病院食(2007.11.2)


 
女房が言った。「お父さんの家系はみんな料理が好きやね!」
私は、釣ってきた小魚をさばく程度で、進んで料理はしないが嫌いな方では無い。
私の長兄は、余暇を利用し寿司屋でしばらく働いていた経験もあり、
サラリーマンでありながら、調理師免許を持っている。

私の息子であるが、今年の春、2年間の料理専門学校を卒業し
福岡県の久留米市にある中華料理店に就職し、日夜しごかれて頑張っている。


話は変わるが、歳も50を越えると、同僚や先輩がいろんな病気でよく入院する。
胃潰瘍で2ヶ月とか、心筋梗塞で1ヶ月とか、心臓病で3ヶ月とか・・・・・・
 「XXさんが、○○で入院したらしかよー」 と聞けば、
   『そんなら、ちょろーっと見舞いに行かにゃんねー』 とばかり、
仕事が終わった夕方、2、3人で入院先の病院へ見舞いに行くことになる。

見舞いに行くと、時間が時間なので、必ず入院患者の夕食が運ばれてくる。
そろそろ帰ろう、と言いながらその夕食のメニューを見ると、病院関係者の方には悪いが、
 薄暗い病室で、何週間もほぼ寝たきりの入院患者さんなんだから、
  もう少し、ましなものは無いのかしら と思うほど見すぼらしい夕食である。

  これじゃあ元気も出んでしょう という言葉をぐっと飲み込んだりする。


【 病院食とは、こんな感じでしょうか  】

よくよく考えてみると、糖尿病の患者に豪勢な料理は出せないだろうし、
ほとんどが塩分を控えるとか、消化の良いお粥が中心とか、制限食にならざるを得ないのだろう。
外科的な怪我だけの患者なら、食事制限は無いので精の付くものをどんどん食べてよし!という患者もいるだろう。

しかしながら、患者さんの入院費を少しでも抑えるために、料理される方々の苦労も並大抵のものではないだろう。
そんな色々な事情で、今あるような病院食にならざるを得ないのだろう。

そうは言いながら、これからは高齢化社会であります。
行く先短い入院患者のために、食事くらいはパーッとした元気がでるような、メニューが出せないものか。
 
 「あそこの病院の入院患者用の食事は、一流の料理人が素晴らしく新鮮な材料で造るのですごくおいしいらしいよ!」
 『そもそも、お盆や食器からして違うらしいよ。味気のないプラスチックじゃないらしいよ。
  お盆は輪島の漆塗り、皿も茶碗も魯山人風の素晴らしい器だし、料理も器に調和してすごく美味しいらしいし・・・』
そんな評判の立つような病院食は出来ないものか。可能な限りでの話しだが。

そんな理解のある病院で、入院患者みんなが元気になれる素晴らしい病院食が食えるような、
そんな料理ができる料理人にならんか!と、料理人の卵である私の息子に期待している。

息子よ!なあーに、まかしとけ!
魚だけは、お父さんが退職したら、毎日釣ってきて
鯛でん、ヒラメでん、キスでん、アジでん、ミズイカでん、何でん、みーーんな、タダで提供しちゃるけん!

息子は言った。
 「そいが、いちばんアテにならん!!」


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