久美子の 狛犬散歩
 その(25)
志村界隈・西熊野神社〜のしかかる迫力 見下ろす重量感
の筋肉モリモリの力強さ。
そんなに大きな狛犬でもないのに真横に参道を向いた顔はかなりの迫力だ。
おでこから頭の部分が大きく七福神の「福禄寿」を連想させる輪郭だが、表情は怖い。

みのある四角の石の形をわざと残して彫ったのか、前、横、後どちらから見ても四角の狛犬だ。
技術が未熟なために角ばった狛犬は良く見るが、この狛犬は違うように思える。
足の踏み出し方にも動きがあるし、逆に四角のイメージを効果的に上手に利用しているようだ。

この狛犬がいる板橋区前野町5丁目 通称「西熊野神社」は無人の小さな神社だ。
奉納は嘉永3年(1850)。

同じく前野村の鎮守である通称「東熊野神社」(前野町三丁目)には、あの村田清八がその1年前の嘉永2年(1849)に彫った狛犬がいる。

やはりそばの双葉町の氷川神社でも嘉永5年の狛犬がおり、わずか6年の嘉永年間にこの地域に奉納ラッシュがあったのは何故だろう。

熊野神社(東京板橋区前野町5-35)  

                             大野久美子 2006年第56号より 

四角い石をギリギリ使った名品?!
〜四角さが計算されて仕上げられている〜
編集長のMEMOより
建 立
嘉永3年正月吉祥日
奉 納
別當 常楽院住 光専代
願主・世話人 4名連記