きっかけの旅

クルマユリ

　クルマユリの花が描いてある。'70-8 尾瀬の書込みがあるから、随分と前のスケッチだ。　あれは・・確か・・・。

　会津田島駅（当時は国鉄会津線の駅だった様な ??）で降りた私は岩館村から桧枝岐へ貫け、更に尾瀬に入った記憶がある。あの頃は、まだ南会津の村々も、随分と鄙びた雰囲気が残っていた。湯ノ花温泉に一泊した後、御池から燧裏林道を歩き尾瀬ヶ原に入った。

　会社の夏季休暇を使い、旅行ともハイキングともいえないこんな旅をした。心に鬱積した”何か”の発露を求めていたのか、或いは自分の心の癒し方を探していたのかも知れない。私が一人歩きの山歩きを始めだす、少し前のことである。
結局、尾瀬でもう一泊した後、富士見峠から富士見下に下りて帰途に着いた。

　上の淡彩画を尾瀬のどこで描いたか余り記憶にない。以前は湯の花温泉の温泉小屋（集落の共同浴場）を描いたものも持っていたので、旅の道すがら何枚かスケッチしたのだろう。

　この後も奥鬼怒や南会津の方へ何回か同じような旅をした。しかし、今から考えてみると、この旅が後に山歩きを始めることになる、きっかけの旅だったような気がする。肩掛けの鞄がアタック・ザックに、ただのズック靴が登山靴にかわって・・・。

昔、一時スケッチを描いていた。
つんは絵が下手である。
下手の横好きという言葉もあるが・・・。
やはり、ものには為らなかった。

スケッチは、もう何十年も描いてない。