折々の花

椋の木(ムクノキ)


  小川の向こう岸から枝が張出している。その、枝先近くに木の実が付いている。木の実の幾つかは、黒く熟し中には少し萎んでいる奴もある。
 この、椋の実には幼い頃の懐しく、そして少し切ない思い出があった。

 枝先で尾長や椋鳥が木の実をついばむ光景。それを、いつまでも佇み眺めていたあの時。そう、あのころの時間まで遡り帰る事など出来はしないのだ。

  「 椋の木の下には椋の実を拾ひ 」     池内たけし



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