6. 愛環の今後

(1) 新駅・改良駅

  平成17年(2005)3月に以下の各項が実現しました。
  ・「愛環梅坪(あいかんうめつぼ)駅を 新豊田〜四郷間に開設。
  (ここは名鉄三河線「梅坪」駅に近いが、300 m ほど離れています。)
  ・同日に「貝津(かいづ)駅を 四郷〜保見間に開設。
  (ここは中京大学豊田キャンパスに近い。)
  ・JR中央本線と連絡する高蔵寺駅を、相互乗り入れ可能な配線とした(「現在の路線」の項
の路線図を参照)。
  ・「八草(やくさ)(、万博会場への最寄駅)に愛知高速交通東部丘陵線への連絡通路を新設
しました。
 
万博八草駅  平成17. 2 As
左に見える屋根付き通路の先に東部丘陵線「リニモ」ののりばがあります。
 
  愛知高速交通東部丘陵線は、名古屋市営地下鉄東山線の東端「藤が丘」から
万博へのアクセスのために建設された常電導リニアモーターカー路線です。
同線は会場を貫いて「八草」に達し愛環からの連絡線の役目も果たします。

(2) 今後の課題

  愛環鉄道沿線の岡崎・豊田・瀬戸・春日井はいずれも名古屋の衛星都市です。中でも豊田は
昭和初期にトヨタ自動車が立地して以来、人口が大幅に増加した産業都市でもあります。した
がって、沿線人口は結構多いというものの 分布が散漫であり、しかも各都市から名古屋方面
への交通需要は多いが、当線が結ぶ衛星都市相互間の交通需要はさほど多くないのが実情
です。

  統計上の人口は大きいのに 分布が散漫ということは、当線を利用しやすいような位置に住ん
でいる人が限られているということで、トヨタの分工場や協力工場も広く分散していることもあっ
て、通勤、買い物、会社工場間の人の往来などについて 鉄道への依存度はあまり高くはあり
ません。また、各都市では納涼花火大会・市民祭り・せともの祭り・サッカー試合などのイベント
があるものの、テーマパークなど定常的な集客スポットは沿線にはありません。
  また、交代制勤務の工場が多く、出勤・退社時間が鉄道の営業時間を外れてしまうことも鉄
道通勤をしにくくしています。

  したがって当線は、位置的・時間的に利用可能な通勤者、中高専大の通学者に多くを依存し
ています。沿線居住者等の散発的な利用もありますが、もしも沿線居住者が稠密であれば“散
発的”な利用といえどもその人数が多くなり、しかも時間的に広く分散すると期待され、乗車率
の底上げにつながるところなのですが・・・。

  しかし近時、交通渋滞の激化とともに通勤者の鉄道利用も次第に増加するとともに、沿線に
大学がいくつも立地したことと相まって学生の利用も増加してきました。
  両端駅および中間で連絡する各線へ/からの利用も活発になってきています。

  最近は列車本数も増えてきて、現在は 1日58往復(一部は区間運転)、昼間帯で 20分間隔に
なっています。これに加え、万博期間中は高蔵寺側から入る JR直通列車「エクスポシャトル」
が 1日40往復あります。

  三セク移行後の経営はおおむね黒字を続けており、三セク転換線としては全国的に見ても成
績は良い方です。

 
愛環鉄道・TKJ城北線の位置

  最初に記した「瀬戸線」構想は、JR中央本線「勝川」(かちがわ)から東海道本線「枇杷島」(びわじま)
までの東海交通事業(TKJ)「城北線」(じょうほくせん)として実現しており、単線、非電化で、1日26
往復のディーゼル列車を走らせています。
  なお、勝川ではまだ両線がつながってはおらず、城北線ののりばはだいぶ離れています。し
かし、勝川駅の高架化に合わせて総合駅化される予定です。

  もしも城北線も電化されれば、中央本線を経由して愛環線から城北線に直通することは技術
的には可能と思われ、さらに東海道本線を経由すれば“環状”運転も可能と思われますが、そ
のニーズがあるかどうかは疑わしいですね。(このような環状運転を行なったとすると、現配線のままで
は岡崎駅でスイッチバックとなり、一巡するたびに車両の向きが反転する不具合があります。)
  なお、城北線を愛環に併合する計画はまだ聞きません。

  2005 愛・地球博のため、高蔵寺駅にJR中央本線/愛環 相互に列車が直通できる配線
改良工事が行なわれ、万博開催を控えた平成17年3月から長編成の列車が「エクスポシャト
」として名古屋から愛環「万博八草」まで乗り入れるようになりました。これにより名古屋から
中央本線経由で乗り換えなしに「万博八草」に到達でき、そこからリニアーモーターカーの東部
丘陵線に乗れば数分で長久手会場に入ることができます。

  以前から話題になっている首都機能移転先として、当地区(愛知県中部)は太平
洋ベルト地帯の中央に位置し、気候温暖なことなどに加え、すでに新幹線・在来
線・高速道路等のインフラがよく整っていることから最も有力視されている地域で
す。
  もしもこれが実現の暁には、当地方の交通体系についても 空港、鉄道、道路を含
めて総合的な整備充実が図られることになるでしょう。

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