そして女は→                                         戻る
  テレビ画面

司会者「女性ばかりの探偵社を立ち上げられたのには理由があるのですか?」

女「女性の柔軟な発想と緻密さは調査に向いているのです。

  ボランティアで始めたことなのですが、警察に任せていられないという人

  が本当に多くて、会社にしました」

    司会者「仕事はハードではないんですか?」

 女「OLとそんなに変わらないですよ。ただ、精神的にハードなこともあります。

時には真実を知るということはむごいことですし。しかし、

  真実を葬り去ることはもっともっとむごいことなのです」
 


そして男は→  成田空港 到着ロビー

 男がゲートを出たところで刑事が近づく。

  男「おっ!あなたはあの時の刑事さん!珍しいところでお会いしましたね!」

 刑事「あなたを待っていたのです。あの事件について署までご同行願いますか?」

  男「弟のことでしたら、弁護士のところに行って下さい」

    刑事「重要な見落としがありましてねぇ。弟さんを釈放して再捜査してるところです」

男「えっ?重要な見落とし?」

刑事「事件当日あなたは会社で残業していたとおっしゃっていましたね?」

男「えぇ。確か、書類見せましたよね?」

刑事「あの時間 丸の内一帯は停電だった筈です」

男「本社で残業したとは言っていませんよ」

刑事「じゃぁどこで?」

男「新宿支店」

刑事「そこも停電だった!」

男「ちょっと待って下さいよ!私が容疑者という証拠はあるんですか?」

刑事「たった今確信しました!あなた弟さんの釈放より、重要な見落としに強く

    反応しました!それが何よりの証拠です」

刑事、車に男を乗せる。                   おわり