著莪(シャガ)
マンションの玄関を出ると緩やかな登り坂となった。左手の畑の脇に生産緑地地区の標識が見える。
桜の花吹雪が舞い落る畑は手入されていないお茶の垣根で囲われていた。そして茶の木の根元に、その花は咲いていた。
「 著莪叢(むら)の とどく木洩れ日 濡れてをり 」 稲畑汀子