折々の花

鼠黐(ネズミモチ)


 少しの間、止んでいた霧雨がまた降ってきた。コンビニに寄ろうと思って路地の角を折れた途端、不意に何かの匂いが鼻先をかすめた。

 右手の生垣に白い小花が群がり咲いている。匂いの主は、ネズミモチの花だった。
 梅雨の時期、どこでも見られるこの白い小花には、幼い日の淡い記憶もあった。

  「 くれがたの雨こまかなりねずみもち 」     三宅応人



    折々の花