縷紅草(ルコウソウ)
これほど暑さの厳しい年ってあっただろうか。残暑の時季になっても茹だるような日が続いていた。
八月下旬の或る日のこと。朝方の時間を選んで丘の上に行ってみた。
公園の片隅に小さく寂しげに咲く花があった。孤独の美しさを感じるような、涼やかな花だった。
「 軽みとは哀しみのこと縷紅草 」 瀧春一