築山の両脇で下を威嚇する阿吽の狛犬。 台座ではなく、獅子山スタイルになっており、獅子山の下には子獅子も上を見上げている。 築山にはたくさんの童子の石碑、石像が立つ。 これらを守護するための狛犬というスタイルは珍しい。 築山の石碑群の整備はごく最近行われたものらしく説明石は新しい。 しかしここの石碑や狛犬は最近のものではない。 この築山にある碑文と同じ明治35年の奉納と推定してしまう。
狛犬の石はかなり大きなものであり、ざっくりとした造りだ。 特にウンの狛犬は後ろから見ると細部はやや丁寧さが欠けるし、前足のくり抜きも省略されていて仕上げを急いだ印象がある。 ただその表情の強さとボリューム感からしても存在感を主張する狛犬だ。 かなりの数の石碑をひとまとめに築山とするためのアクセントとしての役割を十分に果たしている。
高井戸駅から環八を5分程南へ歩いた通称「高井戸不動尊」。 正式名 象頭山遍照寺 吉祥院 明治16年開山、成田山不動尊を信仰する講を母体として開かれた寺院で東京西北部の人々の信仰を集めているという。 狛犬がいる築山は、成田山を模して作られたそうだ。
入り口のオオカミも結構好きなタイプでした。 またこの築山の右横がわには灯篭の上に小型の狛犬がいました。
狛犬:明治35年10月落成 甲斐国北都留郡猿橋講社中
高井戸不動尊(杉並区高井戸西1-5-44)
大野久美子 2014年第100号より