天神社(西東京市北町) ・知られざる名品〜伊藤寅吉富士光の構え獅子 ・宝暦のはじめ狛犬 |
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拝殿への真っ直ぐな参道。
その両脇の狛犬と灯籠が、この参道を他とは一味違ったものにしている。 まずは、この狛犬をご覧頂きたい。 天神社(東京都西東京市北町6-8-14) |
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この素晴らしい彫り! 阿像は玉を持ち、玉から延びた紐をくわえている。 吽像は見事な牡丹をくわえている。 関東ではあまり多くない構え獅子だが、この尾を見ると素盞雄神社の獅子山と比べたくなってしまう。 この石工、伊藤寅吉はただ者ではない!自信もあるのだろう、石工銘としては珍しく「富士光」と号まで刻んでいる。 |
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台座のレリーフも良い。 写真上は左像で、牛に乗って横笛を吹く少年に五葉の松を配したもの。 下の右像は金太郎伝説を図案化したもので、山姥に抱かれて鉞を持つ金太郎とともに熊と五葉の松が配されている。 また、奥の灯籠も伊藤寅吉の作で、台座に見事なレリーフが刻まれている。 この狛犬と灯籠は、元関村の石工・田中酒造(中野追分石工として中野区に2対の狛犬がある)が石を組み上げる等の石仕事を担当し、下保谷村の鳶連中が運搬などの作業に奉仕した。 この時の費用明細が地元の蓮見家文書として残っており、寄付金総額388円35銭のうち、狛犬は95円、灯籠は75円かかったとある。 ※ 狛研の青山好一さんからいただいた資料「保谷の石仏と石塔」〜西東京市郷土資料室提供〜を参考にしました。 |
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境内の脇に蔵(?)があるが、その前にいるのがこのはじめ狛犬。
なんと、台座には宝暦の文字が! |
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「はじめ狛犬」好きの私ではありますが、これはそれほどお気に入りというわけではありません。 ただ、このように顔をアップにすると、たまらない魅力を感じます。 私の調査範囲では、都下の1700年代以前の狛犬は10指に足りません。 従って、この宝暦狛犬も貴重な1対です。 |
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