広島にて

戦争ほど、残酷なものはない。

戦争ほど、悲惨なものはない。

だが、その戦争は、まだつづいていた。

愚かな、指導者達に、ひきいられた国民ほど、あわれなものはない。

これはずっと以前に読んだことのある、本の冒頭の一節だったと思う。

一昨年、まだ会社に勤めていた頃、広島に行く機会があり、皆で原爆ドームに行って見た。

そして広島平和記念資料館にも、足をはこんだ。

一発の爆弾で十数万人が死亡し、60年経った今もなお後遺症で苦しんでいる人も居ると。

家屋は言うに及ばず、親子、兄弟、最愛なる連れ合いを、恋人を一瞬に無くした戦争。

横を流れる太田川には、火傷の体を水で冷やそうと、おびただしい数の人が川に飛び込んだ。

そして重なり合い、息尽きて沈み、また浮流していたと聞いた。

喜んで遊んでいたであろう三輪車の子供は、

どうなったのだろうか。

若し生き延びたら


もう65才にはなっているだろう。

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焼けただれた死体の傍に、付き添っているのは親か、子か、

その膝と左手が哀れを誘う。



途方にくれて為す術もなく、

ただ呆然と何時までも座り続けたであろう。

焼け爛れてさ迷う人々・・・この世のものとも思えない光景が、展示されていた。

これは昔話ではなく、戦争が如何にむごたらしいものであるかを、今に伝える大切な資料で

あるとともに、戦争を知らない子供達に、語り繋いで行き、決して風化させてはいけない。

当時愛媛に住んでいた私は小学生だった。広島にピカドンが落ち、凄い光線なので、黒い服より

白い物を着ていた方がいいと、そんな無知な噂まで流れたものだった。

慰霊碑には今も平和の灯火が、絶えることなく燃え続けている。

そして如何に平和が大切であるか、その為に自分に何が出来るのかを、自問自答させられるのでした。

今年は原爆投下60周年にもなる。

菊の花
名も知らぬ白い花が、ただひたすら平和を祈る
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