久美子の 狛犬散歩
 その(28)
新宿界隈・鎧神社〜直立歩行寸前!狛犬型庚申塔
ルのような、人面のような、でもやっぱり狛犬なのだ。
小さな鼻に小さな耳、平面的な顔の作りがサルっぽく感じるのだろうか。ひょろっと長く伸びた前足はまるで腕のようで、進化の過程からすると直立歩行寸前にみえる。
少し上向き加減の顔はユーモラスだ。
身体の紋様も無くタテガミも無く、スルッとした胴体の後ろには刻んだだけの尾がチョコッとみえる。素朴そのものの狛犬だ。単純化した彫りだが雌雄ははっきりとわかる。

はこの狛犬は珍しい狛犬型の庚申塔である。
台座正面には「
奉造立庚申供養」と刻まれている。
庚申と言えば、サルかトリが常識のはず。
何故、狛犬型だったのか不思議だ。
台座側面には
享保六年(1721)11月の建立年月日と
地元柏木村の奉納者の名が連名で刻まれているとのことだが、
残念ながら側面は柵に面していて文字を確認することは難しかった。
宿、大久保駅から十分の(ヨロイ)神社の天神社の前に置かれているこの逸品、
以前は村の別の場所にあったが、引越しにより現在の場所に移転したものだそうだ。
新宿界隈の享保年間の狛犬はどこか目が似ている。
歌舞伎町花園神社、四谷須賀神社、西新宿熊野神社、
みな目の輪郭を丸く彫り、優しい感じに仕上げている。怖くないんだなー。
将門伝説に基づく神社なのに怨念とは無縁の素朴さだ。
鎧神社(東京都新宿区北新宿9)

大野久美子 2007年第60号より
(写真:阿由葉)