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16DBAANI04.GIF - 1,308BYTESブーツのフルオーダーに踏み切ったきっかけ

ダイジロウの脚の骨格は、内股、X脚、と
およそスキーに向いていません。
そのため、過去にスキーブーツのオーダー時に、何とかならないか
相談したことがあるのですが、そのときはどうにもなりませんでした。
とにかく、痛くないようにフィットさせて作ってくれたわけです。
※このときのブーツはロシニョールのDEMOモデルでした。
(当時黄色いレーシングモデルが有名)
したがって、練習はするものの、なかなか指導者の思うとおりの
運動ができずに長い間苦労してきました。
1級はなんとか取得したものの、あれから早10年、
大きな壁にぶち当たって全く先に進めません。
ところが、近年スキーを教わっているS夫妻のご主人から、
「ブーツ変えると良くなるのになぁ・・」という、信じられない話を受け、
でも信じられないので他の人の状況を睨みながら迷いましたが、
ブーツに対する積年の不満から作ってみることにしました。
 

16DBAANI04.GIF - 1,308BYTESそのお店はどんなお店?

お店の名前は知る人ぞ知る「森スポーツ」
神奈川県橋本市にあるお店です。
又聞きの部分が多いので正確ではないかもしれませんが、
スキーブーツで合うのが無くて仕方なくチューンをはじめたが、以来その道ウン十年、
スキーブーツのみならず靴、サンダルのインソールで体を調整する技術が
高い評価を受け、多くのアスリートが頼ってくる存在となっているようです。
今では、関西や千葉などにこちらで修行を積んだ方のお店もあるようです。
ちなみに完全予約制です。
日本各地から、スキーの国体選手や、ダンスのインストラクター、はては美人女優のS・Kさん、
などがしばしばおとずれるとか・・・
お店のHPはこちら(2007.9.15)
 

16DBAANI04.GIF - 1,308BYTESでは早速お店に向かうと

まず、予約を取ったうえで、脚(足ではありません)を見るため、短パンを用意して、
お店に向かいます。(忘れても借りれます。)
脚全体の癖や動き、骨格を確認してもらうと、右足を強く捻る癖があり、左右バランスが
悪いので、無理にがんばってしまった脚だとのこと。
「早く来ればよかったのにねぇ・・・」(誰しもそんなものでしょうが)
また、血行が悪くおなかが冷えやすいので冷たい飲み物(ビールなども)控えたほうが良いそうだ。
(とはいっても・・・ねぇ)
ともかく、上で書いたように、普通の成人男子とはかけ離れている脚なのですが、
難しい脚に出会うと、とてもうれしいようで、さじを投げられないでよかったというのが印象。
ただし、できれば少し準備期間をとって、脚を調整してからでないと、せっかく作ったブーツが
すぐに合わなくなる恐れがあるということで、日常の靴の調整から始めることにしました。

16DBAANI02[1].GIF - 1,301BYTES準備段階

ということで、靴に入れる中敷「バイオップ」を作ることにしました。
これは、土踏まずから踵までのプラスティック製の板状のもので、
様々な形のものから選んで購入し、自分の靴に入れて使います。
・バイオップ

 ごらんのように、その人に合わせて凹凸をさらにいじっています。
写真の白い部分が調整した部分で、脚の状態を見ながら決定します。
ダイジロウの場合は、バイオップの上に立って、白い調整部材を
仮置きしている段階で、頭から体から汗が一気に噴出し、意識が朦朧となりました。
中にはこのときに気絶してしまう人も居るとか・・・
・靴にセット
実際に靴にセットするとこんな感じです。靴のほうも脚の状態に合わせて、
バイオップとあわせてBESTになるように調整がされています。
持ってる靴は全部持ち込んで、後日調整してもらいました。
なお、靴を新調すると、また予約して調整を入れてと結構大変です。
でも脚がどんどん変化するので、それに合わせてバイオップの調整も時々しないと
いけないのでやるときは全部一緒にやってしまいます。
・サンダル

会社の屋内履きにはサンダルを使っていたのですが、
それに代わるものとしてこちらのタイプのサンダルを使っています。
こちらは中敷に直接調整部材を取り付けています。
このサンダルは、個人に合わせてきっちりと調整して作るのに最も適したものに
なっているとの事で、森社長のお気に入りのイタリア製サンダルがベースです。
上の写真はうちの奥さんのもので、屋内用と屋外用(写真のもの)を2足持ってます。
正直、結構高いです。
実は、このサンダルを某女優さんとうちの奥さんが取り合いになりまして、
脚のサイズは同じなんだ、と感動したものです。
 
ともあれ、これらの靴を使って、まずは大まかに脚の状態を安定なところに
もって行きます。
半年もすると、土踏まずのアーチが形成されてきて、また外反母趾が弱くなってきました。

 

