蝋梅(ロウバイ)
山道から階段を下り、路地の角を曲がろうとした辺りで、その香りは漂ってきた。細い水路脇にある民家の塀から造花の様な黄色の花を纏った蝋梅の枝が張り出している。
午を過ぎても陽射しは無く、底冷えのする日。大きな通りに出た所で晴着(振袖姿)の御嬢さんとすれちがった。
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「 風 往き来しては 蝋梅の つやを消す 」 長谷川双魚