「クラクション」
6月号
〜 雨の日の改札口〜
若い男が改札口から出てくる。その後に若い女が続く。
男 「 ウォー、 ひでぇ土砂降り!」
〜 ポケットから携帯を出してかける。 女も携帯をかけるが留守電。 メッセージを入れる。〜
女 「アッ、モシモシ!
から迎えに来て!」
男 「あー、もしもしー佐伯です! 今 駅前です。・・・・迎えに? いや いいですよ。 ますから。えっ?そうですか?じゃ、待ってます!」
〜 男、タバコに火をつけ 女に話かける。〜
男 「雨 ますますひどくなって来たね? せっかくの日曜日なのにサ。 家でサッカー観たかった!」
女 「そう!こんな日に外出なんて!ビデオ3本たまってるから観ようと思ってたのに」
男 「お互いについてないね。今日 先輩の家によばれてサ、気のいい人だもんで断りきれなくて」
女 「そういう人いるいる!面倒見がよすぎる人!」
男 「そう! って言うか、自分は 癖して 人には身を固めろ固めろってうるさいんだ。寒天じゃないッツーの! 友達がサ、絶対 妹を紹介されるから って言うんだ。それが だって!
気が重いよ」
女 「ウフッ!だったら ないとか言えば?」
男 「そんなんで引っ込む相手じゃないの」
〜車のクラクションが鳴る。
〜
女 「アッ! お兄ちゃんだ!」
〜 男 ギョッとして〜
男 「先輩の妹さん?」