氷雨の落合温泉へ



 氷雨に煙る落合温泉

 氷雨降る中、青森市街から車を駆って黒石温泉郷の一つ落合温泉に行った。落合温泉は温湯(ぬるゆ)温泉の東方約1kmに、浅瀬石川をはさみ、板留温泉と向かい合っている温泉で山すそに建ち並ぶひとかたまりの温泉宿は、黒石の奥座敷となっている。私が今宵、宿とする南風館に着いたのは午後の3時過ぎだった。今回、宿泊をこの宿に決めた理由は食事が評判であったことと収容人員が25人と小ぢんまりとしていたことだった。案内されて入った2階の客室は築後まだ間もないとみえ大変綺麗だった。暖房のスイッチを入れ部屋の暖まる時間まで入湯しておこうと早速浴場へ行ってみる。

 浴場は狭いながらも真新しく雰囲気の良いものであった。落合温泉の泉質は56℃の単純泉とのことである。湯船にどっぷり浸かっていると短時間のうちに体が温まってきた。浴場の窓を開け放つと底冷えする屋外に白い湯気が吹き出した。

 湯上りの火照った体で客室に戻ると暖房が良く効いていて冷たいものが欲しくなった。

南風館の浴室
 今日は出掛ける際にマニュアル本を小脇に抱え持ってきた。温泉にでも入って柔らかくなった心と頭でホームページの構想を練ってみようと云うことなのである。麦酒を飲みながらページを捲っていると、夕食の時間となり宿の料理が運ばれてきた。さすがに評判どおりの美味しい夕食だった。特に刺身や膳の最後に出てきた“にぎり”はこの宿が鮨屋と兼業していることもあり美味しかった。しかし案の定、その後マニュアルを開くことなく熱燗二合で轟沈してしまった私なのであった。

 氷雨は夜半に雪に変わったとみえ、翌朝湯上りに観る周辺の山々は白い化粧をしていた。


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