただ、スタイル優先のためか 非貫通式が多く、併結時に乗客や車掌が移動できないうらみが
ありました。最新の 3150系3300系は貫通扉付きです。

   
  3500系6連通勤型車の急行 名古屋本線乙川橋梁 平成15 As

 
ステンレス車体の新通勤型車 3300系 名古屋 平成16.11 As


  本線には顔を見せませんが、豊田線・犬山線から名市交鶴舞線(地下鉄)に直通する 100系
は名鉄初の 20メートル・4扉車です。また小牧線・上飯田連絡線用 300系は これまでにない淡
い色彩で異色を放つ新車です。
  なお、岐阜市内および近郊線には、連接車、複電圧車など珍しい電車が走っていましたが、
平成17年3月末をもってこれらの線は営業終止となりました。

100系通勤型車 6連 豊田市駅 平成15 As
300系通勤型車 犬山駅 平成15 As
770型連接車 新岐阜駅前 平成17 As
800型複電圧車 関駅 平成17 As

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