第一話「とりづくし」
居酒屋で数名が新年会をやっている。
若手の巡査が奥に声をかける。
巡査A 「おーい、とり皿がたりないよ!」
従業員の声 「ハーイただいまお持ちしす!」
巡査長、ビールをとってコップにつぎながら
巡査長 「部長はとり年でしたよね!」
巡査部長「年男!今年で定年だよ!最後の御奉公だから振り込み詐欺のとり締まり対策を練り、
どんな情報も とりこぼさず、 しっかり むぞ!」
巡査B 「新聞で連日とり上げられてますからね、連続殺人犯のとり逃がし、
愛知県警のにせ領収書づくりと肩身が狭いですよ」
巡査部長「部下のミスは 上司の責任と来るから マスコミにとり沙汰される度に
とり肌がたつよ」
巡査長 「とりあわなきゃ いいんですよ!」
巡査B 「ニセ領収書づくりの警察がニセ札犯を捕まえるって洒落にならないスよ」
巡査部長「早く信頼をとり戻さ ないと今にがつかなくなる」
巡査A 「ところでニセ札犯人も賽銭箱にニセ一万円札を入れてよくとりすましていられますね」
巡査長 「バチがあたってすぐた」
巡査B 「神社側はお賽銭をとり損なって 悔しいでしょうね」
巡査長 「そのうち電子マネーに巡査A 「現金がなくなればニセ札もなくなりますよ」
巡査部長「そうなったらお賽銭はどうなるの?」
巡査B 「ネットで振り込んでパスワードもらっておみくじを」
巡査部長 「わざわざ鳥居をくぐって参拝する意味なくなるよ」
巡査長 「初詣もとりあえず神社のホームページに拍手を打つてお終いということになる」
巡査部長 「そうだ現金がなくなったらスリもがないだろうね」
巡査A 「かわりにパスワードが狙われる」
巡査部長 「パスワードを聞き出すために誘拐が増える。こりゃ大変だ」
巡査長 「そこまで考えるのはとり越し苦労ですよ。そう言えば娘さんの結婚式を
神社でそうで」
巡査部長 「いや、誰がとりもったんだか、急に言い出して。
こっちは定年というのに娘はとり上げられるわ、嫁入り道具はなきゃならないわで、
式なんかとり止めると ゴネたが、女房は必死でとりなす、娘はで
気をとり直して結納をとりかわした」
巡査長 「大事な後とり娘さんだから気持ちはわかりますよ」
巡査部長「何のとり柄もない娘でも、いざ手放すとなるとね。仕事中はて いるが
時々、相手をとり殺したい 衝動に とりつかれる よ。
あー 話になってしまった。
巡査長 「そろそろ年度末の報告書に とりかから ないといけませんね!」
巡査A 「とりあえず、今年度末までに捜査費の領収書を とりまとめて 出だします」
巡査部長 「予算が余ると来年度の予算が んでうまいとこ 0 を増やしておけよ!」
巡査部長の携帯が鳴る。
巡査部長、千鳥あしで席をたって行く。
作/山里 ゆい
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