秘すれば花

YouTube で歌姫マリーザを視聴して

ベレン塔前で	しばらくの間、ポルトガルの Cotonete というインターネット・ラジオ局を聴いていた。 　ヨーロッパの西の端、ポルトガル生まれの大衆歌謡であるファドを流している局である。 　ファドとはポルトガル語で運命とか宿命とかという意味だそうだ。その、ポルトガルの歌謡界で、このところめざましい活躍をしているファディスタ（ファドの歌い手）がいる。 　マリーザである。彼女のディスクはここ２年程で、国内で入手可能なものは、輸入版を含め手に入れているが、最近のライブ映像ものは未だ観ていなかった。
リスボンにあるベレン塔前での、ライブCDは発売直後に輸入版で入手した。 　　そして、ライブ映像がDVDとして出ていることは Cotonete の情報で知っていた。 　　　　昨夜のこと、YouTubeを使って調べてみた。fadoと入力して検索を試みた。 その結果、上位に幾つものマリーザの映像情報があることが分かった。
その中から、ベレン塔前でのライブ映像は驚くほど容易に見つけ出すことができた。複数の人がネット上にアップロードしていた。 　やはり、映像となったマリーザは凄い。モザンビーク（旧ポルトガル領・東アフリカ）生まれの彼女。モデルを思わせる恵まれた肢体は観衆を虜にし牽き付ける魅力をもっているように思う。 　更に、それにも増して魅力溢れる歌声。若く素晴らしいデーバ（女神）なのである。 　そして、ライブ映像を観ていて気づいたことがあった。彼女が紛れも無い、エンターティナーだったと云うことである。	ディーバ（女神）　Mariza
彼女のライブCD「Mariza Concerto em Lisboa」でマリーザが 　　　　　　最後に歌っているアマリアロドリゲスの歌。「O Gente da minha terra」 YouTubeを観て分かった。この歌の途中で見せる（魅せる） 彼女の演技、演出とは思えない仕草。 　　盛りあがる観衆の熱気と声援の中で、彼女の中に熱いものが込上げ、 　歌唱が一時途絶えるように観える箇所があり、その後のクライマックスに 繋がる熱唱。感動のシーンを見せてくれる。 世阿弥云うところの、「 秘すれば花 」とはこのことかもしれないと思った。