猪子槌(イノコヅチ)
上空から木漏れ日が射し込んでいる。まるで、スポットライトが当たった様に明るくなっていたその場所にイノコヅチの大きな株が生えていた。
林が切れ、その先に明るい草原(くさはら)が広がっている。まだ未熟のイノコヅチの種も、あと十日も経てばズボンの裾に付いて、散歩後の厄介な御土産になるだろう。
「 山径の明るきに入りゐのこづち 」 猪股千代子