No.8 スキンヘッドの嘆き

小倉 寛

オラの寝言も、作務衣を纏ったジサマのしぐさを、巧みに捉えたウィットに溢れたエラストに支えられ、前回も恙無くクリヤすることができた。

その反響で、久兵衛どんの庭を尋ねて、ジサマに接見して見たいと、遠方から遥々訪れる、月刊キャレルの愛読者の、麗人達が増えていることに、驚いている。

ジサマもバサマも、その訪れた方々に、折角遠方から、お出かけ戴いたのだから、是非にと誘って、茶の間に招き入れ、庭で採れた山菜料理をお茶菓子代わりに、お茶の接待に努めている。という訳で、今月はヘンテコなテーマに切り替えることにした。

このほどジサマは、トレードマークのスキンヘッドを、更に高揚させるべく、武州本藍染め作務衣を調達して、専らそれを纏って行動していたが、何時も同じ作務衣ばかり纏っていては、沽券に拘わるとバサマの計らいで、和服のアンサンブルを解いて、作務衣に仕立て直した。生地が少し上等なので、ジサマは気を良くして、それを纏って近くの大型スーパーに入った。

目当ての商品が生憎、品切れであったので、取り寄せを女店員に頼んだら、奥から店長が、揉み手をしながら、やってきて、生憎の在庫切れの不手際を詫びた後、どちらのお寺様ですか?と来た。

咄嗟の問いにジサマは少しも怯まず、泰然自若に構えて、騒動衆極楽爺と答えた。店長は、ジサマの人品卑しからざる風貌と、人生修行の阿吽を極めた立居振舞えに、曹洞宗極楽寺の住職と早とちりした風情である。さもありなんと納得した面持ちで、頷いたのでジサマは、してやったりと、密かな快感を覚えたそうである。

時は過ぎ星は流れて、ジサマのスキンヘッドは益々輝きを増し、インターナショナル・スキンヘッド・ソサイテイの組織を立ち上げる御仁の現れることを切に願っているが、いまのところその兆しは全くない。

むかし禿頭コンクールを立ち上げたテレビ局があったが、スキンヘッドは剃れば誰でもすぐ変身できるから、コンクールは意味がないし、視聴率も稼げない。…… ジサマがスキンヘッドに変身してから18年の歳月が流れた。以前は2ケ月に一度はバーバーに通っていたから、通算すると約100回分の整髪料が浮いた勘定になる。つまり一回分を4000円支払う計算すると、40万円を超す金額になる。バサマと二人で大威張りでハワイ旅行に行ける額になる。ドッコイ、通帳の残高にそれが見当たらない、バサマが臍食ったのではないかと尋ねたら、馬鹿もやすみやすみ言えなさいと喋られた。

ところで数年前、トンデモナイの御仁が現れ、テレビや新聞で巷を騒がせたことがあった。詳しく説明すると諸賢も思い出す事件であったが、ジサマにとっては、もっとも不愉快な思いに駆られた、鬱騰しい日々であった。

渋谷某という占い師が、催眠術を用いて11人のうら若き女性達と、オットセイもどきにハレムを形成して、世間をアッと驚かせ、反面、多くの羨望の声も上がった事件であった。

因みにジサマが、ヤフーの百科事典マイペイディアで検索すると、ハレムとは、雌集団の集まる場所に、雄がなわばりを形成することによって形成され,なわばり雄が、大部分の交尾を独占する。とあった。まさにそのと通りの状態の事件で、被害者のない事件であった。

当局に渋谷某は逮捕されたが、彼女達は、進退自由に置かれ、いつでも逃亡できる状態にあり、監禁された状態ではない。しかも時々平等に、不公平のないよう彼女達とシトネを併せ重ね、慰めて貰ったご様子である。検察当局としてもマスコミに騒がれて、及び腰で一旦逮捕拘留したものゝ、立件に至らず、罰も受けずに訓戒指導程度で、釈放された模様であった。

ジサマにとっては、甚だ遺憾至極、残念なことには、こともあろうに奴も同じスキンヘッドであり、崇高にして清純なスキンヘッド族の品位を汚し兼ねない不浄人物の出現に、テレビに放映される都度、ジサマとっては肩身の狭い思いに駆られ、いまわしい嘆きの事件であった。

いまはホトボリも覚め、平常に戻ったが、当時は、口惜しい遣る瀬無い日々であった。……。

……次回(第九回)のお知らせ!

水辺に咲く植物の巻・(花ハス)を掲載いたします。久兵衛どんの庭は、悠久ロマンを奏でる「大賀ハス」の純血種を栽培して、季節には華麗な花が咲き乱れていましたが、このハスを栽培を希望方々に無償で提供いたします。

花ハスは、池がなくとも容器栽培でも見事な花を迎えることが可能です。

大賀ハスは、弥生時代の地層から出土したハス種を発芽させた「大賀ハス」純血種です。十日町市の元市会議員の半間正氏がハス研究で世界的有名な大賀博士に半間氏のお人柄を見込まれて委託され、48年間の永い長い歳月を純潔種の保存、育種に貢献した大賀ハスの歴史に残る美談があります。久兵衛どんの大賀ハスは、この半間先生の志を継承して自宅の庭の池に移植して、約20年間管理栽培した純潔種です。このほどこの大賀ハスの純潔種を無料進呈いたします。

昨年、ホームページに掲載したら、全国から五人の希望者が申し込み頂き、秋には夫々見事に咲いた写真が送られてきました。

中でも千葉の成田市の方は、地域の方々に呼び掛け、休耕田を利用して、600坪の「大賀ハス」の池を造り、見事に開花いたしました。

このようにジサマは、人知れず密かに、夫々の地域の方々と親交の輪を広げ環境の美化に寄与する運動を展開しているのです。

今春も新たに数人の方々が花バス栽培に挑戦する予定です。

勿論、栽培ノーハウもジサマが教えます。……

申し込みは garden-niigata@lemon.plala.or.jp メールでOK

TEL025-772-7445 FAX 025-772-7666エア

……お知らせ パート2、…

只今、久兵衛どんの庭はノーゼンカズラのポール仕立30本が7月初旬から豪華絢爛、満開になります。ノーゼンカズラは害虫を寄せ付けず、栽培に手数がかからずお勧めの花木です。夏枯れの炎熱の時節に3ヶ月も咲き続けるノーゼンカズラは圧巻です。

苗を無料進呈いたします。

申し込みは TEL025-772-7445  FAX 025-772-7666でOK。

注、月刊キャレル2009年8月号に掲載の記事を一部補足し転載いたしました。

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