震度五の地震がグラグラっときたらいっぺんで倒れてしまいそう。 当初からなのか? 一体、何時からこの不安定な姿勢を保ってきたのか? 微妙な安定はいつまで保っていけるのか?かなり高さのある狛犬だけに不安をあおる。
参詣の人々で賑わう善光寺東側の東之寺町の守護神【伊勢社】の狛犬だ。 伊勢社は伊勢神宮の出張所で御師がいてお伊勢参りのお世話をしていたようだ。 表参道石段が、社殿正面でなく、横参道のように直角に作られている点も変わっている。 狛犬は、陸軍中尉とその息子なのか同じ山本姓の陸軍見習士官の2人の名で武運長久を祈って昭和18年に奉納されている。 二人は無事にこの地に戻れたのだろうか? 招魂社系の立派な狛犬だ。
台石の石積みについてインターネットで情報を調べてみたが特にヒントになる事柄は見つからなかった。 しかし2006年大林宜彦監督の映画【転校生】のロケで使われた場所であること、そしてその当時も今と同じ微妙な安定を保った姿勢で映った写真が確認された。 石積みは見た目よりはずっと揺れに耐えられる組み方なのか? それともコンクリートの芯に石を張り付けるような製法なのか?
伊勢社(長野市大字長野東之門町2491)
大野久美子 2016年第114号より