ブーツを作ろう

さあ、長らくお待たせしました。ようやくブーツをつくります。
靴を作ってから数ヶ月後に再び訪れました。
皆さんや、うちの奥さんのように、それほど脚がひどい状態でなければ、上記の準備はおそらく不要です。
●シェル選び
さて、まずはシェル選びからです。
人によっては「ラング」が良い、「レグザム」じゃなきゃ・・・などと
こだわりがある方も居るかと思いますが、ダイジロウの場合は足に合えば奇跡です。
なので合うものを探してもらうしかありません。
今回は、HEADのXSで、型の古いシェルを選びました。(
2005モデル)
なんでも新しい(
2006モデル)は使いにくいそうで、旧モデルの在庫がなくなると
正直困ると言っていました。
まずは足型を取って、足にあわせてブーツを変形させるシェル出しを行います。
基本的には従来のシンデレラフィットと同じですが、最終的なインナー、インソールでの
脚の調整を踏まえて形を決めていくのが大きな違いでしょう。
シェル出しは、樹脂が徐々に戻りやすいので、しっかりと安定するまで時間をかけるため、
シェルについてはこの日はここまで。
もちろん、カントやその他もろもろの調査、調整事項はここでチェックされます。
●インソール
さて、シェル出しにつづいてインソールです。
インソールとフォーミングインナーはおなじみ「シダス」です。
インソールは靴のインソールの要領で、脚の状態と、どのような運動ができるようにするかを
考慮して凹凸を形成します。このとき、足裏の圧力分布も把握しながら進めます。
ダイジロウはもちろん、X脚と内股の補正が最大のポイントです。
なじませるだけでなく、運動を引き出すので、バイオップ以上に複雑な形状です。
(もとの製品の形はあまり残っていない。あくまで土台として使っている感じです。)

●インナー、フォーミング
シェルが安定したころあいを見計らって、再びの訪問です。
最後の仕上げにフォーミングを行います。
ここまでくれば、後は特別な工程ではないと思います。
いわゆる2液混合のウレタン系のフォーミングです。
そして出来上がったのがこちら。
外からではなにもわからないと思いますが、中は激しい凸凹の世界です。
そして、このブーツを履いているときは、ひざが真っ直ぐ入ります。
今までとはまったく違う感覚です。
そう、こんなブーツを待っていたんですよ。
生まれて初めてコンタクトをして、「みんなこんなに見えてたんだ」と思うような感じです。
高いだけのことはありました。(あとはゲレンデでどうかですね。)
●注意事項
間違ったはき方やメンテナンスをすると、ブーツが崩れてしまうので、
注意事項をしっかりと教わります。

(履く手順、踵の収め方、保管時の注意、etc.)
この注意をしっかり守っていないと、いくらごまかそうとしても
ブーツがしっかりと語るので、バレバレになるとか。(そして怒られる?)
しかし、ほんと脱ぎ履きは超大変です、このブーツ。
といいますか、ここで作ったブーツはきっちり履いたときがBESTなので、
おそらく皆さんそうだと思います。
特にブーツが冷えてしまうと履ける気がしないので、部屋の中や、後部座席などで
あらかじめしっかりと暖めておくのがコツです。
(ここで作った人々が多い集まりでは、スキー宿でのブーツ履きは大騒動です。)
 

さあ、いざスキーへ

スキーブーツオーダー体験記、いかがだったでしょうか?
ダイジロウはこの後の
2005/2006
シーズンは、従来と全く異なるシルエットの
滑りになりました。
あの膝下が割れる特徴的なシルエットで私を記憶している方は、もう見つけられないでしょう。
(たぶん・・・) ウェアも再び変わりますし。
まだ、ねじり癖は残っていますが、徐々に効率の良い、シンプルな動作を主体とした
滑りに移行しているところです。
ここから先は、「スキー上達への道」の方でご紹介したいと思います。


    ●メンテナンス記録
      ちなみに、2006年8月にメンテナンスに行ってきました。
      皮靴、ランニングシューズを新調したのと、スキーブーツの調整のためです。
      シーズン中は、とてもフィット感がよく、問題は全く感じられませんでしたが、足は常に変化し続けるので、
      定期的な確認は必要です。
      今回は、特に問題なく微調整だけお願いしました。
      ブーツの扱いでの問題点の指摘もなかったのでほっとしました。

 

最後に

近年、ようやく整形外科の領域でも、靴から見なおす治療が注目されてきました。
フィットするだけでなく、外反母趾や、様々な障害を克服する試みです。
ただし、病院がどの程度の力量があるのかは不明です。
なぜなら実績や経験が十分とは考えられないからです。
もちろん、効果も官能的なところが多いので、評価も難しい部分は否めません。
病も気から、プラシーボ効果のような側面もあるかもしれません。
でももしあなたが、スキーの滑りを変えたい、脚の調子が悪い、骨格上できない操作がある、
脚から健康を見直したい、とお考えならば、今回のようなオーダーを
候補のひとつに挙げてはいかがでしょうか。
なお、ブーツを変えればスキーがうまくなるわけではありません。
いままで出来なかった(やりにくかった)運動が出来る可能性が高まるだけです。
従って、どう動けばよいのか、どう動きたいのか、が判らない方はしっかりとそれを指導者から
学ぶことが重要です。

   つづいては、TSUMAの2足目体験記へ「Go」