狛犬紀行・66   三宅稜威夫

幡ヶ谷不動の江戸狛犬

上水の史跡を求めて新宿西口界隈を訪ねた。
今日、この地は超高層ビルが林立しているが、かつての淀橋浄水場跡である。
明治19年コレラが大流行し9,800人の死者が出た。
東京市はオランダ人技師ドルーンに水道建設計画を委嘱し、7年の歳月を経て明治32年に浄水場が完成した。

都市化の波の中で昭和40年浄水場の役目を終え、京王プラザを手はじめに副都心に変貌した。
馬水槽・淀橋浄水場跡碑・蝶型弁(写真左)などが往時の歴史を残す

さて、この界隈の狛犬…成子天神、熊野神社(2対)に江戸狛犬がいる。いづれも必見のもの…今回は「参道狛犬大研究」にもれた狛犬を訪ねた。
熊野神社を参拝した後、西に向い山手通りをこえると幡ヶ谷不動尊(荘厳寺)がある。
この寺は永禄4年創建の古刹…本尊は不動明王(秘仏で、これをみた人は発狂するという伝)…江戸期は参詣者でにぎわい不動通りという門前まちが形成された。

寺の境内にある狛犬は宝暦3年(1753/九代将軍家重時代)、四谷若者中が寄進したもの…
顔はスリム・旋毛くっきり・左右対称の尾立・躯体がっしり…なかなかの狛犬とみた。(渋谷区本町2-44-3)

2009年72号より
(写真;阿由葉)