折々の花

西洋桜草(セイヨウサクラソウ) = プリムラ・マラコイデス


 師走に入り、少しずつ冬の足音が近づいて来るような気配を感ずる日が多くなってきた。
 私の幼いころ、この時期になると毎年のように、ある鉢植えの花が縁側に飾られていたことを思い出す。
 日の射す日中は外に、そして日が翳り気温の下がる夕方には室内に取り込まれていた。あれは、もう六十年程も昔のことになる。
 
 花はさくらそう。いま、私の寝室の窓際で良い香りを漂わせている。


「 桜草 灯下に置いて 夕餉かな 」    富田木歩



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