力芝(チカラシバ)
秋十月、早いものである、この地に住むようになってから十五年の歳月が流れた。
市境界を越えて鎌倉へ。とぼとぼ散歩も、もう十五年目となる秋日の或る日。歩き始めて直ぐ目にしたのは、道ばたに生えるこの草だった。
幼いころ原っぱでこの草の穂先を結んで悪戯したことあったなぁ。
「 立ち易(かわ)り 古き都と なりぬれば
道の芝草 長く生ひにけり 」 詠み人知らず