折々の花

山査子(サンザシ)

 久しぶりに竹林の中の道を縫ってふじやま公園へ行ってみた。古民家の長屋門脇に、まだあの花が咲残っているかもしれないと思ったからである。秋に姫林檎のような小さな赤い実をつける、あの山査子の花である。
 確か、いつもゴールデン・ウイークの頃に白い花を咲かせていた気がするが、既に五月も半ばとなった今日、もう散ってしまっているだろうか。

 やはり、花の盛りは過ぎていた。しかし、少し咲残っている枝もあり、花びらの先を僅かに赤く染め、寂しそうに咲いていた。

 ところで、山査子と云うと私は、チェン・カイコー監督の中国映画を思い出す。あの映画の中で山査子の実のお菓子が出てくるが、あれは日本の”りんご飴”みたいなものなのだろうか。

「 さんざしの花にそばかすあらはれし 」    青柳志解樹



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