大白温泉
この温泉に入湯できたのは幸いだった。
温泉にも穴場と云うのがあるとしたら
ここが、それであった。
この日は前夜宿泊した秋田の温泉場から
みぞれ降る十和田の山を越え
青森県側に戻っていた。
この日、津軽地方の天気は小雨。しかし、
岩木山方面にとハンドルを握っていたら
何時の間にか雪降りになっていた。
収穫の終わった林檎畑の中、車を進め
右へ折れると嶽温泉の分岐で左折した。
別に目的とする温泉が有った訳ではない。
何しろここら辺り、車で少し走れば至る所に
温泉が湧いている所なのである。
落葉松の落葉散り敷いた道を走るうちに雪は
また雨に戻っていた。
再び林檎畑を縫って走り、或る温泉に着いた。
建物には大白温泉とある。初めて聞く名である。
集落の公民館のような建物。
玄関脇に咲く名残のサルビアの赤が目に沁みる。
中に入る。暇そうに小母さんが一人ポツンといた。
案の定、客は私一人だけだった。
早速、脱衣場で裸になり浴室に入る。綺麗である。
この温泉施設、出来て間もないのか
改築後なのかもしれない。お湯を浴び湯船へ。
「あぁ〜〜危ない」湯船の底が滑る。
これは、この湯の泉質が原因かな ・・?
湯舟の底にあった湯花の滑りに足を取られたようだ。
しかし、ここの湯は最高である。湯は薄茶色をしている。
少し熱めの湯。ナトリウム塩化物泉だそうだが、
匂いと味は特に感じなかった。
外には小さな露天風呂も見えたが、
お湯は張って無いようだった。
小さなサウナもあり、こちらの使用は OK だった。
この日、体に効きそうな、この湯を存分に愉しんだ。