女「あ、もしもし?私お財布忘れちゃったの!どうしよう!カード?・・・あ、あるあるバッグの内ポケットに入ってた。
有り難う!それからマネージャーに言っておいてくれない?私に 何も聞かないで あんな仕事取って来ないでって!
考えさせて 欲しいのよ! 言われるまま走り続けて たら,この先 何処に行けばいいか分からなくなるわ。
   この機会に立ち止まって私が探してた ものは何だったか考えたいの。現場から逃げ出して怒ってる かも知れないけど、いくら何でもあんな台詞じゃ死ね ないわよ!演技が 出来 ないんじゃなくて、自分に嘘をつけ )ないの。
 スタッフに 降りてくれませんかと言われた?それでヤバイんじゃないです かって? 大丈夫です! 落ち着く ところ決まったら知らせる。お金借りられるとこ探して事態が収まるまで隠れる だけよ。
後はよろしくね!とにかく、もう ヤクザもの刑事ものはやりたくないから、借金してでも、納得のゆく役探してってマネージャーに伝えて!
 嫌!絶対戻らない!何と言われても戻るつもりはないからね。えっ!私の付き人を辞める?どういう事?
 ピンチヒッターで私の代役をすることになりそう?あなたが私の代役? 出来るの?メイクしたら結構いけると言われた?・・・・事務所は知ってるの?・・へぇ・・・事務所がそうしろと言った訳。・・・そう!じゃあ頑張って!私あの役には未練ないから!」
 女、携帯を切って呟く。
女「化けると書いて化粧とは良く言ったもんだ!あっ運転手さん!どこかATMのありそうなところで止めて!こうなったら遊び仲間呼出して豪遊しちゃうわ!」
 運転手、急にUターンして来た道を戻り始める。
女 「あれ!急にどうしちゃったの?」
運転手「あんたこのままじゃ駄目になるよ。甘い世界じゃないんだろ?すぐ引き返して『私が悪うございました』って投げ出した役を取り戻しナ!駆出しの頃のあんただったら、こんな事しねぇだろ!少し売れたからって思い上がってたら足元をすくわれるよ!あんたの付き人が懸命に芝居してるの見抜けねぇのかよ。しつこく戻れって言ってたじゃないか!自分が代役をやるつもりならそんな事は言わねぇ筈だ!そんな事も読めねぇようじゃ役者やってっても大成しねぇ!どうする?戻るか?それとも又Uターンするか?」
女 「・・・分かった!ごめんなさい」
  泣きながら携帯の再ダイヤルを押す。
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