久美子の 狛犬散歩
 その(46)
青山界隈・根津美術館〜木陰から覗くおおきな眼
ダルマさんの表情だ。
木の陰にひっそりと隠れているけど眼も鼻も大きい。
くるっと巻いた垂れ耳、区切りをはっきりさせた足の付け根、垂直に立った尾の模様からも関西系の雰囲気のする狛犬だ。

すくっと立った足がのびやかだ。阿の狛犬は顔が崩れてしまっているのが残念。
おまけに松葉杖をついた左足が痛々しい。
平らな頭に平面的な立ち尾、四角い石の形の輪郭を残した彫りだ。
半分埋もれた
台座には安政の文字がみえる。

初めて訪れた根津美術館の庭園は、ここが青山かと信じられない深山幽谷の雰囲気だった。
紅葉の最盛期にもあたり、とても都内とは思えない。
昭和16年東武の鉄道王、根津嘉一郎のコレクションを公開するために私邸を美術館として開館。

根津嘉一郎の中国趣味に合わせたのか庭園には、中国狛犬(写真左)や灯篭など石造物が多数ある。

この庭園の一番奥、竹林をバックにした薬師堂の脇にこのウンの狛犬が隠れていた。

手前には雄々しい
招魂社系狛犬(写真上)がいるが、やはり奥にいる表情が豊かな狛犬がいい。

根津見術館庭園は他にも天神の飛梅祠と呼ばれる祠の前に浪速系のくどい表情の狛犬(写真上)がいたり、道なりには、獅子頭が何気なく置いてあったり、十分楽しめる。

根津美術館港区南青山6-5-1

大野久美子 2010年第81号より