杉山神社(横浜市都筑区池部町)

今にも飛び立ちそうなブロンズ狛犬

私のご近所狛犬から紹介ごします。
ブロンズ狛犬としてはちょっとユニークかもしれません。
横にまっすぐ伸びた耳。胸を張り、頭に角と宝珠。

全身の筋肉と紋様による表現。そして子獅子と玉。

作者は秀次と銘があります。
玉も子獅子も…全てに渡って精緻な造作です。

そして何より素晴らしいのは、全体に動きがあることです。
吽像は親が子を飛び出さないように押さえているようにも見えますが、全体を見ると親子とも翼があったらこのまま飛び立ちそうな気さえします。
ただ一つ残念なのは、子獅子の向きから、最初から阿吽は逆になっていた…つまりこのブロンズ作者は阿吽の位置について知らなかった…

昭和3年、昭和天皇御大典の儀式を記念して神社本殿の大改修がなされ
狛犬の像もこの時に寄贈されたと碑文にあります。
しかし、願主 中山熊次郎 安政4年生72才 と刻してあることから、御大典記念もさることながら、自身の古希を記念する気持ちも強かったのではないでしょうか。

台座には内藤慶雲の名が刻まれています。
もちろん、これはブロンズ狛犬を設置するための台座等石仕事を請け負ったと言うことでしょう。

多くのブロンズが戦争中の供出で失われた中、よく生き延びたものです。
何時までもこの神域を守り続けて欲しい。
我がご近所の自慢狛犬の一つです。

 神社名 
 杉山神社
住 所
 神奈川県横浜市都筑区池辺町2718
建立年
 昭和3年11月
作 者
 秀次(狛犬) 石工 溝ノ口 内藤慶雲(台座)
奉 納
 御大典記念
 願主 中山熊次郎 安政4年生72才