旅の思
そんな姉がよく連れて行ってくれた お気に入りの場所があります。
後に 「素晴らしい所」 と私の脳裏に焼付くことになるのですが。

我が家の裏から山を1つ越えると なだらかな草原があり
そこからは 眼下に太平洋 後ろを向くと湿原・・・

小さい時は ただの谷地と思っていましたが そこには 貴重なフレップが自生し、
海側の方には エゾカンゾウ カキツバタ ワタスゲなどの花が咲き乱れます

丘の上には ハクサンチドリ エゾエンゴサク サクラソウモドキなど
季節ごとにちがう顔を見せてくれます。

苔桃を「フレップ」と母に聞かされました。
樺太から命からがらに引き揚げ この地に落ち着いた時 母が発見したそうです。

実を沢山採って来ては、ジャムにし 食糧難時代 
家族に大切なビタミン補給をしてくれたのです。
 
 これが「苔桃」と 姉から聞かされたのは ずー−っと後の事です
私が生まれて育った所はここから数キロ離れた小さな漁村

両親も早くから市内に移り住んだので今は地元に嫁いだ
姉が1人居るだけ・・・

すっかり遠のいた足に後継者として残った数人のクラスメートが
気ままに訪ねる私達を優しく迎えてくれます。
<幼馴染> って本当に良いもんです。

その懐かしい故郷は、海の見える丘 その下には湿原 
砂浜へと続き、その美しさ、、それはそれは見事なものでした。

兄二人 二人の姉 歳が離れて生まれた末っ子の私は
たいそう可愛いかったそうです。
二人の姉が言うのですから 
何処の誰でもが思う事と同じなんですよね。

お人形の様に何処へでも引っ張りまわされた記憶があります。 
自然の大好きな二人のお姉ちゃん・・・

故郷

故郷・・・それは誰にでもある母のふところにも似た 
懐かしく 慈しみに溢れた忘れ得ぬところです

海の見える丘 湿原の花 <その1>

雄大な湿原と海岸美を誇る厚岸道立公園
ここは名の如く霧の多いところ
海霧に霞む砂浜 奇岩絶壁 岬を見るは
ロマンそのものです。

2001.6.20


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