北関東狛犬巡り 23 〜苔むした狛犬は古かった
青龍神社(栃木県日光市)
日光市本町に在る青龍神社の参道には、
円丈師匠の「狛犬コレクション」の中に紹介されている
「世界で一番苔むした狛犬」がいます。
建立は明暦四戊戌年(1658)六月、横腹に奉納 天狗兩疋(にひき)、後足腿に原 俊左衛門とあります。
俊左衛門は町人だろうか。
日光東照宮に2人の大名が狛犬を奉納したのは寛永十三年(一六三六年)ですが、それをまねて武士や町人達が狛犬を奉納し始めたのはいつ頃からだろうか。
関東最古の参道狛犬は目黒不動尊の狛犬で承應三年(1654)、江戸築城の時の石工総元締め亀岡久兵衛政重が奉納したものです。
2番目は赤坂氷川神社の延宝三年(1675)の狛犬で、赤坂の鳶職が奉納したものです。
目黒不動尊の狛犬の4年後に青龍神社の狛犬が建立、そしてさらに17年後に氷川神社の狛犬が建立されたわけです。
参道狛犬は日光東照宮から始まり、広がっていったと言われていますが、江戸と日光は同時期に狛犬奉納の波が進行して行ったようです。
終わりに一言、
この狛犬の苔むした姿を見たい時は暖かい時期、体に刻まれた文字が見たい時は真冬がお勧めです。

青龍神社(栃木県日光市本町2,256)

2003年36号より
文:山田敏春/
写真:阿由葉