久美子の 狛犬散歩
 その(30)
荻窪界隈・白山神社〜草むらで狐達と遊ぶ隠居狛犬
写真を撮ろうと草むらに足を踏み入れたら足元で黒い影が動いた。
ピョンと跳んだ大きなガマガエルだった。

夏草生い茂る小さな狐社の周りにいたのは,片割れだけの可愛い狛犬と4匹のキツネ達。
社を守るというより、リラックスして遊んでいる雰囲気だった。

キツネ達も狛犬も高い台座を降り、仕事から解放されたような気分になったのだろうか。

小さな跳びキツネが草むらに置かれると躍動感が増す。

狐社両脇の黒光りするキツネもいたずらっ子の眼をしている。
小さなキツネ達を優しく守る狛犬も小ぶりながら全体として丸々とした良い彫りだ。
耳まで丸くなっているところが可愛い。
太い前足で今にも駆け出しそうだ。
隠居するにはまだ若すぎるのかもしれない。
荻窪駅近くの白山神社の境内で末社の狛犬を探してみたが、末社の三峰神社は平成16年に新築したピカピカの社。
その前には真新しい狛犬が鎮座しているだけだった。
しかし、近づいてみると
末社の左奥にこの狐社が隠れていたのだ。
参道狛犬データに師匠のお勧めとして載っていた末社の
明治17年の江戸尾立ち狛犬ががこの狛犬なのだろうか。
台座もなく、年号は確認できなかった。
正面の位置を譲り、片割れになってしまったのは残念だが、
隠居仕事としてはマアマアな場所と見えた。
白山神社(東京都杉並区上荻 1-21)

大野久美子 2007年第62号より