一年後のBの日記
○月○日 曇り
今日は妙な日だった。丁度去年の今ごろだっけ! あの子にしてやられたの!
どうしても腹の虫が治まらないので下校時間を狙って高校の校門前で待ち伏せした。
うっかりミス ゴサナイ ようにと 睨み付けて立ってたら警察に通報されてしまった。
それでも諦めきれなくて 一日おきにランドマーク辺りをうろついたが帰りは ため息 ばかり。
欠勤 で有給休暇を使い果たしたし、早引けを課長に頼んでも 聞いてくれない から
もうお終い にした。
だけど 信じられないよ! 一年後に電車の中であの子に逢うとは。
一目であの子と判った。
卒業 したのか すっかり 大人だ った。
やめろ と もう一人の 自分が言ったが 贅沢 な 格好してわがまま 放題の
あの子に 不自由なく奔放 な生き方なんて絶対 長続きしないと教えてやりたかった。
派手なバッグ に高いヒールの 靴。 耳がちぎれそうなイヤリング 。
これも誰かを 騙して手にしたものかと思うと むかついた。
近づくにつれ心臓がドキドキした。 逃がしてはなるものか!
むんずと腕を掴み小声で言った。「久しぶりだね!」
きょとんとした顔をしたが 「ランドマーク」と言った瞬間 顔を覆い、その 手が震えた。
後は覚えていない。 体中の力が抜けて 目がかすんだ。
気がついたら、終点だった。
極度の緊張からくる貧血。損な体質だ!もしかして夢かなと思ったが、内ポケットに金がねじこんで
あった。あの子に違いない! 半分にも満たないけど、人を信じる気になったよ。
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