丸山流文章作法(2006.7.9)


インターネットのあるページに書いてあったものを、
そのまま紹介。
「丸山流文章作法です」という紹介で始まっています。
丸山健二さんのことです。


【 作家の作法・・・・・茶の湯の作法・・・・・ 】

1,作家を志す者は、「まず書き始めること」。一作目は、半年から一年かけてもよいので、
百枚前後の小説にトライすること。そして、一日に2、3時間は必ず書くこと。それも8時間熟睡したら、
さらに2時間後から書き始めるのが望ましい。但し、最終段階に入った場合は、ひたすら小説に没頭し、
5時間でも十時間でも書くこと。集中力と持続力、それに徹底性、書き上げてみせるぞとの強い意志こそが
重要なポイントである。

2,細部は後回しとし、書き始めたら、絶対に後ろを振り向かぬこと。自己嫌悪に陥ったり、
細部に拘るあまり、全体を見失うからだ。

3,会話は少なく、短く、出来れば会話に一切頼らぬこと。説明的過ぎる文章は極力避け、完成したら、
最低七回は「書き直し」
(推敲)すること。

4,この段階では他人の小説を読んではならない。自信喪失か自惚れの、どちらかに陥るからだ。

5,一作目は「引き出しにしまい」直ちに2作目にかかること。

6,ノートを何冊も用意し、自分自身の「閃き」をはじめ、広告、看板、チラシ、案内板、
雑誌、テレビやラジオから流れてくる言葉、同僚の会話、酔っぱらいの罵倒、等々世間に氾濫する
ありとあらゆる言い回しや、見た夢などについて、その都度書き取っておき、
時間的余裕があればそれらの言葉や言い回しを自分の表現で書いてみること。

7,人間は何故生まれ、あるいはどう死ぬべきかといった普遍的テーマに挑戦し続けること。

8,この段階では、今書いている小説について、友人、妻、恋人、両親、兄弟に見せたり話したりしてはいけない。
せっかく高まったエネルギー、創作意欲が漏れ出すからだ。

9,友人を遠ざけ、職場の同僚とも一線を画し、自分を孤立無援状態に置くこと。
芸術を扱うとは、要するに魂の問題に触れることゆえ、幸福や安定に近づくほど、
人はそれから離れるからだ。真に救済の文学を目指すのであれば、孤独に立ち向かい、
孤独をねじ伏せ、孤独を超越せよ。自分以外の力を当てにするな。不安、怒り、孤独感、
哀しみの突き抜けた彼方に、文学の手つかずの鉱脈が横たわり、、未踏の山々が聳えているからだ。
自閉的ではなく前向きの「個」、前向きの「弧」たれ。

10,三作まで書いたら、その中の自信作を新人賞に応募すべし。但し、その結果を待つことなく
少し長めの四作目に、ただちに取りかかること。
然し、結果はどうであれ、若し選ばれなかったとしてもがっかりする事はない。
あなたが目標とすべき書き手はあなた自身で有ると考えること。

11,担当編集者を過信すべきではない。芸術に関する興味や関心などは皆無なサラリーマン的編集者が圧倒的だからだ。

12,本物の書き手は、勤め人とは正反対の生き方をしなければならない。
安定ではなく、不安定、、秩序ではなく混乱、集団ではなく個人、協調ではなく独行、妥協ではなく反抗、
つまり反社会的存在であること。
その立場に立ってこそ普通では目に見えぬものが見え、葛藤生じ、書くに値する、読ませるに値する火花が飛ぶからだ。

13,老いて収入が減り、入院する金もなく、墓を作る金もない時は、清く野垂れ死にすること。
借金をするくらいならアルバイトをすべし。

14,妻を働かせてはならない。また、妻が「あなたの生活についていけない」と言うのであれば、
離婚すべし。作家とは仕事と呼べるようなものではなく、異常な仕事だからである。

15,締め切りは編集者ではなく自分で決めること。締め切りに追われて書くのではなく、
納得のいくものが書けたら読んでもらうという意味だ。

16,文学を誰よりも軽蔑しながら、誰よりも創作に没頭する心の在り方こそが、書き手の基本姿勢であり、
小説に集中し、没頭していること自体、奇行の最たるものゆえ、それ以上の下らぬ真似をする必要はない。

17,精神力、体力の自己管理には留意せよ。酒は絶ち、仕事の前後に食事をし、
それも日に二度が望ましい。カロリーが高く消化の良いものを。

18,権力と権威に近づくな。

19,出来ることなら、「連載」ではなく「書き下ろし」が望ましい。

20,最後は手書きかワープロかの話しだが、丸山は「手書き」を薦めている。


http://blog.livedoor.jp/kazekaoru/archives/cat_393661.html
より拝借。
今回は、ただ感動したので、原文を載せさせてもらっただけです。
それにしても、プロはすごいですね。


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