雛芥子(ヒナゲシ)
冷たい雨降りの天気から一転し、陽光が降注いできた。萌黄色をバックに、浮かび上がるように咲く雛芥子の花。
そぅ ・・あれは、何時のことだったのか ・・・。
もう、夢見ることなど、当に忘れていた。
「 我心 或時軽し 芥子の花 」 高浜虚子
瞳孔を射抜く陽射しに背を向け、私は大きく息を吸った。