「タクシー」

 女が慌ててタクシーに乗りこむ。

女 「暫く    頂戴!」
運転手「承知しました!」
  女、携帯を出して電話する。
女 「もしもし?私だけど!   ?                
    嫌よ!戻る気はないわ!もうウンザリ!分かってるから言わないで!
   そんなに簡単に  ないわよ!」
  女、携帯を切って泣き出す。
運転手「お客さん     か?」
女  「今どこ走ってるの?」
運転手「三軒茶屋を過ぎたとこです」
女  「どこに行ったらいいか分からないのよ」
運転手「参ったな」
女  「先ず    ところ探さなきゃ!
     今持ち合わせないのよ」
運転手「こちとら面倒なことに巻き込まれたくないんで」
女 「私が誰に見える?」
運転手「     に追われている人」

  女、携帯の待ち受け画面を出して運転手に見せる。
女 「これ私の写真!」
運転手「嘘だぁ!テレビでよく見る女優じゃない!」
女 「だからこれ私なの!」
運転手「冗談きついよ」
女「一寸待って!」バッグから化粧ポーチを出してメークする。
運転手「ヘェー本当だ!化けると書いて化粧とはうまく言ったもんだね」
女 「失礼ね!」
運転手「あの、サイン下さい!」
 女、無視して再び付き人に携帯をかける。
      次ページへ