あ∽うん  斎藤 良夫
石が積まれた狛犬

台座から足座そして狛犬の背中まで、こぶし大の石が積まれている。
お地蔵さんなど野仏にはよく見かける光景だが、狛犬には少ない。
「天満宮」すなわち学問の神様・菅原道真公を祀っている小祠の鳥居前に鎮座している。
石は受験生の合格祈願か、子供達を思う親心の証か。

滋賀県近江八幡市の総鎮守「日牟礼八幡宮」(岳尋幸宮司)の境内にある。
狛犬は明治39年の建立。月日はない。
「講社中」と世話人の名前が刻まれた他は石工名も見当たらない。
しかめ面で胸を張り出し、頑丈な足。
三段構えの尾立ち…小ぶりながら、何か、横綱「北の湖」を連想させる雰囲気だ。

日牟礼八幡宮には、楼門前に一対の大型石造狛犬(写真上)
内に
木彫りの「神殿狛犬」(写真下)が金網にガードされて阿吽が向き合っている。
木造狛犬は江戸時代以前に彫られている。
<北の湖狛犬>は、これを参考に模した感じだ。
大型狛犬は台座を入れて総高は3メートル近い。
建立は明治41年12月1日。
こちらは、<北の湖狛犬>を拡大コピーしたといえる。

近くに八幡山ロープウェーがあり、観光客は大型狛犬をバックに盛んにシャッターを切っていた。
しかし、神殿狛犬は素通りし、天満宮まで足を延ばす人はほとんどいない。

9月6日、琵琶湖畔での環境シンポジウムの合間に立ち寄った。

2008年68号より