名鉄豊田線のあらまし

  名鉄豊田線(とよたせん)は、名古屋市とその東方の豊田市(とよたし)とを結んでいる
都市間鉄道です。開通は比較的新しく、昭和54年(1979) 7月で、当初から名古屋
市営地下鉄鶴舞線(つるまいせん)と相互乗り入れしています。

  豊田線は正確には、名市交鶴舞線東部終点の「赤池(あかいけ)から、豊田市中心部やや北寄
りの名鉄三河線「梅坪(うめつぼ)までの 15 km です。しかし、列車は鶴舞線内から豊田の中心駅
である三河線「豊田市(とよたし)まで直通していますので、名古屋の中心部―豊田の中心部間
の約 30 km をひと続きで結んでいます。

  名市交鶴舞線の他端は名鉄犬山線(いぬやません)上小田井(かみおたい)で、そちらでも相互乗り
入れをしています。実際、3線直通の列車もあり、愛知県中部の豊田から、同県北部、木曽川
沿いの観光地・犬山(いぬやま)まで乗り換えなしに到達することができます。

 
豊田線・(地下鉄)鶴舞線・犬山線の相互乗り入れ状況

  豊田線は開通当初から全線複線で、1500 V DC 電化、CTC化されています。全般に丘陵地
のため、線路のアップダウンはかなりあり、35 ‰ に及ぶ勾配もあります。しかし、車両にパワ
ーがあり、道路とは立体交差で踏切は一切なく、線形もよいので列車は快調に走ります。最高
許容速度は 100 km/h のようです。

  使用されている車両は 100系と称し、相互乗り入れの名市交 3000系と仕様を合わせて造ら
れた 当線専用車です。この 100系は名鉄初の 20メートル級通勤型電車で、4扉・前頭部貫通式
で、高加減速性能を持ち、回生制動を常用できます。
  開通当初は 4両編成でしたが、その後、鶴舞線ともども 6両編成に増強されました。そのさ
い、名鉄は 100系200型を追加し、名市交は 3050系を追加しました(ともに VVVF制御車)。

名鉄 100系6連  豊田市駅 平成15 As
名市交 3000系6連 黒笹付近 平成14 As

  豊田線内の運転頻度は 昼間帯1時間当たり4本で、すべてが鶴舞線と直通します。鶴舞線
内では、当然、線内折り返し列車が頻発しており、その半数程度の列車が豊田線に出てきます
(昼間帯。通勤時間帯は線内折り返し列車がさらに多い)。

  豊田線を走るのは赤い名鉄車ばかりとはかぎらず、銀色の名市交車も結構多く、逆に赤い名
鉄の車両が鶴舞線内折り返し運用に就いていることもあります。なお、赤・銀混結列車はあり
ません。

  一方、鶴舞線から名鉄犬山線への直通列車は時間2本程度で、大部分は犬山行きですが、
一部は柏森または岩倉止まりです。
  なお、犬山線内は、名鉄本線その他と直通する列車が多数走っています。

  当線は全列車が各駅停車のため、名古屋中心部−豊田間が約45分かかり、通して乗ると、
たび重なる発進停止が煩わしく感じられます。しかし、今のところ豊田線・鶴舞線を通して追い
越し設備がまったくないため、急行運転ができません。高加減速車両を使用することで急行が
ないことを補っている形ですが、利用者の立場からするとその実現が待たれます。


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