日常私ども司法書士がその手続をもっぱら担当している不動産登記は、
簡単そうに見えても、実は大変な実力の持ち主? なのだという話をしたいと思います。
紺屋の白袴って言葉がありますが、これは実は私自身の体験談です。
平成10年のことでした。私は静岡県榛原郡榛原町長から一通の通知書を受け取りました。
その「通知書」には、「区画整理にともなう土地の測量が終了したので確認してもらいたい」と書かれています。
私は静岡市に居住しています。榛原郡榛原町には、昔、祖先の墓があったということはありましたが
現在なんの関わりもありません。まして不動産を所有したことなど全くありません。「それなのに何故?」
早速電話で問い合わせました。その結果分かったことは? なんと私が榛原町静波地区に約90.000uの土地の
所有者だというではありませんか。 「間違いでしょう」 という私に係りの人は私の曽祖父の名をあげ
「先生はこの方の相続人でしょ」というのです。
確かに私は、家督相続を4代繰り返した結果ではありますが、まさしくその人の相続人です。
驚きました。しかし考えてみてどうしても腑に落ちないことがある。
それは何故これまで固定資産税がかかってこなかったのかという疑問です。
登記簿を調べて見て分かりました。その土地はなんと52人の共有地だったのです。
代表者が税金は納めていたのでしょうが、それにしてもこれは驚きでした。
祖父がその土地を取得し登記したのが明治32年10月のことでした。
それから107年間、ずっとほったらかして、というより忘れ去られていた登記です。
それなのに登記簿は、所有者たることを守り続けてくれていた!
どうです? 登記ってすごいでしょう。
本人は全く知らなくても、またタッチしなくてもその権利をずっと保護してくれているのです。
改めて登記ってすごいなと思った次第です。